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351(08/07/15)
人身事故の列車に乗って。

 さて。打合せに向かうべく乗車していた中央線の御茶ノ水駅近くで、ドスンという衝撃とともに列車が急停車。「もしや」と思ったが、やはり飛び込み自殺だったようだ。人身事故で列車が止まる例が最近急増している印象を持っていたので、いつかは当事“車”に乗り合わせることもあるかもしれないと思ってはいたものの、こんなに早く経験することになるとは。

 長時間の缶詰状態はたまらないなあと思っていたら、意外にもスムーズな後処理で、列車の半分くらいはホームに滑り込んでいたおかげもあって、事故後10分か15分くらいでホームへの誘導が始まった(実際に車外に出ることができたのは、事故後30分弱だったろうか)。この間、車掌さんは適切に逐次状況報告の車内アナウンスをしていたので、車内での混乱は何もなかったように思う。車掌さんとしては、冷静にマニュアル通りの対応を進めたのだろうが、その冷静さが逆に“手慣れた”印象につながったことも、また確かだ。

 まだ幼い頃、阪急電車の踏切で目にした人身事故の現場は、未だに鮮明な記憶として残っている。ディテールの描写は避けておくが、まあ、あまり思い出したくない光景だった。そんな惨状を目の前で目撃した運転手さんの心理的動揺はいかばかりか。

 どうして、日本でこんなに自殺が多くなったのか。ちょうど最近、そんなことを考えていたばかりだった。

 キーワードとして一つ提示できるとすれば、「信頼感の喪失」だろうか。昭和時代あたりまでは、「きっと、こうしてくれる」「きっと、こんなことにはなるまい」といった、根拠のない漠とした期待感や信頼感のようなものを一応持つことができていて、実際に、それが大きく裏切られることは少なかったように思っている。

 大きな転機になったのは、バブル経済の崩壊と共に始まったリストラではなかったろうか。これについて十分な論陣を展開する余裕はないが、開けてはいけないパンドラの箱が開けられたあの時代が、未だに尾を引いているような気がしてならない。

 信じていたものに、簡単に裏切られる時代。刃を向けられるはずのなかった所から、突然刃を突きつけられる時代。何も信じることができずに、疑心暗鬼で日々を過ごすしかない時代。……そんなキツイ時代は、いつまで続くのだろう。

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352(08/07/20)
今回もヒリヒリ熱かった「THE OUTSIDER」。

 さて。「全国の不良集まれ」との呼びかけで開催されたアマチュア総合格闘技イベント「THE OUTSIDER」の第2戦が昨夜、ディファ有明で開催された。

 第1戦については、以前にも長い観戦記を書かせていただいた。どうやら会場内での写真撮影は禁止されていたようで、僕は全然知らずに撮っていたのだが、今回は自重したので写真はナシ。写真付きレポートは、angle japanの記事と、スポーツナビの記事(一部、勝敗結果の記述に間違いあり)でどうぞ。

 緊張感をもって会場入りした前回とは事なり、今回は良くも悪くも平常心で会場入りした。正直言って、第1戦よりも僕の気持ちは相当トーンダウンしていたのだけれど、試合内容そのものは前回よりもさらに、勝ち気が前面に出たバチバチファイトの連続で、「THE OUTSIDER」のコンセプトがより鮮明に出た興行だったと思う(事実、前回は多かったドロー試合は1つもなかった)。

 別リンクにもあるように、第4試合では、絵に描いたような出会い頭の秒殺ノックアウト(ゴングと同時に突進した側が、テンプルにパンチをもらって大の字に)で勝負が決まり、リングなだれ込みの前科がある応援団が、前回よりも素早い動きでリングになだれ込んで、会場が騒然となる場面もあった。

 トラブルといえばこのくらいで、後は比較的、膠着の少ない好ファイトが多かったように思う。とくに休憩明けの第18試合から第25試合までは、会場が異常な興奮に包まれるほどの意地と意地の張り合いファイトが続出した。過激な応援団を背負った方が負ける例も少なからずあり、勝った側が悲壮な表情を浮かべながらリングを降りていく場面も。

 個人的なベストバウトは第24試合。互いに1回ダウンを奪いつつの死闘だった。個人的なMVPは前回に続く逆転寝技勝利の吉永啓之輔選手。また個人的なテクニック賞は現役弁護士の堀鉄平選手。全般的に、前回に続いて出場した選手の頑張りが印象的だった。

 ちなみに公式なベストバウト賞は第2試合。この試合は1Rの最初の2分くらいで互いの殴り合いが延々と続き、後はバテバテになってしまった試合だったが、この試合をベストバウトに選んだのは前田日明さんら主催者側の価値観が出ていて興味深かった。「こざかしいことはするな、正面からバチバチいけ」ということなのだろう。

 テクニック的には、まだまだ拙いのに、興行としてこれだけ面白く出来上がるのは、たぶん、選手と同様に熱い観客の声援があるからなんだろう。無音で映像だけ見れば、粗だらけの試合がほとんどだと思うが、ディファ有明のあの会場に居合わせた者としては、いいものを見せて貰った、と非常に満足だった。

