オンフィールド音楽研究所

2009,7,27

048●6月のヘビーローテーション

所長●気まぐれ再開、第1弾のお題は「6月のヘビーローテーション」。要するに、6月に何度も何度も楽しませてもらったアルバムを10点ほど紹介しようという趣向。しばらくは、このパターンで行こうと思うのだが。。

秘書1号(以下、1号)●気まぐれなシリーズがまた始まった。

所長●参考にしたのは、音楽サイトのBARKSで元『MUSIC LIFE』編集長の増田勇一さんが連載している「今月のヘビーローテーション」。こんな感じ。
増田勇一の『今月のヘヴィロテ(6月篇)』

1号●参考にしたというか、そのまんまというか。

所長●似て非なるものだよ。増田さんは音楽ライターが本業だろうから、新譜のサンプル盤をいち早く入手して聴いているんだろうと思う。あくまでも想像だけどね。でも、僕の場合は、誰もサンプル盤なんかくれないから、自力で調達。故に、数ヶ月遅れの新譜になったりする。

1号●自力といっても、大半は図書館とかレンタルCD店でしょうが。

所長●まあ半分くらいはそうだけど、あとは中古とか輸入盤とか。それに遠方の図書館まで行く交通費は自腹だ。

1号●偉そうに言うことでもない。

所長●前置きはそのくらいにして、とっとと紹介するよ。何せ、多いからね。まずは一覧表で表示。

2009年6月のヘビーローテーション
アーティスト名『アルバム名』
アリーラ・ダイアン(Alela Diane)『 トゥー・ビー・スティル(To Be Still)』
sia『リアル・プロブレムズ』
RADWIMPS『アルコトロニーの定理』
ダヴズ『錆ついた王国』
ライオンハート・ブラザーズ『甘いKiss』
レッド・ライト・カンパニー『ファイン・ファシネイション』
モリッシー『イヤーズ・オブ・リフューザル』
ヘイリー・セールズ『Sunseed』
リリー・アレン『イッツ・ノット・ミー、イッツ・ユー』
ムーディー・ブルース『子どもたちの子どもたちの子どもたちへ+5』

所長●ではまず1つめ。アリーラ・ダイアンの「トゥ・ビー・スティル」。国内盤は出ていないようだから、Alela Dianeの「To Be Still」と記した方がいいのだろう。リードトラックは、こんな感じ。

 

1号●地味な土臭いフォークだね。こういうのアシッド・フォークと言うのかしらん。

所長●結論から言うと、よく分からない。英文版のwikipediaには「Psych folk」と出ているな。要するにサイケデリックなフォークということのようだ。まあ、アシッド・フォークと言っても遠からずだろう。

1号●ポップ路線が好きなあんたにしては、珍しい趣味だこと。

所長●最初はピンと来なかったのだが、聞き込むとクセになる。導眠剤代わりにも最適。

1号●導眠剤ねえ。

所長●イントロなんか、70年代の吉田拓郎か、かぐや姫風だよね。それも郷愁を誘う。

2つめはsiaの「リアル・プロブレムズ」。リードトラックは、こんな感じ。埋め込み拒否なので、リンクのみ。
http://www.youtube.com/watch?v=W711i-ks_UU&feature=fvst

1号●アリーラとも共通する部分があるね。不思議系な存在感と、ゆらーり漂うようなメロディ。

所長●これも、クセになってしまった作品だ。妖精系というか、イタコ系の女性アーティストには弱いからね。

1号●そう言えば、ビョークも、山崎ハコも、Coccoもお好みでしたな。

所長●アーティスト情報がほとんど出回ってないから、気になって、過去のアルバムも全部購入してしまった。元々はZERO7とかいう、UKのエレクトロ系ポップバンドに属していたようだ。自身はオーストラリアのミュージシャンのようだが。

1号●エレクトロな臭いはしないね。どちらかといえば真反対のアコースティックな感じ。

所長●これも導眠剤代わりに最適だな。

では3つめ。RADWIMPSの「アルコトロニーの定理」。お気に入りのシングルは、こんな感じ。

 

1号●珍しいね、J-POPを推薦するなんて。

所長●一応、J-POPもチェックはしているのよ。RADWIMPSのことは、去年の夏フェスの映像で初めて知ったのだが、演奏が上手いなあ、というのが第一印象。

1号●大衆的な人気を得ているかどうかはともかく、以前から熱烈な支持を得ていたバンドのようだ。

所長●らしいね。気になったので過去のアルバムを全部聴いたのだが、その時は、期待はずれだった。演奏はいいんだけど、歌メロに入ると、どうも弱い。その点は9mm Parabellum Bulletとも共通すると思うんだけど。

1号●9mm Parabellum Bulletも今ではメジャーなバンドになった。

所長●バックの音はすごくいいんだけどねえ。歌になると急に歌謡曲ロックになってしまうのが残念だ。その点、RADWIMPSの新作は、一歩も二歩も抜き出た気がするよ。演奏良し、メロディ良し、歌詞もひねりが利いていてオリジナリティがある。楽曲のバラエティもあるし、最初から最後まで、聞き飽きない。

1号●ほお。

所長●今年のベストアルバム候補だと思うよ。

1号●絶賛ですな。

所長●では4つめ。ダヴズの「錆ついた王国」。リードトラックは、こんな感じ。


1号●一度でUKのロックバンドとすぐに分かるような、哀愁のあるサウンドだね。

所長●勉強不足で、彼らのことは今作で初めて知った。これも遡って大半のアルバムを入手したけど、どれもいいね。ここんところは、原稿執筆中に合計260分のMDをかけっぱなし、という日々だ。

