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161(04/11/20)
「取材と偽り…」

 さて。もう一週間以上前のニュースだが、バラエティ番組に出演したことがある観光牧場の支配人を、その後の追跡取材と偽って呼び出し、お金を脅し取る事件が発生した。こういう事件、今後もちょくちょく発生しそうな予感がする。世の中、出たがりの素人さんも少なくないので、甘い言葉にはご注意を。

 微罪の類でいえば、例えば飲食店の取材を偽って無銭飲食する輩もいるだろうな。適当な情報誌の取材を名乗り、まあ、ちょっと工夫すれば8割方は成功しそうな気がする。あまり詳しい手口をここで伝授するわけにはいかないが、過去に情報誌系の食べ物取材などをやった時、「食うに困ったら、こうやって、タダで飯が食えるよなあ」などと感じたことを思い出した。

 ちなみに、実際の食い物取材は、端で見ているほど楽しいモノではない。いや、むしろ苦痛である。一日何軒もラーメン店取材をし、そのほとんどで「まあ、食っていってよ」と言われたら、どうするか…。こういう仕事は、若いフリーライターにお任せしたい。

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162(04/11/20)
今年も大きな山を越えました

 さて。毎年恒例の大仕事で、10月から多忙な日々を過ごしてきたが、僕の仕事はおおむね終了。毎日、朝起きてから寝る直前までパソコンの前で働く日々を1カ月半続けると、相当身体がなまってしまう。以前は、チャーハンを作ろうとして中華鍋を振ったとたん、腕を痛めてしまった。地下鉄の階段を上ると、息が切れる。あまりの体力、筋力の衰えに、愕然とする。

 気がついたら、もうクリスマス音楽が聞こえる季節になってしまった。そろそろ来年の展望をしなければ。来年は、二作目の自著が書きたい。テーマの候補は複数あって、どれもネタの仕込みは始めているが、いずれにしても相当時間を要するルポルタージュものだ。長期的展望で時間のかかる仕事をすれば、日々の収入に困る。日々の収入に奔走すると、大きな仕事はできない。フリーライターはおおむね、このようなジレンマを抱えているが、生涯のうちにせめて3、4冊くらいの本は出したいものだ。

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163(04/11/25)
フジタ“Jr”ハヤト、いよいよプロレスデビュー

 さて。障害者プロレス「ドッグレッグス」にスタッフとして参加し始めてから、早くも丸11年がたつ。僕が参加して間もなく、脳性マヒをもつ男性がレスラー志願でメンバーに入ってきた。藤田孝之さんである。その昔、パラリンピック出場も打診されたことがあるアスリートで、学生運動で暴れた経験をもつ根っからの武闘派(笑)だ。まん丸笑顔が印象的な奥様の薫さんも、脳性マヒの障害者である。2人の間には当時、小学校に上がって間もない小さな坊やがいた。名は勇人(はやと)という。

 勇人くんは、父親の藤田孝之さん、いや、リングネーム「ゴッドファーザー」の活躍を見ながらプロレスラーを夢見て、「ゴッドファーザーJr」のリングネームで、8歳のときに「ドッグレッグス」のリングに上がった。障害者の父と、まだ幼い健常者の息子との親子対決は、ドッグレッグスの中でも、看板試合の1つになった。小学校時代から空手を習い、高校ではアマレスで活躍してきたが、すべてはプロレスラーになるためだった。

 その勇人くんが、今年の夏、高校3年生ながらプロのプロレスラーとして「みちのくプロレス」に入団。いよいよ来週12月3日(金曜日)に後楽園ホールでデビューする。リングネームは「フジタ“Jr”ハヤト」になったようだ。プロレスラーになることだけを考えて青春時代を送ってきた勇人くんの夢が、いよいよ叶う。いきなり、メインイベントでのデビューである。相手は同じく今年1月、10代にしてプロレスデビューした中嶋勝彦選手。

 当日は、リングサイドかぶりつきで観戦するが、冷静に試合を楽しむ自信はない。

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164(04/11/28)
日本人はいつからこんなに、お行儀が悪くなったのか

 さて。大相撲九州場所が終了した。魁皇の綱取りが注目された今場所、日本人横綱を作りたくて作りたくて仕方がなかった日本相撲協会としては、おそらく、12勝3敗の成績ながら横綱への昇進を決めるだろうが、それはともかく。

 毎度気になるのは、観客の座布団飛ばしだ。今年の五月場所だったか、北勝力が朝青龍の連勝記録を止めたときの座布団飛ばしが契機になったのか、朝青龍が負けるたびに、「ざまあみろ」と言わんばかりの座布団乱舞。今場所は初めて、勝ったときも「こんにゃろー」と言わんばかりに座布団が飛んだ。何だか、タガが外れてしまった感じがする。

 お行儀が悪すぎる。あまりに見苦しい。過去にも座布団飛ばしはあったように思うが、横綱がふがいない負け方をした時に、叱咤激励の意味で飛んでいたように記憶している。でも、朝青龍の場合は、バッシングの感情があからさまである。いったい誰が、今の大相撲界を支えているのだ。他でもない横綱・朝青龍ではないか。かつては朝青龍も物議をかもしたが、今や横綱の鑑である。だから言わんこっちゃない

 砂かぶりや枡席には、お年寄りの観客も多い。そんな人たちに座布団をぶつけて、ケガを負わせるかもしれないなどと想像もせずに、憂さ晴らしのようにガイジン横綱に当てるなんて、実に恥ずかしいこと。観客席には、地元の小学生たちが団体で来たりもしている。子供の前で、よくもそんなことができたものだ。

 日本相撲協会のもとにも、それなりに苦情の声は届いているだろうが、全席禁煙よりも、土俵の女人禁制を解く・解かないよりも、速やかに解決すべき問題だと思う。観客へのしつけも、興行主の仕事だと強く言いたい。

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165(04/12/04)
おめでとう、ハヤト

 さて。先にも記したような経緯で、みちのくプロレス後楽園ホール大会で、フジタ“Jr”ハヤトが見事にデビューを果たした。まばゆいスポットライトを浴びて登場したハヤトは、アマレス仕込みの猛烈タックルを見せるなど、持ち味を発揮、逆エビ固めでギブアップ負けしたが、万雷の拍手を受けて上々のスタートを切った。

 飛んだり跳ねたりの面白さがある「みちプロ」のなかでは異色の、総合格闘技っぽい(的確にいえばU-styleっぽい)技の応酬だったが、新人レスラーのデビュー戦、相手もデビュー1年目の中嶋勝彦選手とあって、10代同士の荒削りな意地の張り合いが前面に出ていて、観客を十分に魅了できていたように思う。

 何より嬉しかったのは、子供の頃から夢見てきたプロのリングに立てた喜びを、全身で表していたところだ。試合後のコメント「リングは最高。思っていたとおりの場所だった」にも納得。リング映えするプロレスラー体型の作り方など今後の課題は多く、これからが試練だろうが、ハヤトには「夢見ることの強さ」を見せつけてほしい。


▲ベーシックな「逆エビ固め」で無念のタップ。対戦相手の中嶋選手も、いい選手だ。


▲試合終了後、両親のもとに駆け寄り、父親の孝之さんと抱き合うハヤト。

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