011〜015

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011(02/05/01)
亀と戯れる。

 さて。ゴールデンウイークに遠出する時間も金もないので、恵比寿からぶらぶら目黒方面へ歩きつつ、「国立科学博物館附属自然教育園」に行ってみた。JR山手線のすぐ外側、首都高速道路2号線が走るすぐそばに、広大な森が広がっていて、敷地内には数々の樹木や草花が生い茂っている。桜は早々と散ったが、名前も知らない小さな草花たちが茂みのなかに顔を覗かせていて、ぶらぶら散歩に好適だ。

 園内を奥の方まで歩いていくと、水生植物園がある。池や湿地で生育する花を鑑賞できるのだが、気になったのは池のなかで生息する生き物の少なさだ。池の主をつとめているのは、どんよりと泳ぐ亀たち。ほかにはアメンボが少々いるだけで、魚も水鳥も見当たらず、生態系がぶっつり途切れているような印象。

 いたずら半分で、亀をおびき寄せてみた。餌をやるような大きな仕草を見せると、遠くから亀がのこのこ泳いできて、ボクの顔を見ながら口をぱくぱくする。家の中で飼っている金魚やメダカに通じるこの手法が、亀にも通じるとは思わなかった。近くにいた幼児が、「亀使いのおじさん」と化したボクを不思議そうに眺めているので、亀を寄せ付ける秘法を伝授してあげた。

 ちなみに、園内でよく見かけた野鳥があった。それはカラス。周辺の住宅地でたらふく餌を食べ、自然豊かな園内で居を構えている様子。都心に残る自然をいちばん楽しんでいるのはカラスらしい。


「エサをくれないなら、呼び寄せないでくれる?」(亀・談)

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012(02/05/05)
歩く、歩く、歩く。

 さて。連れ合いとともに吉祥寺から小金井公園まで、玉川上水沿いをテクテク歩く散歩に出かけた。この玉川上水、教科書ふうに解説すると、江戸時代の人口急増に伴って急速施工で作られたもので、取水源は多摩川。現代では淀橋浄水場まで水が引かれていたそうな。淀橋浄水場は今の西新宿高層ビル街があったところだ。

 井の頭公園から小金井公園付近まで、今も幅1mほどの細々とした流れを保つ上水沿いに、ほぼ直線に細長い遊歩道が設けられていて、ここをひたすら歩いていった。天気のいいゴールデンウイークなのに、何の観光施設もない遊歩道の散歩を楽しむ人はまばらで、土手に咲く花を観賞しつつ、のんびりとした散歩の旅。

 花の写真も撮ったが、柄ではないので、下の写真をお見せしよう。とくに夜ともなればますます人影まばらになる遊歩道での、痴漢の被害を訴える看板だ。こんなに怪しげな見てくれの痴漢なら、防ぎようもあるのだけれど。

 さて、旅の終着点は小金井公園。人影まばらな遊歩道からは一転して、「家族サービス」てんこもりの園内に思わずたじろいでしまう。土手をソリで滑れる施設があるようで、カラフルなプラスチック製のソリを片手にした家族連れでにぎわっていた。園内の芝生では、家族連れの喧噪をよそに、ビニールシートを広げてチーズにワインを楽しむ、まったりとしたカップルなんぞもいて、「ふむ、こういう手もあったか」と、妙に納得。

 意外なめっけものは、園内にある「江戸東京たてもの園」だ。何の予備知識もないままに入ったのだが、「江戸時代の農家から昭和初期の看板建築まで、いろいろな建物を復元(パンフレットより)」した博物館で、往時をほうふつとさせる建物の数々に、遺伝子に刻み込まれた懐かしさがこみ上げてきた。園内奥にある「子宝湯」の外観を見て、「千と千尋の神隠し」みたいだなあと思ったのだが、帰り際、売店でキャラクターグッズが売っていたのを発見して、やはりそうだったのかと、再び納得。

 衝動買いしてしまったのは、下のブリキのおもちゃ。ゼンマイ仕掛けで、8の字に走り回る様子を見て、思わず財布のひもがゆるんでしまった。何で、ここまで来てこのような玩具を買ってしまったのかと、自らの小市民ぶりに反省しきり。

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013(02/05/16)
大人は音楽をお忘れですか。

 さて。物書きでありながら、一人の生活者としては本よりも音楽が好き。それも、いい歳をこいて、若いニューカマーのアーティストをチェックするのが好きと来ている。仕事場では、いつもFMをBGMに欠かさない。

 最近では、2年ほど前から「エゴ・ラッピンはいいよ!」と周囲に吹聴し回って、最近になってようやく「いいね!」と返答してもらえるようになった。再リリースされた「色彩のブルース」は未だにスマッシュヒット中で、近頃のヒットチャートでは珍しいロングランヒットを続けている。昨年末、東京お台場のライブハウスZepp Tokyoで生ライブを楽しんできたけれど、観客層に同じ中年がほとんどいなかった。大人たちは、音楽の楽しみを忘れて酒場でくだを巻いているのか。