1号●哀愁だらけの原稿になっていなければいいが。

所長●では5つめ。ライオンハート・ブラザーズの「甘いKiss」。リードトラックは、こんな感じ。

 

所長●続けて6つめ。レッド・ライト・カンパニーの「ファイン・ファシネイション」。リードトラックは、こんな感じ。

 

1号●ともに、あんたのツボにはまる、ポップなロックだ。

所長●ライオンハート・ブラザーズはノルウェーのロックバンドで、これが日本デビュー盤。レッド・ライト・カンパニーはUKのロックバンドで、これがデビューアルバム。若いロックって、本当にいいよねと思わせてくれる。2作ともアルバムは想像以上に完成度が高くて、文句なしに好き。レッド・ライト・カンパニーは、サマソニで観るのを楽しみにしてるよ。

1号●52歳でサマソニ初参戦か。

所長●いいもん。52歳でも恥ずかしくなんか、ないもん。若人のエキスを、たっぷりいただいてくるよ。

では7つめ。モリッシーの「イヤーズ・オブ・リフューザル」。リードトラックは、こんな感じ。

1号●モリッシーといえば、80年代に活躍したザ・スミスの中心メンバーだね。とくにUKではカリスマ的な人気のようだ。

所長●らしいね。日本では、そのあたりの熱狂ぶりが伝わってきていない気がするが……。モリッシーの作品は、ザ・スミス時代も含めて一通り聴いたんだけど、今作がいちばん好きだね。大ベテランでありながら、瑞々しいポップセンスが光っている。モリッシー嫌いだった人にこそ、聴いてもらいたい作品だ。

では8つめ。ヘイリー・セールズの「Sunseed」。リードトラックは、こんな感じ。埋め込み拒否なのでリンクのみ。
http://www.youtube.com/watch?v=Y3k70wZxuS8

1号●流行の、サーフ・ロックですかね。

所長●サーフ・ロックねえ。どうも、その響きが好きではないんだが。ハワイアン・ロックのカラパナは好きだったけど。

1号●サーフ・ロックという言葉の響きじゃなくて、サーフィンが好きじゃないってことでしょ。

所長●そういうことです。本物のサーフィンをやっている人はいいけど、とくに、車の屋根にサーフィンボードをくくりつけているだけの人種が嫌いだ。

1号●まあ、それはともかく。

所長●女性のサーフ系シンガーというと、去年デビューしたコルビー・キャレイが思い出されるが、シンガーソングライターとしては、ヘイリー・セールズの方が将来が楽しみな気がする。何しろ、父親は元ヒッピーで、音楽スタジオを運営していたそう。子供の頃から培われた感性が、これからますます花開いてくると思うのだが。

では9つめ。リリー・アレンの「イッツ・ノット・ミー、イッツ・ユー」。リードトラックは、こんな感じ。

 

1号●これは今さら説明するまでもない、旬な人気女性ソロシンガー。あんたに推薦されるまでもなく、好きな人はとっくに聴いているアルバムじゃないかね。

所長●それはそうなんだけどね、正直、前回のデビュー盤は期待はずれだった。シングル盤はいいのにアルバムはどうも……というマドンナのパターンでね。でも新作アルバムは上出来だ。あれこれバッシングされて、開き直った感がする。スキャンダラスな面ばかりが取り上げられるけど、歴史的に残るアーティストだと、今回ようやく思ったよ。

1号●力が入ってなさそうなところが、彼女らしい。

所長●そうそう。「こんなアルバム、いつでも作れるんだから〜」みたいな余裕をこいたところが、また魅力。ステージでも、まるでリハーサルみたいな、気楽さだからね。

では最後の10枚目。ムーディー・ブルースの「子どもたちの子どもたちの子どもたちへ+5」。1969年の作品にボートラ5曲を加えた紙ジャケ盤だ。ちょうど、クチパクで演奏している風の映像がある。

 

1号●まあ、これは固定ファン向けのアルバムだよね。ムーディー・ブルースを知らない人には、別にどうってことのない作品。

所長●それはそうだけど、改めて、個性のあるいいバンドだったなあ、と思うよ。同時期にボートラ入りの紙ジャケ盤が出ていて、全部は入手できていないけど、この作品にはライブ音源が入っている。メロトロン好きにはたまらないよ。40年前にこのサウンドを作っていたという驚きをもって、初心者にもぜひ聴いてもらいたい。

1号●ということで、ヘビロテ10枚の紹介が終わったわけだけど。

所長●最後にもう一つ、「今月のガックリで賞」を発表。

2009年6月のガックリで賞
Utada「This Is The One」

所長●これは心底がっくり肩を落としたアルバムだ。前回の全米デビュー盤「Exodus」も今イチだったが、それ以上に酷い。こんなペラペラな内容のアルバムを作るために全米進出する必要があるのか、甚だ疑問。国内作品の「Heart Station」が生涯最高の出来映えと思えただけに、落差が大きく感じられた。

1号●アジア系歌手の全米進出は、難関だ。

所長●インストゥルメンタル系なら、けっこう存在感を示しているんだけどね。日本のロックもかなりレベルが上がってきたと思うから、そろそろ英語歌詞の正当派ロックで人気を得るバンドが登場しそうな気配はあるのだが。

-posted by 所長@12:29


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