オンフィールド音楽研究所

2007,05,10

026●エイミー・ワインハウス(Amy Winehouse)

所長●いま、音楽界の最大の謎と言えば。

秘書1号(以下、1号)●何でしょ。

所長●エイミー・ワインハウスの日本盤がなぜ出ないのか、だ。

1号●あんたにとっては、最大の謎なんでしょうな。

所長●最近になって、CSの音楽専門局でPV(プロモーションビデオ)がちょくちょく流れ始めたから、そろそろ日本盤が出そうな気配があるが、5月7日現在、アマゾンで「エイミー・ワインハウス」と検索しても「ワインハウス」で検索しても「該当無し」となっている。たぶんユニバーサル・ジャパンが発売するのではないかと想像しているが。

1号●知らない人のために、ちいと紹介してみれば。

所長●1983年生まれのユダヤ系英国人で、2003年にアルバム「Frank」でデビュー。06年10月末に発表したセカンドアルバム「Back To Black」が全英1位になって大ブレイク。シングル「Rehab」も全英7位を記録。余勢をかって、BRIT Awardでは最優秀女性シンガーに選ばれた、と。

1号●英国では、この半年で一気に有名になった女性シンガー、って感じかな。

所長●そうね。日本で言えば、デビュー半年後の元ちとせ、のような感じ。

1号●いつものように、微妙な喩えだな。

所長●最近では米国にも人気が飛び火したようだ。半年遅れで3月にリリースされたアルバム「Back To Black」が、5月7日現在、amazon.comでは3位に入ってた。

1号●ほお、すごいね。これはどうやら、全世界的な人気へ発展、という感じですかな。

所長●なのに、何ゆえに、我がニッポン国では、発売せんのだ? あーん?

1号●何か、ライト方面のような喋り方なんだけど。

所長●いかんいかん、憲法記念日のテレビ番組を真面目に見過ぎてしまったようだ。個人的には、改憲反対。条文を分かりやすい日本語に変えるだけなら賛成してもいいけど。

1号●こんなところで言わなくても。

所長●まあ、それはともかくだ。名の知れたアーティストについては、本国よりも1日でも早く先行発売したり、時にはクズのようなボートラをくっつけたりして販売にいそしむのに、知名度のないエイミー・ワインハウスについては、知らんぷりだもんな。

1号●今回はお怒りモードのようですな。

所長●辛抱溜まらず、僕は2枚とも輸入盤で買ってしまった。ここんとこ、仕事しながらのヘビーローテーション状態だ。

1号●ということは、なかなか、気に入ったと。

所長●噂に違わぬ本格派のシンガーだね。歌ものR&Bにジャジーなテイストが加わって、味わい深い。まあ、試しにここで試聴してみてよ。公式サイトをリンク。
http://www.amywinehouse.co.uk/
個人的には「Rehab」の出だし7秒でノックアウトされてしまった。

1号●はやっ。HERO’sの柴田勝頼vs山本宜久戦みたいだ。

所長●なかなか上手い喩えだなあ〜。キミもやればできるじゃないか。

1号●あんたに誉められたくないね。

所長●ちなみに、柴田勝頼vs山本宜久戦は1ラウンド9秒だけどね。

1号●細かいこと言うな。

所長●ピーター・バラカンさんもFM番組の中で言っていたけど、デビューアルバム「Frank」の歌詞カードの末尾には、Thanksリストが載っている。たぶん「私を音楽の世界に導いてくれた人たちに、ありがとう」という意味なんだろうけど、著名なミュージシャンの名前がずらり。

1号●例えば。

所長●まずJazz系では、カウント・ベイシー、クリフォード・ブラウン、デューク・エリントン、クインシー・ジョーンズ、チャールズ・ミンガス、セロニアス・モンクなど。R&B系やシンガー系では、レイ・チャールス、ナット・コール(ナット・キング・コール)、トニー・ベネット、サミー・デイヴィス、マヘリア・ジャクソン、キャロル・キング、ミニー・リパートン、ダイナ・ワシントン、スティービー・ワンダーといったところ。

1号●大御所ばかりだな。

所長●たぶん、幼い頃にお父さんかお母さんがよく聴いていたんだろうね。可愛いのはね、マイケル・ジャクソン、ベン・フォールズ・ファイブ、ビースティー・ボーイズの名前も入っているところかな。このあたりは、ティーン・エイジャーになって好きになったんだろう。

1号●何を聴きながら音楽的な感性を培ってきたのか、その後のアーティスト生活に大きな影響を与えそうだ。

所長●エイミー・ワインハウスのThanksリストを見ると、まさに、そのまんまの感性で、今の楽曲ができている感じ。リストには載っていないが、僕はティナ・ターナーっぽい渋さと熱さを感じるのだが。もちろん、ティナ・ターナーほどの熱唱タイプではないけどね。さらに言うと、そこにミニー・リパートン的な可愛さもトッピング。

1号●ソフトクリームじゃないんだから。

所長●でも顔はシェールか、オデッセイ家族のお母さん。

1号●オデッセイじゃなくて、アダムスファミリーね。念のためリンク。似顔絵ですが。
http://www.ne.jp/asahi/zukidon/haruka/eiga/addams.html

