オンフィールド音楽研究所

2006,09,19

015もしもフジロック'72が開催されるなら(2)

所長●お待たせしましたで、ございます。

秘書1号(以下、1号)●まったくだ。すっかり、待ちくたびれた。

所長●1ヶ月ぶりのご無沙汰でございます。

1号●玉置宏かよ。

所長●懐かしいね、「ロッテ歌のアルバム」。日曜日の正午だったか、午後イチだったか、忘れたけど。

1号●提供は、お口の恋人、ロッテ。

所長●何か、淫靡なフレーズだよね。

1号●考えすぎだね。ブログ見ている大半の人は、こんな過去の番組、知らないと思うけど。

所長●テレビ史に燦然と輝く長寿音楽番組じゃないか。Mステよりも、ずっと歴史が長い。10代、20代の諸君も知っていて当然だ。ここテストに出るからな!

1号●何の科目だか。

所長●参考までにリンクしたいが、日本語混じりのアドレスはうまくリンクできないから、以下のアドレスをコピペして見るべし。
http://ja.wikipedia.org/
wiki/ロッテ歌のアルバム

1号●さあさあ、とっとと、前回の続きをしてくださいな。

所長●もしも、フジロック'72が開催されたとして、どんなアーティストを呼ぶか、だったね。……しかし、あれから1か月も経つうちに、すっかり季節が巡って、鈴虫が大合唱する季節になってしまった。夏フェスの気分じゃないんだけど。

1号●僕のせいじゃないね。

所長●続きは来年、ってことにしないか。

1号●却下。

所長●じゃあ仕方ないな。前回の続きにするか。

1号●とりあえず、大トリにレッド・ツェッペリンを呼ぶことだけは決まりましたな。

所長●そうなんだよねえ。そこまでは決まったんだが、さて。

1号●さて?

所長●この企画、思いつきは我ながら良かったんだが、いやあ、なかなか悩ましくてね。勝手にフジロック'72を夢想するのは楽しい作業だったはずなのに、考え始めたら頭が痛くなってきた。ブログの更新が遅れたのも、一因はそこ。

1号●ツェッペリンが来るなら、ディープ・パープルも呼びたいよね。72年の初めに不朽の名作「マシンヘッド」を発表して、人気も急上昇。ハードロックバンドの2大競演だ。

所長●チッチッチ。そこが浅はかなところなのだ。考えてもみろよ、実際に72年8月にはディープ・パープルは来日して、武道館などで公演している。フジロックとの掛け持ちは無理だろう。

1号●いいじゃない。所詮は夢物語なんだから、単独公演はやめにして、フジロックに呼ぼうよ。

所長●ダメダメ! 何故なら、この単独公演がなければ、あの名作ライブ盤「ライブ・イン・ジャパン」も世に出なかったことになるからだ。

1号●あー。

所長●世の中には、塗り替えていい歴史と、塗り替えてはならん歴史があるのだ。

1号●結構、細かいところに目配りするね。でも野外フェスに映えるハードロック勢は、他にもほしいところだ。じゃあ、代わりにマウンテンはどう。

所長●マウンテンは72年の春にいったん解散していて、72年の夏は、メンバーがバラバラになっている。故に、不可能。

1号●なるほどなあ。そう考えると、確かに難しいね。じゃあ、グランド・ファンク・レイルロードあたりは。

所長●うむ、選択としては悪くないが、彼らは71年7月の雷雨の後楽園球場コンサートがあまりに伝説的すぎる。この伝説を強化するためにも、翌年いきなりの再来日は見送った方がよかろう。

1号●はぁー。

所長●世の中には、塗り替えていい歴史と、塗り替えてはならん歴史があるのだ。

1号●はいはい。

所長●せっかくの野外フェスに、雨嵐男たちに来て欲しくない、という意味もあったりして。

1号●何だか勝手だなあ。

所長●いいんだってば。それよりも、大切なバンドを忘れちゃいませんか。

1号●72年の夏に来日可能な重要バンドねえ。

所長●ほら、いるじゃないか、あれ、あれ。

1号●少しくらいヒントちょうだいよ。

所長●最初はUから始まる。

1号●うーんと、UFOかな。

所長●UFO……ああ、「カモン・エヴリバディー」が71年にヒットして、同年に来日したバンドだね。まあ、彼らを呼んでもいいけど、72年はマイケル・シェンカーが参加する前だし、まだ駆け出しの小粒バンドだ。せいぜい、レッドマーキー向けかな。