 これに次いで、いまご執心なのはオレンジ・ペコー。まもなくメジャー初アルバムをリリースするとあって、楽しみ楽しみ。シーボン化粧品のCM曲にもなっているから、一度聴けば「ああ、知ってる、この曲」と共感してもらえるに違いない。RIZEもお気に入りだ。「RIZEっていいよね」と、バンドをやっている30歳の友人に言ったら、「建野さん、若すぎる」と舌を巻かれたけれど、そんなものかなあ。

 さて。先日、取材先の某大学教授の研究室で、チャコール・フィルターというバンドのポスターが貼られているのを、めざとく見つけた。大学の研究室では、あまり見かけない類のポスター。「これ、何ですか?」と尋ねると、「息子がやっているんだ」と先生。何でも、今週金曜日(17日)の「ミュージック・ステーション」に出演するのだとか。「凄いじゃあないですかー」と僕。

 活きのいい若いバンドがどんどん台頭してくるのは気持ちいいことだ。どっこい、おじさんバンドが相も変わらず不良スタイルでガンガンやっているのも気持ちいい。いまどき、好きなことを好きなままにやっている人ほど、格好いいものはない。

 ところで、この某大学教授のサイトは、当サイトのコラムでもご紹介済み。え?誰だって? 答えはこちら。「へー」って、言いたくなるでしょ。

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014(02/05/23)
こっぱずかしい。

 さて。先週末に、銀座で開催されていた「AIBO EXPO 2002」を覗きにいった。個人的に興味があったというより、仕事上の情報収集が目的だ。この催しの目玉は、AIBO誕生3周年を機に発売される新型AIBOのお披露目。ファンシーな「ラッテ&マカロン」に、通信機能を加えて、ロボットとのコミュニケーションが楽しめるという代物。僕の好きなパグ犬ふうの、ちょっぴり悪ガキっぽい顔をした新機種も登場した。想像以上に愛らしく、思わず顔がほころんでしまう。

 開発に携わった若い男性社員が親切に説明してくれて、わかりやすかったのはいいのだけれど、気になったのはキャンペーンガールのお姉さんたち。太股あらわなホットパンツ(言い方が古い!)姿で、プライベートルームふうのお部屋に足なんか投げ出したりして、ちょっぴりエッチなポーズ。AIBOと親密そうに会話をしている。

 じいっと眺めていた(お姉さんの太股ではなく、新AIBOを)僕に、お姉さんが「AIBOとおしゃべりしてみますか?」と話しかけてきた。ちょっぴり照れくさくなりながらも、ちょいと撫でてみる。むふっ、案外愛くるしい顔をしているじゃないか。もう一度、違う場所を撫でてみる。おっ、ひょっとして僕になついているのか?

 AIBOの気持ちを伝えてくれる端末を渡された。さっそく会話をしてみる。「おなか減った?」「減ってない!」。ふむふむ、そうか。じゃあ……「疲れた?」「疲れてない!」。なかなか利発ないい子じゃないか。

 僕は、「可愛いでちゅねー」なんて言いながら抱きかかえたい衝動に駆られてきて、ハッとした。いかん、いかん。今日はAIBOの進化を見届けに来ているのだ。冷静にならなければならない。新型AIBOとお姉さんにデレデレしている自分に気づいて、急に恥ずかしくなってきた。

 もっといろいろ、詳しく聞かなきゃと思いつつ、いたたまれない気分になって会場を後にした。間もなく45歳にもなる男の心を魅了するとは、AIBO、恐るべし、である。

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015(02/05/25)
3冊売れました。

 さて。今日は東京の古書の街・神田神保町で開かれた「神田すずらんまつり」で、僕が所属する出版フリーランスの組合・出版ネッツの出展に乗っかり、拙著『小倉昌男の福祉革命』の販売と、当HPの宣伝を行った。

 当初は、同じフリーランス仲間が10人以上参加してワイワイと販売するような計画もあったが、前日になって、たった2人だけという淋しーい人数であることが判明。お祭りのなかで、知名度もない著者がポツンと座り、道ばたで自著だけを販売する……救いようのない「寒い」光景が脳裏をよぎり、ちょいとたじろいだ。

 前日金曜日の夜、「ニュースステーション」で、郵政民営化について小倉昌男さんが生出演で語る予定があったため、これに乗じて一生懸命売ろうとも思ったが、出演は見送りとなって、ますます追い風がなくなった。きっと、一冊も売れないだろうな。でも、いいや。お祭りを楽しむつもりで行ってみよう。

 で、一日中テントで販売してみたら、意外にも3冊、道行く人が買ってくださった。嬉しい。とっても嬉しい。著者自ら道ばたで著書を広げ、目の前でお客さんが買ってくださる。とても、いい経験をした。


販売のテントにて。もう一人の参加者は、西里扶甬子さん(中)。5/7にノンフィクション作品『生物戦部隊731』を出版されたばかり。右は、同書の出版社(草の根出版会)の方。


沖縄の踊り・エイサーも登場して和やかムードの「神田すずらんまつり」

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