オンフィールド音楽研究所

2011,03,07

062●1〜2月のヘビーローテーション

今回は以下の9作品(うち邦楽2作品)。

2011年1〜2月のヘビーローテーション
アーティスト名『アルバム名』
ローカル・ネイティヴス『ゴリラ・マナー』
キングス・オブ・レオン『カム・アラウンド・サンダウン』

モグワイ『ハードコア・ウィル・ネヴァー・ダイ・バット・ユー・ウィル』

アデル『21』

アソビ・セクス『フローレサンス』

マイス・パレード『ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ビー・レフト・ハンデッド』

ファンファーロ『レザヴォア』
毛皮のマリーズ『ティン・パン・アレイ』
神聖かまってちゃん『つまんね』

●ローカル・ネイティヴス『ゴリラ・マナー』

CSの音楽専門チャンネルで昨夏ごろだったか、彼らのPV(下記のPV)が頻繁に流された時期があった。正直、心に引っかかる物がまるでなかったのだが、騙されたつもりでアルバム全体を通して聴いてみたら、とても良かった。

昨今のUSインディーズ系にありがちな、ユルユルポップなロックなんだけど、独特のメロディセンスが秀でていて、聴けば聴くほどクセになる不思議なアルバムだ。2010年アルバムベスト10入り候補。
http://www.youtube.com/watch?v=X7tZMn5dJh8

●キングス・オブ・レオン『カム・アラウンド・サンダウン』

満を持してというか、ようやく地元のUSで正当な評価がされるに至った前作「オンリー・バイ・ザ・ナイト」から2年。いち早くUKで人気を集めていた昔から、王道路線のロックをかき鳴らしていて、昔と今の違いと言えば、少々キャッチーなリードトラックの有無くらい。

粗野でありながら中身ギッシリ感が漂う余裕綽々の新作で、スタジオ盤なのにとてもライブ感がある。もう日本では簡単に招聘できないほどの大物になっていて、嬉しいような悲しいような。2010年アルバムベスト10入り候補。
http://www.youtube.com/watch?v=-IAxoqoqJ44

●モグワイ『ハードコア・ウィル・ネヴァー・ダイ・バット・ユー・ウィル』

轟音、爆音のハードコア好きが崇拝するモグワイが、従来のファンを振り切るように、モグワイ史上もっともポップなアルバムを出した。

ボーカルやストリングス、エレクトロ、アッと驚くジャズテイストと、幅広いレンジを見せながら進化を遂げつつも、モグワイの芯はキッチリ貫き通している。期待以上の出来映えに、今年のフジロックでのステージがとても楽しみになってきた。2011年度アルバムベスト10候補。いや、現時点ではベスト5入りも予感させられる。
http://www.youtube.com/watch?v=6UhQdSGZbr0&feature=fvsr

●アデル『21』

下記のリードトラックを初めて聴いた昨年末の時点で、僕はもう既に昇天していた。21歳とは思えない貫禄と、希有なメロディセンス、そして魅惑のハスキーボイス。リードトラック以外は静かなスローバラードが意外に多くて、しっとりと聴かせる。R&B色の強いアルバムを想像していたので少し見当違いだったところはあるものの、これだけ楽しませてくれたら充分だ。

本国のUKではこの2ndアルバム「21」の素晴らしさに、1stの「19」までが再び売れ始め、アルバムチャートで1位、2位のワン・ツーフィニッシュを遂げたという。それも頷ける話。2011年度アルバムベスト10候補。
http://www.youtube.com/watch?v=lazyDlfaptM

●アソビ・セクス『フローレサンス』

前作「ハッシュ」ですっかり虜になり、2000年代アルバムベスト100で30位という好位置に推挙してしまった彼らの、待望の新作。ドリーミーなシュゲーズサウンドと、ガラス細工のように儚げな美しさをたたえる築達友紀のボーカルが、今回も夢見心地な別世界へ誘ってくれる。

前作のリードトラックだった「ミー&マリー」ほどのキラーチューンがないのは残念だけど、日本語歌詞の楽曲にはやはり惹かれてしまう。韓国歌謡のKARAが洋楽扱いなら、いっそアソビ・セクスはJ-POP扱いにして、もっと売れるようにしてほしいものだ。来日をひたすら願う。
http://www.youtube.com/watch?v=Y0L4PEDqnbE

●マイス・パレード『ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ビー・レフト・ハンデッド』

下記のPVの、得体の知れなさ(と女の子の可愛さ)に惹かれて聴いてみたアルバムだが、意外とクセになって仕事中に頻繁に楽しませてもらった。僕の好きなグレゴリー・アンド・ザ・ホークとか、日本のクラムボンとかも参加していると知ったのは後のこと。やはり、類は友を呼ぶと言うべきか。妙なところでハナが効くものだ。
http://www.youtube.com/watch?v=53yBtuSb7XU

●ファンファーロ『レザヴォア』

UKの新人。実はそれ以上の情報をほとんど知らない。音は、冒頭で紹介したローカル・ネイティヴスのようなUSインディーズ系のユルユルさで、PVに映っているメンバーを見ているとアーケイド・ファイアを連想してしまう。「おおっ」と歓声をあげるような秀でた楽曲はないのだけれど、アルバムは粒ぞろいの楽曲ばかりで、じんわりと心地よい。この「じんわり」が重要なポイント。

アマゾンの内容紹介には「美しきシンフォニック・ロック」と書かれているけど、これは大きな間違い。交響曲というより、室内楽四重奏風味のアンプラグドなロックだ。
http://www.youtube.com/watch?v=PsXhQfIZD2c

●毛皮のマリーズ『ティン・パン・アレイ』

毛皮のマリーズというよりも、志磨遼平のソロ作品なんだろう。バンドサウンドをかなぐり捨てて、彼の思い描く「ポップス」を形にした異色作だ。今から思えば、アルバムごとにまったく毛色の違っていた従来のサウンドは、すべて志磨遼平の「作戦」だったのだと思う。そして今回も、だ。この男、2010年代の日本の音楽界にとって、重要なキーマンになりそうな気がする。

個々の楽曲は歌詞もメロディもベタなポップス。そのベタさ加減を、志磨遼平のカエル声がオブラートで包む。「愛のテーマ」はプロポーズソングとして、エバーグリーンになりそうな予感。
http://www.youtube.com/watch?v=qu0tt0MUpJA

●神聖かまってちゃん『つまんね』

いろいろと物議を醸している神聖かまってちゃんの、2枚同時リリースのうち、メジャーレーベルから出された「つまんね」が良かった。青年の衝動をぶつけたロックは様々あるけれど、彼らのことは、良くも悪くも、子供の衝動がロックになった音楽、と僕は思っている。

PVでもサウンドの作り方でも、いかにも素人臭い、2ちゃんっぽい演出をしているけれど、これはいわば照れ隠しみたいなもので、楽曲の作りは意外と巧妙。評価されるだけのことはあると感じ入った。
http://www.youtube.com/watch?v=rs74nK2c4gw

-posted by 所長@21:23


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オンフィールド音楽大賞2010


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