オンフィールド音楽研究所

2007,11,20

036●メイレイ vs メイ(Melee vs Mae)

所長●「ジェイムス・ブラントvsダニエル・パウター」以来、久々の対決形式で2つのバンドを取り上げるぞ。

秘書1号(以下、1号)●メイレイとメイ、要するに似たような名前のバンドを比較しようってことなんでしょ。

所長●あっ、ばれましたか。

1号●バレバレです。

所長●英文字表記だけでは読みにくいバンド対決という意味合いもあるんだけど。

1号●あー。

所長●いずれも最初はCSのプロモーションビデオ垂れ流し番組で存在を知ったのだが、読み方が分からなくてねえ。Melee=メリーとMae=マエだと思っていたら、メイレイとメイだった。日本人には、まず読めないよ。

1号●読みにくいのは確かだけど。

所長●あともう一つ、対決させる理由はあるぞ。メイの最新作「シンギュラリティ」をアマゾンで検索したら、「あわせて買う」CDとして、メイレイのデビュー盤「デヴィルズ&エンジェルズ」がリストに挙がってきた。つまり、この2つの作品は併せ買いがされやすいということだ。

1号●なるほどね。

所長●実は混同されて、間違って購入している人もいるかもしれないが。

1号●そんな人は、ご愁傷様。

所長●サウンドの傾向としてはちょっと違うからね。

1号●そんじゃ、説明してちょ。

所長●まずメイレイは、典型的な胸キュン系のポップロックバンドだよね。いかにもロック初心者の婦女子たちに受けがいいよう、シングル盤には「永遠のハーモニー」という邦題がついていた。そうそう、この曲。

http://jp.youtube.com/watch?v=mv1206kvh-E

1号●非常に耳なじみのいいポップナンバーだね。

所長●明るくカラッと爽やかな、ウエストコーストっぽいサウンドが特徴だ。「実はこれ1曲だけじゃねえの?」と思ってアルバムを聴いてみたら、全編、こんな感じだった。

1号●なるほど。

所長●もう一方、米国ヴァージニア州出身のメイは、最新作のアルバム「シンギュラリティ」が3作目。日本では2作目に発表されたアルバムだ。リードトラック「Sometimes I Can't Make It Alone」はこんな感じ。

 
http://jp.youtube.com/watch?v=iVXQFYJNziw

1号●メイの方は、ちょっぴりハード路線なのかな。爽やか、とも言い難い。

所長●そうね。いわゆるエモコアバンドと言うそうだ。エモーショナルのエモだと思うんだが、絶叫調でエモーショナルに歌いつつ、キャッチーで覚えやすいメロディラインや美しいハーモニーを持っているのが特徴……だと思うんだけど。

1号●何か頼りないな。

所長●どうも明確な定義がないみたいだからねえ。「こいつはエモコアだ」と言われる作品をいくつか聴いてみると、おおむね、こんな感じを言うのかなあ、と思うのだが。

1号●それで、あんたとしては、どっちがお薦めなの。

所長●僕がもしも17歳だったら、無条件にメイレイが好きっ。

1号●また小さな「っ」を入れましたな。目がハート印になってるぞ、気持ち悪い。

所長●メイレイを初めて聴いたときに、思い出したのはエリック・カルメン率いるラズベリーズだった。あの甘酸っぱいポップなロックサウンドを聴いていると、初恋に心を躍らせた年頃が思い出されて、胸がしめつけられる。

1号●もういい加減に忘れなよ、30年以上前の話でしょうが。

所長●忘れないね。たぶん、死ぬまで忘れないね。元気にしてるかなあ。川沿いに住んでいた、あの女の子は。

1号●嫌がらせのように何度もラブレターを送られた本人は、とっとと忘れて欲しいだろう。

所長●あれは悪かった。反省しているよ。今ならストーカー扱いされても不思議はない。

1号●こんなところで反省しても。

所長●そして、僕もそれなりに成長し、50歳のおっさんになった。

1号●成長したかどうかはともかく、加齢を重ねたのは確か。

所長●そんな今、お薦めするならメイの方だな。

1号●その心は。

所長●まずメイレイは、いかにも青少年に受けそうなサウンドを作りすぎていて、ちょっとハナにつくよね。J-WAVEの「TOKIO HOT 100」では堂々の1位を記録したけど、必要以上にヒットしたように思うよ。だってプロモーション来日した本人たちも、驚いていたもの。「僕たち、こんなに人気があったの?」って。

1号●amazon.comで見る限り、確かに本国アメリカでは、大して売れてはいないようだ。

所長●もし将来、「日本で売れた洋楽」みたいな本が出版されるとしたら、ピーター・ビヨーン&ジョンの「ヤング・フォークス」と並んで収録される、かも。

1号●早くも一発屋のニオイがプンプンする、口笛ソングね。

所長●これとは正反対に、メイのアルバムはメロディラインのポップさが適度に寸止めされていて、何度も聴いて楽しめる。サウンドの構成に厚みがあって、聴くたびに新しい発見がある。たぶん、生き残るのはメイの方、と見た。

1号●現状はメイの方が本国では売れていそうだが、優勢は動かないということか。

所長●まあ、名称が似たものどうし、合体するのも方法だけどね。

1号●そんな無茶な。片や西海岸、片や東海岸だぞ。日本で言えば網走と西表島よりも遠く離れているんだから。

所長●バンド名はメイメイと命名。

1号●結局、それが言いたかっただけだろ。

-posted by 所長@17:35PM


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