オンフィールド音楽研究所

2008,2,27

039●オンフィールド音楽大賞2007(1)

所長●今年も「オンフィールド音楽大賞」発表の日がやってきた。

秘書1号(以下、1号)●今回で第2回ということになりますな。

所長●今回はちょっぴり趣向を変えて、地域別のベスト5を発表してみたい。本当は「ミュージック・マガジン」誌に敬意を払って、同等の地域別&主要ジャンル別ランキングにしたかったのだが。

1号●同誌では、「ロック(アメリカ/カナダ)」、「ロック(イギリス)」、「ロック(日本)」、「歌謡曲/ポップス」、「R&B/ソウル/ブルース」、「ハウス/テクノ/ブレイクビーツ」、「ワールド・ミュージック」、「ラップ/ヒップホップ(海外)」、「ラップ/ヒップホップ(日本)」、「ロック(ヨーロッパ)」、「音楽DVD」、「ジャズ」、「レゲエ」、「東アジア」の14ジャンルでベスト10またはベスト5を選出してますな。

所長●複数音楽評論家&音楽ライターによる合議制でね。

1号●よく揉めないよね。

所長●いや、それなりに揉めているでしょう。まあ最終的には、選者の力関係も左右してくるだろうと想像するが。

1号●まあね。

所長●その点、「オンフィールド音楽大賞」は、1人による合議制だから。

1号●あんたの独断と言い換えた方が適当。

所長●僕の中にも、いろんな僕があるから難しいんだよ。その日の体調によっても好みが違うし。

1号●じゃあ、とっとと発表してちょ。

所長●ではまず、全米部門から。

  アルバム名 アーティスト名
1 エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス フー・ファイターズ
2 イヤー・ゼロ〜零原点・・・ ナイン・インチ・ネイルズ
3 ファイン ジョニ・ミッチェル
4 ネヴァー・ターン・バック メイヴィス・ステイプルズ
5 マジック ブルース・スプリングスティーン
リベルタド ヴェルヴェット・リヴォルヴァー

1号●グラミー賞のロックアルバム賞に輝いたアルバムが1位ですか。

所長●ああん、それは言わないで。まるで最高権威に影響を受けたみたいな印象を与えるではないか。実は1位は昨年末あたりには決めていたのだ。

1号●ついでに言えば英国のグラミー賞、Brit Awards2008では、最優秀インターナショナル・アルバム賞を受賞している。

所長●だよねえ。「エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス」はフー・ファイターズの最高傑作だと思っている。前身のニルヴァーナも含めてね。僕が購入した輸入盤は収録時間が50分程度で、最近のロックアルバムでは少なめなんだけど、完成度が非常に高くて、構成もきっちりしている。 諸手を挙げて拍手喝采の作品だった。にも関わらず、日本のロック誌では軒並み評価が低かったんだよなあ。

1号●ほお。

所長●「ミュージック・マガジン」と「DIG」ではランク外。「ロッキン・オン」でも21位だった。これらの雑誌を見て、僕は唖然としたよ。

1号●その他も、大物のベテラン揃いだね。

所長●うむ。ベテラン揃いでもあり、ピーター・バラカンさんと渋谷陽一さんと伊藤政則さんの好みを足して3で割ったようなセレクトとも言える。

1号●ムフフ。

所長●この中でいちばん知名度の低いアルバムはメイヴィス・ステイプルズの「ネヴァー・ターン・バック」だろうね。 元ステイプルズ・シンガーズの女性R&Bシンガーだけど、バラカンさんが大好きなライ・クーダーとの共演が絶妙のスパイスになっていた。黒っぽいロックが好きな人にも、ぜひチェックしてもらいたいね。

1号●なるほど。

所長●では続けて、全英部門。

  アルバム名 アーティスト名
1 ハッツ・オフ・トゥ・ザ・バスカーズ ザ・ビュー
2 イン・レインボウズ レディオヘッド
3 バック・トゥ・ブラック エイミー・ワインハウス
4 フィアー・オブ・ア・ブランク・プラネット ポーキュパイン・ツリー
5 ヘイ! ヴィーナス スーパー・ファーリー・アニマルズ
フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー アークティック・モンキーズ

