オンフィールド音楽研究所 |
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2009,11,1 050●10月のヘビーローテーション 所長●今月は、月替わりから日数をおかずに、タイムリーな更新。個人的な10月の「ヘビーローテーション」を紹介しよう。 秘書1号(以下、1号)●本家の増田勇一さんよりも早い更新だ。 所長●新作をすぐに入手できるわけではないので、増田さんより数ヶ月遅れという感じではあるが。では、まずは一覧表で。
所長●ではまず1つめ。UKの新人、フローレンス・アンド・ザ・マシーンの『ラングス』。リードトラックは、こんな感じだ。埋め込みが拒否されているので、リンクのみしておこう。 http://www.youtube.com/watch?v=7nxO-yPQesA 1号●ちょっと不思議系な感じですな。 所長●うむ。彼女らはデビュー間もない頃から期待の新人として話題になっていて、最初チェックしたときは正直ピンと来なかったのだが、アルバムを聴いて納得。これは大物新人ですな。どこの誰のモノでもない、どの時代のサウンドにもおもねらない明確な個性があって、とても面白いサウンドに仕上がっている。今年のベスト10入り確実な名盤だろうね。 1号●UKではアルバムチャートでいきなり4週間2位を記録したそうだ。急死直後のマイケル・ジャクソンのアルバムが1位に居座っていた時期だから、実際には4週連続1位と言ってもいいんだろうね。 所長●素人受けもいいが、ミュージシャンからの評価も高い。何よりも、本物の証だろう。アーティスト名でも類推できるように、ボーカルの「フローレンス」の個人バンドと言っていいようだ。何しろ、直訳すれば「フローレンスと機械たち」というアーティスト名だからね。 1号●バックバンドは、私にかしずく機械ども、ということか。 所長●自信たっぷりのアーティスト名だよね。来年開催のグラミー賞、あるいはUKのBRITSでは話題の中心になること間違いなしだ。来年2月の来日公演は思わずチケットを購入してしまった。ライブハウス規模で間近に観られるのは、最初で最後だろうから。 では次。実績のあるミュージシャンが集まったスーパーバンド、チキンフットの1stアルバム『チキンフット』だ。リードトラックは、同じく埋め込みが拒否されているので、リンクのみ。 http://www.youtube.com/watch?v=KKkxxLEBwBo 1号●何かクラシックロックを思わせる堂々さがある。 所長●あんまり王道すぎて、最初はツマラナイと思っていたのだが、これもアルバムを聴いて納得。ヴァン・ヘイレン、レッド・ホット・チリペッパーズ、モントローズの元メンバーらが集結したバンドだから、ある種、王道路線になるのはやむを得まい。ここまでてらいもなく、ストライクゾーンを突いてこられると、「参りました」と言うしかないね。 1号●実績のあるミュージシャンたちが集まっているから、どのくらい継続するかは微妙だね。 所長●結果的に期間限定の結成だとしても、こういうアルバムを残してくれただけで価値があると思うよ。フー・ファイターズみたいに、意外と長持ちする可能性もあると思う。 では次。2000年代を代表するロックバンドとなったミューズの新作『ザ・レジスタンス』 だ。リードトラックの「アップライジング」は、YouTubeで検索したら簡単に出てくるので、ここでは、ちょっと珍しい映像を紹介しよう。いずれは消されると思うが、イタリアのTV番組に出演したときの映像だ。
所長●ワーナーミュージックのニュースページによれば、TV局側から「あて振り」を強要され、それに対する対抗措置として、パートを変えて出演した、らしい。 1号●「あて振り」はクチパク(金魚とも言う)の演奏版ですな。ライブパフォーマンスに定評のある彼らにしてみれば、「あて振り」は屈辱的なんだろうね。 所長●まあこれは小ネタとして、ミューズの新作『ザ・レジスタンス』は、以前からめちゃくちゃ期待が大きかった。前作スタジオアルバム『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』やライブCD&DVDの『HAARP』がとっても良かったからね。