071〜075

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071(03/02/24)
「愛なんていらねえよ、夏」

 さて。昨年夏にTBSで放映されたドラマ「愛なんていらねえよ、夏」(脚本/龍居由佳里、演出/堤幸彦ほか)を、全10話、一気に鑑賞した。人間の痛々しさや、楽しさや悲しさ、力強さが独特のカメラアングルや実験的な映像を通してビシビシ伝わってくる快作だ。

 視聴率的にはふるわず、芸能マスコミ的には「薄幸なのに太りすぎ」と広末涼子が酷評され、あまりにも画面が暗すぎる、などとも言われたが、上々の出来映えだったと思う。素晴らしいドラマを作ったスタッフやキャストに拍手。レンタル(ビデオ、DVD)されていたら、ぜひ鑑賞してみてほしい。全10話のうち2話まで観たら、もう虜になってしまうだろう。

 さて。演出家の堤幸彦氏は、その筋(観る目が肥えた映像ファン)では注目を浴びている人のようだ。最近では、ショートムービー集の「JAM FILM」にも参加(作品名は「HIJIKI」)しており、新作映画「恋愛寫眞」の完成も近いと聞く。今後、チェックしていきたい。

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072(03/02/24)
羨ましくて仕方ないグラミー賞

 さて。WOWOWでグラミー賞(Grammy Awards)の授賞式を観た。さまざまなジャンルの著名なミュージシャンや往年の名優が登場し、世代やジャンルを超えて検討を称え合うシーンは微笑ましかった。映画も政治もアメリカ流は嫌いだが、グラミー賞だけは観るたびに、羨ましくて仕方がない。

 日本で言えば、森重久弥や八千草薫などの名優が司会役で登場、北島三郎がUAに女性シンガー賞を渡し、島倉千代子がphatにジャズ部門の賞を渡し、ダークダックスがRIZEにヒップホップ部門の賞を渡し、内田裕也が氷川きよしに演歌部門の賞を渡し、幕間のショーでは東京スカパラダイスオーケストラの演奏でちあきなおみが「喝采」を熱唱し、矢沢永吉が故・村田英雄に功労賞を渡す……といったところか。

 ノラ・ジョーンズやエミネム、コールドプレイ、サイモン&ガーファンクルの生演奏は堪能できたし、先頃亡くなったビージーズのモーリス・ギブさんへの弔いの気持ちも漂っていて心憎いショーだった。こんなショーを日本武道館でできないのが、悔しい、悔しい。

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073(03/03/01)
ついでに英国の「ブリット・アウォード」も

 さて。実際の開催時期は前後するが、英国ではアメリカのグラミー賞にあたる「ブリット・アウォード(Brit Awards)」が開催され、これもWOWOWで観ることができた。

 グラミー賞が格調を重んじたオジサマ御用達音楽イベントとすれば、こちらはファンと等身大の音楽イベントという感じ。日本なら「下品だ!」と抗議の電話が来そうな女性が司会を務め、女性パンクロッカーのピンクの演奏で開幕。近衛兵の男が帽子と服を脱ぎだし、網の目状のパンクファッションで踊り出すという趣向だ。面白い面白い。

 グラミー賞ではノラ・ジョーンズの一人舞台だったが、ブリット・アウォードでは、オアシスやレッド・ホット・チリペッパーズなどを破って2冠を達成したコールドプレイ(とエミネム)が主役。ノラもコールドプレイも、数十秒程度のビデオクリップを一度観ただけで「いい!」と直感し、何も知らずにアルバムを購入して、以前のコラムでも紹介したわけだが、いい音楽を聴き分ける能力は衰えていないなと、ちょっぴり自画自賛。

 ブリット・アウォードのトリを務めたのは、特別功労賞に輝いた御大トム・ジョーンズ。60歳を過ぎたオジサマとは思えないパワフルな歌声で、往年の名曲「デライラ」を今風のアレンジで披露し、会場でアーティストもファンも踊り出した。こんな音楽イベントが、どうして日本でできないのか。北島三郎の歌声に矢沢永吉が腰をくねらせ、矢沢永吉の歌声に合わせて北島三郎がタオルを投げる。……無理じゃないと思うけれど。

 英国でもアメリカでもメガヒットを記録しながら、無冠に終わったアヴリル・ラヴィーンはかわいそうだったが、彼女には未来がある(か?)。ハイティーン特有のふくれっ面で唄う様は、それなりに魅力的だった。

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074(03/03/01)
椎名林檎のビデオクリップ

 さて。各種インタビューでなかなかの確信犯ぶりを示した椎名林檎へのご祝儀として、新作アルバム『加爾基 精液 栗ノ花(カルキ ザーメン クリノハナ)』を購入。アルバムの評価そのものは個人的な好みとして辛口にしたいが、そのアーティスト性には目を見張るものがある。何でも、映画風のDVD最新作がカンヌ映画祭に出品されるとか。

 先日、WOWOWの「ビートファイル」で彼女が特集され、そのビデオクリップの数々を楽しんだ。98年のデビュー曲「幸福論」で、最後に自転車で疾走するシーンがあるが、あれれと思ってよく観ると、やっぱり。僕の仕事場のすぐ近所でないの。クルマの通りも少なく、確かにロケ地としては最適。

 仕事場の周辺は、映画やテレビの撮影所なんかがあって、知る人ぞ知るユニオン映画の石立鉄男シリーズ作品でも、見慣れた風景が登場してくる。関西に永く住み、ご近所が映画やテレビで出てくることがなかった僕は、ああ、東京に住んでいるのだなあ、とつくづく実感。

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075(03/03/09)
山口百恵のCD-BOXセット

 さて。山口百恵の全アルバム22枚におまけの2枚、全ジャケット写真付きという、まさしく「コンプリート」なCD-BOXセットの予約受付が始まった。これだけついて3万円弱は、お買い得なのだろう。彼女が引退してから、数々のベスト盤やアレンジ変更盤などが出されたが、今回は初めて食指が動く。

 予約受付は23日(日曜日)まで。デビュー30周年だそうである。全22枚のオリジナルアルバムはリアルタイムにすべてを購入して聴いたが、今でも胸がキュンキュンしてしまうのは「15歳のテーマ ひと夏の経験」だ。当時、僕はウブで思い詰めた17歳。ジャケット写真を見たときの、激しい胸の鼓動を覚えている。

 買おうか、買うまいか。長い間、物置に放置したまま封印していたタンスを開けるか開けないか、に似ている。

●関連リンク「山口百恵『さようならの向こう側』に」(1980年少々百科より)

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