1号●新人のデビューアルバムが1位だ。

所長●うむ。UKからは今年も新人バンドが続々出てきたけれど、ザ・ビューは頭1つ抜けた存在だったと思うな。まあ、このランキングでベスト3はどれが1位でも良かったんだけど。

1号●ロックファンの間ではレディオヘッドの新作が大好評みたいだ。

所長●だね。「ロッキン・オン」では 1位になっていてビックリ。僕もレディオヘッド復活を大いに喜びたいんだけど、どうしても「OKコンピュータ」の衝撃と比べてしまう。そこで敢えて2位に。

1号●4位と5位は、日本では知名度の低そうなバンドだ。

所長●ポーキュパイン・ツリーはヨーロッパでは売れているのに、なかなか日本で人気に火がつかないプログレ系のバンド。前回の大賞では「裏・アルバムベスト5」の4位に入れた。過去のオリジナルアルバムが紙ジャケで日本初登場、するようだが。

1号●スーパー・ファーリー・アニマルズもバンド歴は長いが、コアな人気にとどまっているようだ。

所長●うむ。数年前に初めて知ったバンドなんだけど、すごく珍妙なバンドだよね。このアルバムは、ビーチ・ボーイズが変態オヤジになったような仕上がりだ。昼間は厳格な総務部長なのに、夜は歌舞伎町で大変身、みたいな。

1号●どういう形容なんだか。

所長●では続けて、米英以外部門。

  アルバム名 アーティスト名
1 ザ・ハート・オブ・エヴリシング ウィズイン・テンプテーション オランダ
2 レヴェランス〜音楽よ、ありがとう! アンリ・サルヴァドール フランス
3 HVARF-HEIM〜消えた都 シガー・ロス アイスランド
4 レッド・アース ディー・ディー・ブリッジウォーター マリ
5 ダイイング・トゥ・セイ・ディス・トゥ・ユー ザ・サウンズ スウェーデン
ヴォルタ ビョーク アイスランド
ソレイユ 中納良恵 日本

1号●1位は以前にもここで紹介しましたな。しかしまあ、見事にバラバラだ。 国もジャンルも。

所長●ベスト5をジャンルだけで言えば、1位からゴシックメタル、ボサノバタッチのシャンソン、プログレ、アフロっぽいジャズ、ポップパンクといった具合。

1号●世界は多様ですな。

所長●まったくね。2位のアンリ・サルヴァドールは、去年の初めに初めて聴いてから、ずっとベストアルバム候補から落とせなかった佳作。残念ながら、先日亡くなってしまったようで、遺作のようなタイトルのアルバムが本当に遺作になってしまった。89歳の歌声とはとても信じがたい色艶だった。

1号●かつての「ブエナビスタ」勢を思わせる。

所長●シガーロスのアルバムは旧作のライブなどが中心だから、新作とも言い切れない。最初は選外だったのだが、どうにも良すぎて、控えめに3位へ。ディー・ディーは正確に言うとアメリカ盤だと思うのだが、自らのルーツをアフリカのマリ共和国に求めて、同地のミュージシャンと録音した作品。バラカンさんもイチ押ししていた作品だ。

1号●よく分からないのが、5位のザ・サウンズ。

所長●スウェーデンのわがまま娘っぽい女性がボーカルのポップパンクバンドだ。B級作品のニオイもプンプンするが、出来映えが意外といい。世間では知られていないので、あえて5位に。

1号●次点ながら、J-POPも入っている。エゴ・ラッピンの女性ボーカルのソロ作品だよね。

所長●J-POPのアルバムはあんまり聴いていないので、正当な評価とは言い難いが、この「ソレイユ」はずっとiPodに入っていて、なかなか捨てられないアルバムになった。その他ではUAの「Golden Green」、安室ちゃんの「PLAY」、ミスチルの「HOME」にも好感を持ったのだが、まあ、わざわざ僕がリストアップしなくても、という感じ。

1号●ということで発表終了ですか。

所長●まだ続きがあるぞ。次は個別の賞の発表と、総合ベスト10の発表だ。しばし待たれい。

-posted by 所長@15:05PM


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