1号●レッドマーキーは、フジロックの会場の中で、唯一の屋根あり会場。新進気鋭のアーティストが主に登場する小さな小屋だ。 参考までに各ステージの説明ページをリンク。
http://www.fujirockfestival.com/stage/stage.html

所長●よっ、ナイスフォロー。

1号●UFOじゃないなら、Uから始まるバンドって何だろう。UB40は80年代のバンドだし、うーんと、うーんと……。

所長●忘れちゃ困るよ、ユーライア・ヒープじゃないか。英文字にするとURIAH HEEP。

1号●またヒープの話題かよ。あんたも好きだねえ。

所長●彼らが72年に夏フェスで来日していたら、たぶん、今でも有名バンドとして君臨しているはずだ。

1号●そうかなあ。

所長●そもそも、彼らがB級バンドのレッテルを貼られたのは、73年の来日時に武道館のステージで音響システムなどがトラブったから、らしい。当時のエピソードを詳細に記した、「たーさん」のページをリンク。
http://www1.odn.ne.jp/%7Ecam83420/03thain/03main.htm#LIVE%20January% 201973

1号●なるほどねえ。だから演奏が酷評されて、以後、評価が地に落ちた。

所長●そうそう。こんな目にあった彼らだから、日本に対する印象は悪いと思うよ。おまけに、次の来日公演がクアトロだぜ。新人バンドのショーケースライブじゃあるまいし。今年2月のワールドツアーでも、タイやインドネシア、インドまで来ているのに、日本には立ち寄らない。くうっっ。

1号●ここで泣かなくても。

所長●初来日の時に、呼び屋さんがウドーだったらなあ。ウドーフェス2006にも来られたのになあ。

1号●後の祭りだね。

所長●くうっっ。

1号●泣いてばっかりいないで、次のアーティスト候補を挙げなさいよ。

所長●くすん、くすん……。じゃあ気分を直して、物色するか。個人的には、アリス・クーパーにも参加して欲しいな。

1号●またまた、B級な名前を挙げてくるなあ。彼を呼ぶなら、ひょっとして蛇も一緒?

所長●もちろんだよ。アリス・クーパーといえば、蛇。蛇と言えばアリス・クーパー。ロックのライブが本格的に商業化する以前から、蛇使いのパフォーマンスをやってのけたのは偉大なり。

1号●税関を通るかどうか、ちょっと心配だけど。

所長●どうせなら、パンティをかぶって入国してほしい。

1号●何でまた。

所長●迷作アルバム「スクールズ・アウト」のカバーに、紙のパンティが付けられていたのを知らないのか。

1号●あー。

所長●中学生の僕には刺激が強すぎた。何で、あのアルバムを、中古レコード屋に売り飛ばしたのか、無念でならない。せめて紙のパンティだけでも、手元に残すんだった。

1号●結局、そこかよ。

所長●ぜひとも、紙ジャケ・パンティ付のCDで復刻してほしい。

1号●署名でも集めれば。

所長●あとは、そうだなあ。この間、NHK-BSの「黄金の洋楽ライブ」で放映されたアーティストは、是非とも呼びたいよねえ。72年に活動していたバンドに絞ると、ストーンズ、Tレックス、ザ・フー、シカゴ……あの時代のシカゴは良かった。 80年代のヤワなシカゴじゃないし。