 あとは、負けた側の応援団が、勝者を仇討ちしようなどと思わないことを祈るばかり。

 ところでスポンサーとして名を連ねた和田国際交流財団、ネット上ではなかなかヒットしなかったが、よくよく調べてみると、朝青龍の後援会会長を理事長とする財団なんだねえ。朝青龍のファンとしては、不思議な繋がりも感じつつ。そうか、ビッグマウス・ラウドの旗揚げにも力を貸した人なのか。なるほど。

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353(08/08/13)
真夏の引っ越し。

 さて。止むに止まれぬ事情により、8月2日に引っ越しをした。まだ開封していない段ボールが多々あったり、部屋のレイアウトが決めきれないところもあったりして、落ち着かない日々が続くけれど、引っ越し直後の原稿締切を無事にクリアして、とりあえずはホッと一息ついたところ。

 上京してから、あれこれ含めて8回目の引っ越しで、荷造りや段取りは上手になった。でも、もう動くのはたくさんだ。

 今回はアパート建て壊しに伴う、渋々の引っ越し。大家さんが立ち退き交渉にあたるのだと思っていたが、専門の業者さんが登場したのには驚いた。なるほど、似たような業者がいろいろあるようだ。互いに紳士的なやりとりで立ち退き交渉が成立したけど、もつれて泥沼になるような事例も少なからずあるのだろう。

 専門業者との契約上、立ち退き料を明かすことはできない。正直、初回の金額提示を受けたときは口元が一瞬緩んだが、新たに購入しなくてはならなくなったモノ、ネット回線など変更せざるを得なくなったこと、引っ越しに伴う時間の浪費(これが痛かった)などなどを考えれば、収支はトントンと言ったところ。

 いいところに引っ越せたようなので、まあ、結果オーライなのかなあ。

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354(08/08/25)
北京オリンピックは素晴らしかった。

 さて。何だかんだと悪口を言われながらも、北京オリンピックは上々の成功を収めたと言えるのだろう。開幕式と閉幕式の壮大な演出は、もう拍手するしかあるまい。8年後に東京オリンピックなんて、辞めた方が良い。欧米から見れば、同じような顔をした国なんだから、北京オリンピックと比べられるのがオチだ。

 たぶん、日本があらゆる面で中国に負け続ける歳月が、しばらく続くのだろう。中国の急成長は、経済成長や技術革新で世界に名前を売ってきた日本が、方向転換を迫られる契機となるに違いない。世界の舞台で日本が主役を張るなんて、もう幻想だろう。キラリと光る脇役に徹した方が得策だ。

 先に経済発展の旨味を味わった中国は、これから貧富の問題やら民族間の対立などで激動の時代を迎えるのだろう。それを「ざまあみろ」と突き放して見るのか、隣人として手を差し伸べるのか。日本の度量の深さが試される。

 そんなことを思いつつ、録画していた「篤姫」を観ていたら、なかなか良いセリフが出てきた。「刃を向ければ、別の刃が向けられる」「憎しみが新たな憎しみを生む」。中国が嫌いで堪らない人々は多そうだが、このセリフをかみしめてほしいものだ。

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355(08/09/21)
カマキリの自殺?

 さて。日向水を作るために屋外に出しておいた金魚水槽に、緑っぽいモノが浮かんでいることに気づいた。台風のせいで葉っぱでも落ちたのか? と思って、じっと目を凝らすと、何とまあ、立派な成虫のカマキリが浮かんでいるではないか。

 卵から孵したカマキリの幼虫の、その後の成長が気になって、住処と思われる蝋梅の木を何度かしげしげと観察していたのだが、成虫になった姿には一度も出会うこともなくて寂しい思いをしていた。まさか、水槽で溺死した状態で再会するとは……。

 その夜、帰宅した連れ合いにも報告したところ、今度は連れ合いが、水槽で溺死したカマキリに線虫が巻き付いているのを発見。5cmほどの成虫カマキリに巻き付いたこの線虫は、少なくとも10cmはあると思われ、棒で突くと激しくのたうち回る。全身が線状の筋肉のような、躍動感だ。

 後日、連れ合いがwikipediaでハリガネムシの記述を発見して、報告してくれた。間違いない、こいつだ。どうやら、カマキリの体内に寄生していたハリガネムシが、水を求めてカマキリの肛門あたりから這いだしてきたのだろう。

 wikipedia記事によれば、「ハリガネムシは宿主を水辺へ向かうよう仕向け身体を破って外へ出るのだが、このメカニズムに関しては未だ不明な点が多い。一説によると宿主に自殺を誘発させる物質により水辺へと誘うのだと言われているが……」とのこと。えっ、ハリガネムシが、カマキリの溺死自殺を誘導するの? そんなのアリ?

 ううむ、生物の世界は、未だ謎が多いのだなあ。ちなみに、カマキリ体内からハリガネムシが出てくる動画を見たい人は、こちらをどうぞ

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