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【No.134】 2004年4月16日号
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どこへ行った「そもそも」論 イラクでの日本人3人拘束事件が、3人の解放というかたちで幕を閉じました。無事で何よりでした。喜ばしい気分はもちろんなんですが、事件が解決に向かう経過のなかで国の対応に苛立ちを募らせた家族へのバッシングが巻き起こり、「3人は迷惑をかけたことを謝るべき」といった空気が流れてきたことには、違和感を感じます。 3人は誰に、どれほどの甚大な迷惑をかけたと言うのでしょう? そもそもの発端は、日本がイラクに自衛隊を派遣したことです。これがなければ、おそらく少なくとも圧倒的多数のイラク人は日本人に危害を加えようとは思わなかったはずです。ではなぜイラクに自衛隊を派遣したのか。それは大量破壊兵器を持っているからと戦争を始めたアメリカの意志を妥当だと考えたからです。 では、そもそもアメリカの戦争に正当性はあったのか。ここが大きな問題でしょう。いまだに大量破壊兵器は見つかっていない。ブッシュ大統領のことだから、大量破壊兵器を持ち込んでイラクの地に埋め、「ほら、ここにあった」などと大芝居を打ちかねませんが……。 たとえ日本の自衛隊は人道支援が目的だと主張しても、そう受け止めるかどうかはイラク人次第。ピストルを持ってやって来た見ず知らずの人を、敵か味方か判断しかねるのは当たり前です。ましてや“敵”と同類の国から来ているわけですから。 3人が自己責任で現地へ行ったのは確かです。それは、アメリカが仕掛けたイラク戦争、これに追随した自衛隊派遣が間違っていると思い、現地の人の助けになりたい、イラクで起きている事実を伝えたいと思うからこそ行ったわけで……もちろん、どの程度の危険を承知していたのか、軽率な部分がないのか、疑問がまったくないわけではありませんが。 そして、3人を助けたのは、戦争(イラク戦争に限らず)の悲惨さ愚かさを世間に訴え続けてきた人たちだとボクは思っています。3人拘束の報道が流れ、日本政府が右往左往していた4月9日の朝、ボクのメーリングリストに、戦場カメラマンで土門拳賞を昨年受賞したカメラマン・広河隆一氏(日本ビジュアル・ジャーナリスト協会・代表)の緊急メッセージが流れてきました。このなかで広河氏が提案したのが「3人がどれだけイラクの人々のことを思って活動してきたかを、現地のマスコミに伝えよう」ということでした。これを見て、「なるほど、こういう方法があったか」といたく感心してしまいました。 広河氏が発信源となったこの動きは瞬く間に広がった、と思います。同様の努力を外務省が取り始めたのは後追いだったと思います。民間人3人が自らの意志で行き、民間人の努力で3人が助かった。いったい、誰に迷惑をかけたのでしょう。「世間様を騒がせて」という部分では「すみません」と謝ってもいいと思いますが、自らが行動を起こしたことを反省する必要がどれだけあるのか、やっぱりボクにはわからない。 この原稿を書いているのは16日金曜日の昼間ですが、間もなく3人が日本へ帰ってくるようです。そこで3人がどのような言葉を発するのか。ボクはそこに注目しています。少なくとも「もう二度と現地には行きません」などと、言うはずないと思っていますが……。 さて。自分自身も含めてですが、中東情勢の歴史的背景というものに、もう少し理解が必要な気がします。幸か不幸か関心が高まるなか、わかりやすく解説したテレビ番組や資料が増えてきました。ボクがとくに関心を寄せるのは、イスラム教です。仏教や神道、キリスト教などを身近な宗教として接してきた日本人、あるいは欧米人から見て、イスラム教がとても奇異に見えるのは確か。でも、あの砂漠だらけの貧しい国でアッラーの教えを頼りに生きてこざるをえなかった宿命のようなものも、最近感じるわけです。そんなことを思えば、国際的な最低限のルールには従ってもらうとしても、イラク人のことはイラク人に任せるという、寛大な心が必要ではないのでしょうか。 今回、拘束事件に巻き込まれた3人がどのような宗教に属しているか、無宗教なのかは知りませんが、少なくとも、イラク人が拠り所にしているものを認め、彼らが彼らとして生きることをサポートしようとしているように見受けられます。3人が取り組んでいる個々の活動の是非については議論があったとしても、そのような寛大な心を学び取るべきところは、大いにあるように思うのですが。 |
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