オンフィールド音楽研究所

2008,2,1

038●イエティ(Yeti)

所長●明けまして、おめでとうございます。

秘書1号(以下、1号)●もうすっかり2月だけどね。

所長●長文の原稿締め切りを抱えていたから、息抜きするヒマもなかったのだ。

1号●商売繁盛ですな。

所長●なのに貯金が全然できないのは、どうしてだろう。CD1枚購入するにも慎重になるほど、財布の紐はかたいのだが。

1号●出版業界は、立派な構造不況業種だからねー。

所長●年末ジャンボ宝くじを3枚買っていたんだけれど、万一当たったりすると仕事する気がなくなるから、当選番号のチェックもしていなかった。

1号●それはそれは、用心深いことで。結果は聞くまでもなさそうだ。

所長●まったく、言うまでもない。

1号●だろうね。

所長●そんなビンボー人も、買って間違いナシの隠れ名盤をご紹介する。

1号●ほうほう。

所長●バンドの名前はイエティ。

1号●国籍不明の、存在感の薄そうな名前だな。

所長●彼らのことを知ったのは、愛しのナヲちゃんがMCを務めるCS(スペースシャワーTV)の音楽番組「洋楽ワールドライド」で、彼らのアコースティックスタジオライブを見てから。

1号●あ、そんじゃ来日してたんだ。

所長●そう。ろくに話題にもならなかったけどね。来日がそれなりに楽しかったのか、彼らの公式サイトには、日本での写真が一杯掲載されている。公式サイトはこちら。
http://www.yetiintelligence.com/
来日時の写真はギャラリーで見られる。「Pirates Of The Carribean Session」とキャプションがついている写真が、スタジオライブの模様だ。
http://www.yetiintelligence.com/gallery.html

1号●UKのインディーズバンドみたいだね。

所長●インディーズということもあって、公式サイト以外では、ほとんど情報がないんだよね。彼らについて語った日本語ブログもほとんどない。

1号●確かに、Yetiで検索しても、ウインタースポーツ関係のサイトばかりだ。

所長●それなりにロックを聴いてきた人なら、04年に活動を停止したザ・リバティーンズのベーシスト、ジョン・ハッサールが結成したバンドと言えば、少しは興味が募るかもしれないが。

1号●ハッサールか。名前も国籍不明な感じだな。

所長●メジャーな舞台で活躍してきたミュージシャンが中心のバンドなのに、何故かインディーズ契約なんだよなあ。不思議だ。意図的かもしれないが。

1号●ザ・リバティーンズと言えば、セックス・ピストルズの再来とも囁かれたパンクバンドらしいね。中心メンバーは、暴れん坊のピート・ドハーティ。彼が率いるベイビーシャンブルズは、結構有名のようだ。同じくザ・リバティーンズをルーツとするバンドとしては、ダーティ・プリティ・シングスも人気を集めた。

所長●うむ。ザ・リバティーンズやダーティ・プリティ・シングスは格好良いと思うが、ベイビーシャンブルズの音はあんまり好みじゃない。それはともかく、2つの有名バンドに比べるとイエティの知名度がかなり低いのは確か。

1号●イエティの音は、どんなかね。やっぱりパンク路線?

所長●ところがどっこい、その正反対。

1号●と言いますと。

所長●音楽サイトのCDジャーナルは、「ビートルズ・フレイヴァーあふれる楽曲やサイケデリックなナンバー」と表現している。また、イエティのアルバムを日本で発売しているインディーズ会社Vinyl Junkie Recordingsでは「ジョンの得意とするサイケデリックなサウンドやTHE LA'Sを彷彿とさせる軽やかなネオアコサウンドからマージービートまで」と紹介。
http://www.cdjournal.com/main/artist/artist.php?ano=170915
http://label.vinyl-junkie.com/discography/

1号●さっぱり、意味がワカリマセン。

所長分からんよね。では僕が分かりやすく表現してあげよう。イエティのサウンドは、「ソフトロック」だ。

1号●んあー。分かりやすすぎて、分かりにくいんだけど。

所長●でも、そのまんまだよ。サイケな部分がないことはないけど、イエティをサイケと言うなら、ブリトニー・スピアーズはもっとサイケでしょうに。

1号●存在自体がね。

所長●本当にソフトロックという表現がピッタリだと思うよ。何しろファーストアルバムは英語タイトルが「Yume」だもんな。どうやら日本語の「夢」をそのまま使ったタイトルのようだが、「夢」の文字が裏返っている。

Yeti邦題は「ユメ」

1号●あらら。

所長●実は「悪夢」の意味が隠されていたりして。

1号●深読みしすぎだよ。しかし、さっきのギャラリー写真によれば、メンバーの中には1人だけ東洋人がいるね。漢字の表裏が分からなかったのかな。

所長●チャン、という名前だから、素直に考えれば香港生まれの英国人ってところかもね。 「夢」は中国の漢字では「梦」だそうだ。最後の「夕」は形が似ているから、分かりそうなものだが、まあ、ご愛敬でしょう。

1号●いずれにしても、ソフト路線のジャケ写であるのは間違いない。

所長●どちらかと言えば、オアシスとか、コールドプレイとか、トラヴィスとも共通した美メロ路線がベースになったソフトロックだと思う。

1号●またもや、美メロですか。好きだねえ。

所長●彼らのプロモーションビデオがないようだから、YouTubeへのリンクはしないけれど、「Yeti」と僕の大好きな曲「merry go round」をかけあわせて検索すれば、何かが出てくる、かも。

1号●ハッキリ言えば、粗い画像で勝手にライブを録画した素人ビデオがね。

所長●昨年発売されたトラヴィスの新作が、やや期待はずれだったのに比べて、イエティは楽曲が粒ぞろいだね。UKのニオイをプンプンさせたロックンロールもあれば、ブレッドさながらの甘甘ソングもある。ちょうど、ちょっぴり高めの、袋入り詰め合わせ菓子のような感じ。ゼリーもあれば、ビスケットや差し歯が取れそうなヌガーもある、といった感じで。

1号●ヌガー。久しぶりに聞く単語だ。

所長●仏語では「nougat」。日本では音引きで表記しているが、最後のtは発音しないはずだから、「ヌガ」が正しいよな。

1号●お菓子の名前としては、あんまり語感がよくないね。

所長●ヌガといえば無我。藤波辰爾選手はどこへ行く。

1号●まあ、いろいろ生活かかってるから。

所長●ヌガといえば糠。僕はぬか漬けが大好き。

1号●あんたの食べ物の趣味はどうでもいいけどさ。

所長●ぬか漬けの中でも、深漬けが好きなんだよな。

1号●一般的には、浅漬けでパリパリ感のある方が好まれるが。

所長●スーパーでよく、298円くらいでぬか漬けセットが売っているじゃない。

1号●ああ、キュウリや茄子、ニンジンや大根も入ってたりする。

所長●あれに黄色い「30%引き」シールが貼られたくらいが、ちょうど美味しいんだよね。

1号●結局ビンボー話だな。

-posted by 所長@14:20PM


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