【No.126】 2003年4月16日号

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原発停止は節電のチャンス

 昨年問題となった東京電力による原子力発電所トラブル隠しが発端となって、同社の原子力発電所がぞくぞく検査や修理のための運転停止へ。4月15日には、ついに全17基が停止する事態になりました。

 東京電力が供給する電力のなかで、原発の割合は2001年実績で実に44%。4月末頃には一部発電所で運転が再開されるようですが、もしこのままの状態が続いたら、夏場には電力不足が避けられません。おそらく現有の火力発電所や水力発電所が、能力限界近くまでフル稼働することになるのでしょう。

 少なくとも東京では、昨年末あたりから「原発停止に伴う節電のお願い」のテレビCMが流れ始めました。真夏に冷房や扇風機すらもつけられない状態になれば一大事。同社のトラブル隠し体質は厳しく問い詰められるべきところですが、どうせこうなったのなら、節電に工夫するチャンスと受け止めた方が前向きな気がしますね。

 でも、節電と言ったってどうすればいいのやら。冷蔵庫は頻繁に開け閉めしない、電灯はこまめに消す……といった啓蒙はよく聞かれますが、本当のところはどうなのかしらん。環境・エコロジー関係の取材経験はまだ2年足らずですが、いくつか、にわか知識も増えてきました。そこで、節電の王道を指南するサイトも紹介しつつ、見ていきましょう。

 まず、家庭で使われる電気製品のうち、どの商品がどの程度の割合で電力を消費しているのでしょう。これは財団法人省エネルギーセンターのサイト内で調べることができます。省エネ豆知識のコーナーによれば、1位は「エアコン」(23.9%)で、2位「冷蔵庫」(16.4%)、3位「照明器具」(15.4%)、4位「テレビ」(9.4%)と続き、これら4品目で電力消費の6割以上を占めていることになります。

 一昔前までは、24時間365日稼働している冷蔵庫が「電気食い」の一番手だったようですが、今では省電力化が進んできました。一方、夏場の冷房は当たり前になり、冬場の暖房にもこれを使う機会が多くなったため、エアコンがダントツの1位になったようです。エアコンはやっぱり、温度設定が一番大切ですね。政府が勧めているのは、冷房28度(暖房は20度)ですが、おそらく、ほとんど実行されていないんじゃないでしょうか。エアコンと扇風機(あるいは団扇)を組み合わせるなどして、電力消費を抑える工夫がいりますね。小うるさいことを言うようですが、こうした基本は大切です。

 気になるのは、サービス業での過剰冷房。常時そこにいる従業員が冷え性対策をしなければならないような低温冷房は、いい加減にやめていただきたいところです。前にもここで書いたことですが、公共交通機関や小売店、飲食店などで「冷房28度」近くが守られれば、利用者もおのずと身体が慣れていくはず。「すべての事業所は冷房温度を守るべし」という規制があったっていい。国にその気持ちがないなら、地方自治体が独自に条例を設けるのも方法でしょう。ちなみに、僕は就寝中の冷房をやめて数年になりますが、目覚めが快適になりました。

 次は冷蔵庫です。冷蔵庫は、頻繁に開け閉めしないこと、開けたらすぐに閉めること、が節電対策として一般的です。だけど、以前某社の冷蔵庫開発者から聞いた話によると、意外なことに、ドア開閉による熱侵入よりも、冷蔵庫のあの箱そのものから伝わる熱侵入の方が圧倒的に多いらしい。要するに、ドア開閉をほとんどしなくても、室温が高ければ、箱体を通じて庫内へ高い温度が伝わるってことなのですね。もちろん、これを防ぐために、冷蔵庫の分厚いカベには断熱材が入ったりしているのですが。

 だからといって、室温を下げるためにエアコンをガンガンかければ、何のための節電かわからなくなってしまいます。とりあえず、夏場の直射日光が当たるような場所に冷蔵庫が置いてある場合は、ブラインドなどで日光を遮っておいた方がいい、ってことなのでしょう。

 冷蔵庫は、エアコンと共に省エネ性能の進化が著しい商品です。古い商品をいつまでも使い続けていると、電力消費はかさみます。実例を挙げようとして、自分が使っている冷蔵庫を調べてみました。いま使っている冷蔵庫は容量が170リットル。兄貴から譲り受けた15年ほど前の製品です。ドアの内側には、消費電力量として「31kWh/月」という表示が出ていました。最近は、年間消費電力量を尺度にしますから、単純に12をかけると372kWh/年になります。では、最新の省エネ機種ではどうなるか。これも前出の省エネセンターのサイト内の「省エネ性能カタログ(家庭用)」でチェックできます。

 例えば141〜200リットルの項目を見てみると……あれれ、同等容量で一番の省エネ機種でも390kWh/年か。15年も前の、僕の冷蔵庫よりも少し多いぞ。おかしいなあ、こんなハズはないと思って調べてみたら、謎が解けました。冷蔵庫については、消費電力量の測定方法が1999年に変わっていたのですね。今持っている冷蔵庫と、これから買う冷蔵庫を消費電力量で比べるときは、かなり注意が必要のようです。ちなみに、日本電気工業会の調べによれば、1リットル当たりの消費電力量は、1991年の2.28kWhから、2001年は0.75kWhへ、10年間でがくんと下がっています。

 次に、照明器具です。これはちょうど仕事用に情報収集を進めているところですが、省エネ型のランプや器具が各種出そろっています。できればこういうモノを選ぶことと、あとは当然のようにこまめな点け消しでしょうねえ。最近、べたっと明るい蛍光灯をやめて、電球一つで部屋をふんわりと明るくする照明が好きになってきているのですが、当初は貧乏くさい感じがしていたものの、慣れてくればなかなか快適。リビングなどに使うと、夜はすっかりくつろげます。

 そして最後にテレビ。テレビでは、最近買い換えの機運も生まれている感じがしますが、薄型を買うならプラズマテレビはやめて、液晶テレビにするのが大原則。これもやはり仕事で調べて驚いたのですが、両者を比較すると消費電力が倍近く違うんですね。あとあとの電気代も考えて選びたいものです。

 こうした買い換えの話題を持ち出すと、どうしてもふれざるを得ないのは、最近のディスカウント家電製品。安いのは結構ですが、消費電力にも目を光らせて選びたいもの。例えばエアコンの場合、今の廉価品を買ってしまうと、おおむね10年前の最上位機種レベルの省エネ性能に逆戻りしてしまうようです。

 今回は、省エネを説く「政府広報」と、最新鋭機種を勧める「家電メーカーPR」みたいなコラムになってしまいました。だけど、原発が停止してしまった今だからこそ、新しい視点でライフスタイルを見直すことも大事だよなあ、と思うのです。「このまま原発を動かさないで」と言う市民運動家と必ずしも同じ考えは持っていませんが、少なくとも、「電力需要はどんどん増えるのだから、原発はどんどん作るのが当たり前」という思考停止の価値観は、どこかで歯止めが必要でしょう。

【追記】節電効果を売り文句にした悪徳商法もあるようです。お気を付けあそばせ。

関連リンク●「家庭の省エネ」大事典
     
節電ネット
     
経済産業省・資源エネルギー庁「節電キャンペーン」
     東京電力の「節電のお願い」によるインターネットへの影響(MYCOM PC WEB)

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