1号●サンタナも放映されていたよ。

所長●サンタナね。サンタナもいいけど、どうせなら、兄弟で呼びたいよね。サンタナとマロのジョイントなんて、どうだ。

1号●うわっ、マロかあ。

所長●みんな、忘れているだろう。カルロス・サンタナの弟、ホルヘ・サンタナが結成したバンド、マロ。

1号●サンタナよりも、ラテンな雰囲気のバンドだった。

所長●そうそう。デビューアルバムに収録された「いとしのネナ」がスマッシュヒット。

1号●コアな選択だね、しかし。

所長●この前、マロのCDを探していたら、比較的最近の作品らしいライブ盤が見つかったのよ。で、アマゾンで注文して取り寄せてみたら、ホルヘ・サンタナが抜けていた。

1号●ホルヘ・サンタナのいないマロなんて。

所長●ジョン・フォガティのいないCCRみたいなもんだな。

1号●また、若人には分かりにくい喩えを。

所長●正確に言うと、今のCCRはクリーデンス・クリアウォーター・リビジテッドだけどね。

1号●はいはい。

所長●他には、「All Japan Pops 20」の1972 年・年間ランキングに登場しているアーティストたちも呼びたいね。再びリンク。このサイト、偉大なり。
http://www.asahi-net.or.jp/~MA8C-MRKM/ajp/ja/724.htm#295

1号●うわああ、忘れていたアーティストが続々出てくるね。

所長●でしょ?

1号●中には、ロックとは言えないバンドもあるぞ。

所長●いいんだよ、フジロックの懐は深いんだから。ブレッドもレターメンも出演資格はある。

1号●レターメンは、ないでしょうに。

所長●今年のフジロックには、「グッドナイト・ベイビー」 のザ・キングトーンズも出演したんだぜ。かなり音が外れていたのはご愛敬だけど、ザ・キングトーンズがOKなら、レターメンは文句なし。

1号●まあねえ。

所長●「ポップコーン」のヒットを放ったホットバターなんて、みな忘れているだろ。シンセサイザーで演奏された洋楽ヒットの元祖だよ。ダフトパンクとかケミカルブラザーズのファンは、ようく勉強するように! ポップコーン・メーカーズとか、いろんな二番煎じの即席バンドがカバーしたことも思い出すねえ。

1号●当時のシンセサイザー機器は、ステージに運ぶだけで大変そうだけど。……じゃあ、「ゴッドファーザー」のテーマ曲を歌っているアンディ・ウイリアムスも?

所長●ちょっと、それだけは勘弁していただこう。あ、ニール・リード坊やもパスね。子供はママと一緒に早く寝ないとね。

1号●むふふ。

所長●他には、ミュージックライフの人気投票で上位にランクされたアーティストは、マストだね。翌73年発表のアルバム 「狂気」で大ブレイクする直前のピンク・フロイドは当然として、72年に「危機」を発表したイエス、そしてエマーソン・レイク&パーマー(ELP)には、ぜひとも来日してもらわないと。

1号●プログレ3羽ガラスの勢揃いだ。すごいな。

所長●フジロックは、何だかんだ言っても、結構プログレ系に向いている気がする。去年はシガーロス、今年はモグワイみたいな幻想的な音が、会場の自然環境とマッチするからな。

1号●ELPは、現実に72年の7月に来日しているけど。

所長●これは塗り替えるべき歴史だ。単独公演はキャンセルで、フジロックに出演してもらおう。甲子園球場のライブで、途中でコンサートが中止になったことが、今でも恨めしい。金返せ、このやろーっ。青春の思い出を返せ、このやろーっ。

1号●落ち着いて、落ち着いて。

所長●今は忘れられている面々も、呼ばないといかんな。例えば、テン・イヤーズ・アフターとか、トラフィックとか、ジェスロ・ タルとか、ゲス・フーとか、マナサスとか、キャプテン・ビヨンドとか……。

1号●有名どころから渋いところまで、豪勢なメンバーが揃って来たじゃないか。やっぱり楽しそうだね、フジロック'72。

所長●まだまだ検討課題は残っておる。

1号●もう十分でしょ。

所長●いやいや、後は、日本人アーティスト。

1号●あー。

所長●WOWOWで見た限りだが、今年のフジロックで、アジカンはなかなか良かった。日本人アーティストも捨てたもんじゃない。

1号●さんざん、日本の音楽界の悪口を言っておいて。

所長●じゃあ、続きは次回ってことで。

1号●ええっ、まだ続くのかよ。

所長●今回は、ずいぶん長くなってしまった。そろそろ、本業の執筆作業に戻らないと。

1号●続きは、早めにね。

所長●年を越しても許してちょ。

1号●引っ張り過ぎだってば。

-posted by 所長@02:52PM


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