おまけに、新作ではクラシカルなアプローチをしていると事前情報があったから、なおさら期待は大きかった。 1号●で、結果は。 所長●うむ。結果的には従来の延長線上の作品から大きく逸脱していない感じがする。新しいミューズを期待していただけに、肩すかしを食らったのは確か。でも完成度は相変わらず高い。大きな期待さえしなければ、今まで通り、満足できる作品ではある。 1号●彼らも来日するようで。 所長●ミューズも以前から是非一度は観てみたいアーティストだったのだが、もう先行予約は始まっているし、映像装置のない武道館で遠くからしか観れないなら、パスするかなあ、と悩んでいるところ。 では次。フリート・フォクシーズの『フリート・フォクシーズ + サン・ジャイアントEP』 だ 。リードトラックは、こんな感じ。
所長●そうなんだよなあ。渋谷陽一さんは、「これって、現代版のバッファロー・スプリングフィールドじゃん」と表現していたけど。 1号●バッファロー・スプリングフィールドは、60年代末期に活躍したフォークロックバンドですな。知らない人のために、一応リンク。 所長●僕の個人的な好みで言えば、フリート・フォクシーズの方が聴きやすくて好き。このアルバムも、最初は「かったるい作品だなあ」と思っていたけど、我慢して聴いているうちに、よくなってきた。 1号●海外での評判の割に、日本ではあまり話題にはならなかった気もする。 所長●地味だからねえ。今はアメリカン・ロックは一部を除いて受けないし。ましてや、フォーク調だとFMですらオンエアされない。次も、同じように日本ではなかなか受けないバンドだ。オルタナティブ・カントリーロックのバンド、ウィルコの最新作『ザ・ウィルコ』。PVはなさそうなので、彼らのMySpaceをリンクしておこう。 1号●以前にも紹介していたバンドだね。ここでもリンクしてあげよう。 所長●さすがは秘書だ、フォローが素晴らしい。この最新作『ザ・ウィルコ』は、以前にも増して美しいメロディラインの楽曲がある。少しカドが取れてしまった感は否めないが、今回も、ゆったり、ほのぼの、まったりと楽しめる佳作アルバムに仕上がっている。70年代にイーグルスとかポコとかが好きだった人は、ぜひ、騙されたと思って聴いて欲しいね。 1号●全米では量が出回っている作品だから、輸入盤で安く買うのも方法だ。 所長●次はガラリと雰囲気を変えて、UKのエレクトロっぽいポップスを紹介しよう。リトルブーツの『ハンズ』 だ。リードトラックで流れていたPVには食指が動かなかったが、このPVで「買い」と判断した。
1号●とっても分かりやすい、キャッチーな曲だねえ。 所長●リトルブーツは、この映像でも印象的に出てくるコンピュータ楽器、ヤマハの「テノリオン」の使い手としても知られている。直感的に曲づくりができる、面白そうな楽器だ。ヤマハの商品紹介をリンクしておこう。ちょうど、彼女のインタビュー記事がアップされているぞ。 1号●1台約12万円か……。ちょっとした楽器を買うことを思えば、手の届かない値段じゃない。 所長●ムーグより安いのは確か。こういうモノを使って、MySpaceで自分をアピールする、面白い時代だなあと、つくづく思うよ。彼女のアルバムはエレクトロポップスが中心なんだけど、あまり電子楽器的な印象が強くはない。むしろ、楽曲づくりに秀でた人だなあ、という印象が残る。 では次。以前から大好きなバンド、ミュートマスの2ndアルバム『アーミスティス』 だ。「きょうのお管」でも紹介したけど、同じPVを紹介しておこう。
1号●とてもライブ映えしそうな曲だ。 所長●うむ。彼らは、ライブパフォーマンスに定評があって、フェスへの出演で存在感をアピールしてきたバンド。キャッチーなんだけど、音は緻密によく作り込まれているし、楽曲ごとのバラエティ感もある。大きく化ける可能性があるバンドだと思っているんだ。 1号●YouTubeには、ライブ映像もいろいろアップされている。 所長●夏フェスに続いて、間もなく単独来日も予定されている。残念ながらチケットは購入していないので、どこかの番組で放映してくれないかな、と一応期待しておこう。 続いてはお姉ちゃんバンドのアルバムを2つ紹介しよう。まずはパラモアの『ブラン・ニュー・アイズ』 から、最近CSで流れているリードトラックを。
