さて。3人が沈痛な面もちで日本に帰ってきた。3人とその家族が抱えている無言のプレッシャーを思うと、胸がしめつけられる。 今回の一件については、先日「オンフィールド・コラム」に書いたとおりだが、今朝のワイドショーで鳥越俊太郎さんが言っていた「自己責任はあるかもしれないが、政府の様々な努力は、当たり前のことをしただけと考えるべき」との原則論、吉永みち子さんの「家族へのバッシングをした人は度量がなさすぎる」との意見に賛成。人質解放に費やしたお金が20億円に達する、うんぬんの話題が垂れ流しに出てくるのはきわめて不愉快。まるで「ビールとおつまみで5万円」のぼったくりバーみたいじゃないか。飛行機代を自己負担してくれ、くらいなら、まあ、仕方ないけれど。 3人に対して「不用意じゃないか」、家族に対して「感情的すぎる」との感想を抱くことには理解できるし、別に構わない。その感想を自分のwebや掲示板、投書欄などに書くのもいいだろう。でも、それを電話やメール、手紙で直接、本人やその周辺にぶつけるような、ヒステリックな反応をしてしまう一部の人のことが、我慢ならない。 今は10年前、20年前とは異なる情報社会だ。60対40の微妙な多数決で世論が傾くと、それはまるで「90対10」のような伝わり方で一気に広がってしまう。これを「瞬間多数決時代」とでも言っておこうか。だからこそ、自分の意見の伝え方、感情の表し方には、手段の検討を含め、慎重の上にも慎重でなければならないと思う。 人質になったときのプレッシャーと、日本での反応によるプレッシャー。もし後者が前者を上回るようなことがあれば、とても悲しい。 132(04/05/10) さて。昨年11月に某CATVに加入したと同時に、インターネットサービスも利用していたのだが、あまりの障害の多さに辟易した。おそらく、地上波デジタル放送のサービス開始やらウイルスメールの増加で、システム上の混乱をきたしているのだろうが、半日間もネットが不通になったり、一日のうちに何度もさみだれ式に不通になることが多かったりで、もう我慢の限界。 4月上旬から頻繁に起こり始めた障害なのに、5月1日に「障害情報」がようやく発表され、しかも問題解消の見込みが5月中旬と言うのだから、あきれ果てる。CATVを介したテレビ画面にも横筋のノイズが何本も入る。アパートのアンテナからのテレビ映像はクリアなのに……。 仕事上の支障が顕著になってきたので、so-net+accaのADSLに戻すことにした。 133(04/05/10) さて。先週久々に、TOWER RECORDでたっぷり2時間、試聴をしまくって面白そうなアルバムを発掘してきた。今回はジャズ、ワールドミュージック、民族音楽系のフロアをうろうろ。ジャズやブルース、フレンチポップスで面白いアルバムもあったが、結果的にゲットした3枚は、偶然にも夏場に向かう今にピッタリなものばかりで、自分でもビックリ。 ●タリア 『グレイテスト・ヒッツ』
●カルトーラ 『愛するマンゲイラ』
●イブライム・フェレール 『素晴らしき兄弟』
さて。仕事の大きな山を越え、半年ぶりに、ちょっぴり文化的な生活を取り戻した。まず読みたかった第130回芥川賞2作品を鑑賞。 金原ひとみさんの『蛇にピアス』、綿矢りささんの『蹴りたい背中』、共にまずまず楽しめた。売れ行きは、一般受けする『蹴りたい背中』の方が好調なようだが、作品の出来映えとしては、明らかに『蛇にピアス』に軍配。ただこの作品、芥川賞というよりも団鬼六賞の方がふさわしいのではないか(笑)。 『蹴りたい背中』はタイトルに妙あり。オタク少年への淡々(あわあわ)とした感情を描いたモノだが、岩井俊二あたりが映画化しかねない。昔はこの手の、少女が主人公になった作品が好きだったが、今は読んでいてもどかしい。 私生活では、まったく趣味が合わないであろう2人の若い女性が、授賞式で一緒にカメラに収まったのは奇跡かもしれない。お互いに、どう言葉を掛け合ったのかは知らないが。ともあれ、今後の活躍に期待。作品に行き詰まっても自殺などはせぬように。 135(04/05/30) さて。以前からなかなか面白い手法の番組だなあと思っていたNHKスペシャルの「データマップ」シリーズ。第5回目は「犯罪増加をいかに防ぐか」がテーマ。 このなかで取り上げられていた鹿児島市の取り組みに感心。大人たちが繁華街の見回りをし、若者への声かけを行うなどして、犯罪を抑制しているそうだ。なかなか、いい発想ではないか。監視カメラを取り付けたらオッケーという単純なものではないことも、英国での先例が証明している。 最近僕が書いたオンフィールドコラム「咎めない大人たち」、「不安解消が不安を呼ぶ」と共通する部分が多く、「やっぱりそうだよなあ」などと興味津々で見た。6月1日の深夜に再放送があると思うので、お見逃しなく。 |