オンフィールド音楽研究所

2007,04,29

024エール(AIR)

所長●世の中には、検索に全く適していないアーティスト名があるものだが。

秘書1号(以下、1号)●本当にね。

所長●まず国や地域名のアーティストだよね。AMERICA、JAPAN、ASIA、BOSTON、CHICAGO、KANSAS。

1号●よくもまあ、こんな名前をつけてくれたよね。

所長●そして頻繁に使われる普通名詞一文字のアーティストで、最近すっかり忘れられたような名前も実に困る。BREAD、HEART、CHASE、FOCUS、MOUNTAIN、UFO、WARなどなど。

1号●情報にリーチしにくくって、困るよねえ。

所長●そして最近、一番困ったのが「AIR」だ。

1号●空気、ですか。大胆な名前だなあ。

所長●どこかの洋楽テレビ番組で昨年末ごろだったか、「AIRの新作がでる!」とかいうインフォメーションが30秒ほど出ていたんだけど、そのバックにかかっていたAIRのサウンドが僕の好きな系統の一つ、浮遊系だった。知らないアーティスト名だったから調べようと思ったけど、さっぱりワカラン。

1号●通常なら、アマゾンでまず検索するところだろうけど、とんでもないヒット数になりそう。

所長●以前、検索をしてみた時は、AIRで1931件、エアで356件がヒット。「ベスト・オブ・エアサプライ」などというものが出てきて、懐かしかったり。でも懐かしさに浸っている場合じゃないし。

1号●そんな時はどうするか?

所長●僕が時々便利に使っているのは、「CDジャーナル」(http://www.cdjournal.com/)のアーティスト検索。でも、AIRで検索すると246件も出て来たんだよねえ。よくよく見てみると、平浩二まで出てくる。

1号●平浩二って、あの「バスストップ」の。

所長●そうそう、72年の歌謡曲のヒット曲の一つ。TAIRA KOUJIだからさ、AIRが入ってる。

1号●あー。

所長●まあ、そんなこんなで苦労はしたが、ようやくお目当てのAIRを発見! フランスの2人組エレクトロポップバンドで、日本語表記は「エール」だった。フランス語風に発音すれば「エーグッッ」。

1号●こらこら、唾を飛ばすな。

所長●てっきり米英のポストロック系バンドだろうと思っていたから、思いもよらぬ展開なり。参考までに、情報収集中にはこんな記事を発見。
●「AIR」と「AIR」??? 同名アーティスト特集!
http://www.cdjournal.com/main/feature/feature.php?fno=259

1号●J-POPのアーティストにも「AIR」がいたんだね。

所長●みたいだねえ。しかし上記のコラム、できれば「マーク=アーモンド」と「マーク・アーモンド」の重複にも触れてほしかった。残念なり。似たようなことが書かれているコラムも、ついでにリンク。 http://www.onfield.net/hihou/contents/04.html

1号●正確に言うと、「書かれた」ではなく、あんたが「書いた」だけどね。しかも、同じように、検索性の難しさについて、ぼやいたコラムも執筆済み。
http://www.onfield.net/hihou/contents/06.html

所長●最近、同じ事を繰り返し言うようになった。これも老化の証なり。はっはっは。

1号●堂々と言われてもね。笑い方が、浪越徳治郎さんに似てきたよ。

所長●今の若いモンに浪越徳治郎って言っても、分からないだろうなあ。

1号●分からないだろうね。

所長●中学生の頃だったろうか、お昼のワイドショーに浪越徳治郎さんが出演していて、水着の女性をモデルに指圧を披露するんだよね。

1号●そして決めぜりふ「指圧の心は母ごころ、押して命の泉湧く! カッカッカ」

所長●そうそう。あの水着の女性にタッチする手さばきが、どことなく、イヤらしくて、それを見ていた僕はコーフン。

1号●いいよねえ、それだけでコーフンできたんだからねえ。

所長●いいよねえ。あの頃に戻りたいよねえ……。本当にねえ……。

1号●おーい、遠い目になってきたぞ。AIRの話題に戻っておいで。

所長●今年の2月末に新作「ポケット・シンフォニー」が発売された。まあ、この新作の国内プロモーションが始まったから、ようやくエールと読むんだということを初めて知ったわけだが。

1号●なるほど。

所長●CSではプロモーションビデオも一時期よくオンエアされていた。三味線を持つ白塗りの東洋人女性が登場する、良くも悪くも印象深いビデオだ。

1号●西洋人は、白塗りした日本人女性を登場させたがる。

所長●舞妓さんのイメージなんだろうが、あまりにもステレオタイプだ。

1号●まあ、日本人も外国人に対して、同じようなことをしている、とも言えるけど。

所長●よくよく調べてみると、この新作は、結構日本的なものを採り入れているようだ。三味線や琴を使った楽曲がいくつかあるし、8曲目には「Mer du Japon」という曲もある。邦題は、ズバリ、「日本海」。

1号●あー、演歌の世界だね。都はるみと、石川さゆりの顔が浮かんでくる。

所長●ナンでも、このアルバムは禅の思想を表現したアルバムだそうで。

1号●禅の思想かぁ。フランス人が好きそうなテーマだ。

所長●まあね。でも、いかにもコテコテした日本っぽさではなくて、あくまでもメランコリック&ロマンチックなエレクトロポップでアルバム全体が貫かれている。何も説明されなければ、琴や三味線を使っていることにも気づかないだろうね。

1号●弦楽器の一つとして、うまく溶け込んでいる、と。

所長●そういうことだな。あと、アルバムを聴いていると、どこかで聴いたことがある曲があってね。何だろうと思っていたら、前回の「オンフィールド音楽大賞」の年間アルバムランキングで3位に入れた、シャルロット・ゲンズブールのアルバム「5:55」に収録されていた曲だと気づいた。作者はエールの2人だから、こっちが原曲ということになるね。

1号●何だか、フランスづいているよね。

所長●そうねえ、偶然だけど。

1号●フランスのエレクトロバンドといえば、ダフトパンクの方が有名だ。

所長●日本ではそうだろうが、本国ではAIRとともに二大バンドと受け止められているらしい。ダフトパンクとの大きな違いは、AIRの2人は素顔を出していること。

1号●普通は素顔だけどね。

所長●しかし、昨年のサマソニのダフトパンクはいただけなかった。彼らのキャラクターとはいえ、全身かぶりもので、ステージの奥深く高いところに位置するブースみたいな中に入ったまま演奏していたでしょう。

1号●演奏していた、と思うけどね。でも、別人がかぶり物して演奏しているフリをしてても、誰にも見抜けないだろうね。

所長●見抜けないよ。口パクならぬ、身体パク。

1号●身体パク、って。

所長●ダフトパンクもサウンドそのものは好きだけど、胸キュン万歳の僕としては、AIRに軍配を上げたい。

1号●まあ好きずきだけど。

所長●エールの本国の公式サイトでは、過去のビデオクリップが視聴できるので、お薦め。なかには、テレビでは放映できないものも。
http://www.pocket-symphony.com/

1号●フランス発信の映像で放映できないモノとなれば、エッチ系ですかな。

所長●ご明察。まあ、別にどうってことないレベルの過激さだけどね。むしろ、浪越徳治郎さんの手つきの方がコーフンを誘う。あのワイドショーの映像が見たいなあ……。良かったなあ……。

1号●1人で遠くへ行ってなさい。

-posted by 所長@03:00PM


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