1号●パラモアは、以前「そろそろ本格的にブレイクか」と書いていたね。 所長●うむ。予想通りと言うべきか、今回の3rdアルバムで初めてUKアルバムチャート1位に輝いた。音的には、アブリル・ラヴィーンの元気良さと、SUM41のポップパンクを合わせたような感じだ。 1号●奇しくも、元夫婦ですな。 所長●リードボーカルのヘイリー・ウイリアムス嬢は10代半ばでデビューして、間もなく21歳になるけれど、「まだ21歳」だからね。この先、どこまで成長するのやら。 1号●今年のサマソニでは、セーラー服姿でステージ狭しと走り回っていたそうだ。 所長●テレビで観たよ。海外では「衣装が素敵だ」と評判らしいけど、日本ではどうなのかなあ。個人的には、どう見ても20代半ばの女優さんが女子高生役をやっていた日活ロマンポルノを思い出してしてしまったのだが。 1号●そういうことを言い出すだけで、立派なオジサンですな。 所長●もう一つ、若い女性がリードボーカルを務めるザ・サウンズの『クロッシング・ザ・ルビコン』も、よく聴いたアルバムだ。日本盤は発売される気配がないから、The Soundsの『Crossing the Rubicon』と表記した方がいいのだろう。「きょうのお管」でも紹介したが、再度PVを紹介しておこう。
1号●女性リードボーカルのバンドが好きだよねえ。 所長●好きで何が悪い。女性ロッカーはとにかく格好良いのだよ。できればパティ・スミスみたいな大ベテランの女性ロッカーがもっと増えてほしいね。日本でも、サディスティック・ミカ・バンドがもっと長続きしてくれていれば、良かったのにと思う今日このごろ。 1号●先日は、加藤和彦さんも亡くなってしまった。 所長●今月のヘビーローテーションとして最後に挙げたいのがフライドエッグの『ドクターシーゲルのフライド・エッグ・マシーン』なんだけど、これが、どうやらそのサディスティック・ミカ・バンドと因縁浅からぬバンドだったようだ。 1号●フライドエッグを知っている人は少ないでしょう。J-Rockの草創期、1972年に2枚のアルバムを残して、わずか1年程度で解散したバンド、らしいが。 所長●まったく恥ずかしいことに、フライドエッグというバンドは全く知らなかった。伝説的なギタリスト&キーボーディストである成毛滋(当時は、しげる)、つのだ☆ひろ(当時は、角田ヒロ)、高中正義……いずれも有名なこの3人がトリオを組んだバンドだと知って、またビックリ。 1号●活動期間が短かったから、やむを得まい。 所長●だって日本のロック史にいちばん詳しいと思われる『日本ロック体系』上下刊あわせて約600ページのなかで、フライドエッグは見出し項目にも出てこないし、本文中に登場してくるのも、ごく一部だけだもんなあ。 1号●で、サディスティック・ミカ・バンドとの関わりは。 所長●うむ。まず角田ヒロが第一期のメンバーだったそうだ。これと入れ替わるように、高中正義がサディスティック・ミカ・バンドに加入している。成毛滋は、加藤和彦に「角田ヒロがいいよ」とアドバイスした、そうだ。 1号●なるほど。 所長●面白いのは、フライドエッグ時代は高中正義がベースを担当したということ。これは知らなかった。 1号●かなりレアな豆知識だな。ところで、何でまた、40年近く前のアルバムがヘビーローテーションになったの。 所長●毎週タイマー録音しているBay-FMの番組、伊藤政則さんの「パワーロック・トゥデイ」のなかで、フライドエッグの曲がかかったんだよね。それが、まさしく和製ユーライア・ヒープだったのよ。 1号●あー。またその話題ですか。 所長●まあまあ、聞いてよ。それでアルバムを入手して聴いてみたら、UKハードロックはあるわ、プログレも入っているわで、1972年にこんなロックバンドが日本に存在していたことに衝撃を受けた。今でも、けっこう、何度も聴ける完成度。 1号●70年代の日本のロックは、語り部が少ないからねえ。 所長●インターネット上に、情報がほとんどない。ましてやYouTubeに画像もない。故に、いちばん詳しく書かれていると思われるwebページをリンクしておくよ。 -posted by 所長@10:55 |
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