所長●最新アルバムの写真(上)は、すごくスリムだけど、3年前のデビューアルバム(下)では実に豊満なボディなんだよね。

「Back To Black」2006年10月

「Frank」2003年10月

1号●本当だね、体型がずいぶん違う。

所長●どうやら、過食症と拒食症の両方を経験している、との噂。

1号●あー。見かけは強面だけど、内面は繊細なんだね。

所長●楽曲とかPVにもそのあたりのニオイが漂っている。

1号●なるほど。それで、どうして日本盤がなかなか出ないのか、だけど。

所長●うむ。いい質問だ。僕の勝手な推測だけど、末は大物になりそうな気配も漂うから、できれば華々しいプロモーションをかけたいところ。それには、プロモーション来日が必須だ。ただ、本人は自らがニコニコ笑顔で営業に回るようなことは「イヤだ」とゴネている、と。

1号●何か、リアルな想像だなあ。

所長●夏フェスに呼び寄せて、ついでにプロモーションしてはどうか、とも打診したが、「夏フェスのその他大勢として日本くんだりまで行くなんて」と、やはりゴネている。

1号●裏事情を知ったようなことを言うなあ。

所長●あくまでも邪推だぜ。でも、かなりトンパチでワガママなアーティストらしいから、あり得ると思うなあ。ブスッとした表情で「カウントダウンUSA」に出演したエイミーの心を、小林克也サンがどのように開かせるか、見てみたい気はするけどね。

1号●小林克也さんはインタビューで和ませるのが巧いからねえ。邪気がなく接してくるから、アーティストもフレンドリーな気分になるんだろう。

所長●もう一つ、理由を挙げるとすれば、評判の「Back To Black」にボーナストラックを入れる交渉したものの、「イヤだ」と、けんもほろろに断られてしまった、という理由も考えられる。

1号●これまた、リアルな想像だ。

所長●何しろ、評判の最新アルバム「Back To Black」は、アルバム全曲で32分しかないからねえ。内容はいいんだが、ちょいと辛かろう。

1号●あー、フルアルバムで32分は短いねえ。

所長●LP時代には、30分に満たないアルバムが少なからずあったものだが。

1号●LPはせいぜい50分くらいしか記録できなかったけど、CDは80分近く入るから。

所長●おまけに、聴き込んでいくと03年のアルバム「Frank」の方が、もっといいんだ。こちらはアルバム全曲51分。

1号●なるほど。と言うことは……。

所長●そう、「Frank」と「Back To Black」の2枚から選んで60分近くにした日本特有のデビューアルバムを画策しているのではないか、と。

1号●ますます、リアルな想像だなあ。

所長●題して、デルタ・グッドレム方式。オーストラリアの歌姫だが、日本ではシングルヒット中心に構成した独自編集のアルバムがデビュー作となった。参考までにリンク。 http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/deltagoodrem/

1号●もし、あんたの邪推が本当だとしたら、アーティスト本人にとっては複雑な心境だよね。おそらく、別々の思い入れがある作品をごった煮で出されるのなら。

所長●アーティスト側の論理が通るか、商業ベースの論理が通るか、見物ですぜ、ふっふっふ。

1号●何か、イヤなヤツだな、あんた。

所長●個人的にはアーティストの味方をしたいが、どうなりますかな。ふっふっふ。

1号●打開策は、いかに。

所長●そうだな。全米でも売れてきたから、そろそろ「Back To Black」は日本盤を出したいところだ。そこで、これを期間限定の廉価版1500円で、まずリリース。

1号●なるほど。

所長●話題がじわじわ高まってきた頃に、「伝説のデビューアルバムはコレだった!」として「Frank」を正価の2500円でリリース。

1号●なるほど。

所長●さらに人気が高まってきた頃に、東京ミッドタウンのステージでスペシャルショーを、とオファーして来日公演。記念に、「Back To Black」にライブDVD20分程度のおまけをつけて3000円でリリース。

1号●うーむ。

所長●それと同時に、廉価版は廃盤に。

1号●うーむ……。

所長●さらに人気が沸騰したら、DVDのみをフルーバージョンで3500円でリリース。

1号●あんたも、けっこう、あくどい商売するじゃねえか。

-posted by 所長@10:10PM

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所長追伸だ。いよいよ9月5日に「バック・トゥ・ブラック」の日本盤が出るらしい。「激女」はいいとして、「女EMINEM」というミスリードを誘うようなキャッチフレーズ付きで。

1号ボーナストラックが6曲もつくらしいよ。

所長ええっ? そんなあ。ボートラ6曲は想像もしなかったなあ。

1号やっぱり、あんたの予想は大ハズレ。

所長早まって輸入盤を買った人間が「暴徒ら」と化す。

1号シャレ言ってる場合かよ

所長ブログパーツを貼っておくから勘弁してちょ。たぶん、期間限定だとは思うけど。

 

-posted by 所長@07/8/10 20:02PM


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