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301(07/02/02)
あれも聴きたい、これも観たい。

 さて。今回は勢いに任せて長文なり。

 いま洋楽界で大プッシュのアーティストといえば、UKロックの新人、ザ・ビューだろう。オアシスやザ・ヴァーヴを手がけたプロデューサーが太鼓判を押している、まだ未成年の4人組。先月後半あたりからCS系洋楽番組で、千代大海なみの突っ張り猛プッシュ、ヘビーローテーション状態だ。1stシングルしか聴いていないが、ポップなメロディラインでありながら、どこかしら、本格派を思わせるブルージーな面もあり。間もなく日本で発売されるアルバムには、UKバンドっぽい泣きのメロディも多く入っているとか。昨年のアークティック・モンキーズに匹敵……いや、上を行く存在になるか?
http://www.bmgjapan.com/theview/profile.php?id=2156

 メタル系では、音楽評論家の伊藤政則さんが「今年、ブレイクする」と予想する、ウィズイン・テンプテーションに興味津々。エヴァネッセンスをさらにゴージャスに、美メロにしたバンド。CDジャーナルによれば「オランダ出身のゴシック・シンフォニック・メタル6人組」だとか。メタルマニアだけに独占させるのは勿体ない存在。CD+DVDの「ザ・サイレント・フォース」、ちょっと高いけど、良さそうだなあ。
http://www.roadrunnerrecords.co.jp/ainfo/artists/withntem.html

 ブレイク真っ直中のバンドといえば、マイ・ケミカル・ロマンス。前作は、どこにでもいるポップでガレージなガキバンドといった感じだったが、メジャー2枚目の最新アルバムで一気に一流バンドへ。シングル曲「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」は、かつてクイーンが「ボヘミアン・ラプソディ」を発表したときのような衝撃だ。「来たぞ来たぞ!」って感じがする。
http://wmg.jp/artist/mychemicalromance/

 ラジオで聴いて最近ノックアウトされたアーティストの1つは、The Radio Dept.。日本語表記は、ラジオ・デプト、またはレディオ・デプト。スウェーデン出身の4人組バンドで、インストゥルメンタルなポストロック系。浮遊感が心地良いサウンド。公開中のソフィア・コッポラ監督作品「マリー・アントワネット」では3曲が使われているそう。彼女の映画は選曲が巧いからなあ。映画からThe Radio Dept.のファンになる人も多そう。(追記:ポストロックというより、エレクトロ・ポップかも)
http://www.ma-movie.jp/

 さて。映画といえば、間もなく公開される「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」も密かに楽しみにしている。ホイチョイ作品は久しぶり。個人的には、バブル時代さえ懐かしくなってしまったのかと、少々、唖然としているが。
http://www.go-bubble.com/

 さらに映画といえば、心待ちにしているのが、ディクシー・チックスのドキュメンタリー作品「SHUT UP AND SING」。3年前だったか、コンサート中にブッシュ大統領批判をし、並み居るマスメディアやアメリカ国民から総攻撃された、カントリー3人娘の一連の騒動を追った作品だ。日本では東京国際映画祭で上映されただけでロードショー公開は未定のよう。ちなみに、ディクシー・チックスの最新アルバム「Taking The Long Way」は「買い」です。カントリー系は日本でなじみが薄いけど、十分楽しめる。ピーター・バラカンさんも猛プッシュ中。
http://www.geocities.jp/dixiechicksjapan/

 ディクシー・チックスといえば、間もなく発表されるグラミー賞で、同アルバムが5部門にノミネートされている。何か受賞して、痛烈な受賞コメントでも、してもらいたい。

 こないだ、今年のグラミー賞のノミネートを現地の公式サイトで見ていたら、懐かしい名前を数々発見してビックリ。Larry Carlton、Peter Frampton、Bette Midler、Smokey Robinson、Neil Young、Bob Dylan、Tom Petty、Natalie Cole、Lionel Richie、George Benson & Al Jarreau、Chaka Khan、The Temptations、Segio Mendes、Nancy Wilson、Michael Brecker、Chick Corea、Sonny Rollins、Ike Turner、Dr. John、Linda Ronstadt、Jackson Browne、といった具合。

 とくに、あの不幸まみれだったピーター・フランプトンが2部門でノミネートされているなんて、どれだけの日本人が知っているのだろう。皆さんも、ノミネートから新しい発見をしてみてはいかが。WOWOW生放送ではキムタク大活躍だろうが、それよりも、これらの重鎮の近影を、数秒でも映してもらいたいもんだ。今年もピーター・バラカンさんの出演はなさそうで、至極残念。
http://www.grammy.com/

 上記の懐かしいアーティストのなかでは、最近、ニール・ヤングとボブ・ディランの最新盤を図書館でゲット。どちらかといえば、聴かず嫌いをしていたアーティストたちだが、気に入りますやら。George Benson & Al Jarreauのコラボアルバムが出ていたのも、グラミー賞ノミネートで初めて知った。黄金コンビですね。ちょうど、アル・ジャロウを再評価すべく、過去のアルバムをいろいろ物色していたところ。中島みゆきの「時代」をカバーしているなんて、知っている人、少ないだろうなあ。ちなみに、プロジェクトXのエンディング曲は、ジャニス・イアンがカバーしてるんですねえ。これも最近知ってビックリ。両方とも、まるで別の曲のよう。

 中島みゆきと言えば、最近のJ-POPだが……NHK「ドキュメント72時間」のテーマ曲を担当している松崎ナオと、遅ればせながらYUIに好感。ちなみに「ドキュメント72時間」は、現代の日常を点描した面白い番組。世相記録にも好適だ。
http://www.nhk.or.jp/docu72/

 あれも聴きたい、これも観たい。されど時間がない。とりあえず、目の前の仕事に1つ1つ専念していこう。

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302(07/02/03)
花王社長の会見に違和感

 さて。「発掘!あるある大事典2」のデータ捏造の話題が尾を引いている。世の中には、この類の情報番組で面白おかしく取り上げられる健康情報をそのまま鵜呑みにしている人が、意外と多いらしい。そのことに、たびたび驚かされている。いや、自分の肉親もそうなんだけど。

 たぶん、何か情報を細工なり加工なり誇張なりしているだろうと思っていたので、データ捏造そのものに大きな驚きはないが、とくに違和感を持ったのは、花王の社長の会見(2月2日)。関西テレビには裏切られた思いがする、という。

 ちょっと待ってよ。花王も体内に入れる製品(飲料など)なり、体内にふれる製品(化粧品など)を数々作っているはず。それなりに人体のメカニズムを理解し、健康・美容維持に役立つ製品を開発しようと日夜努力する研究開発陣を擁しているはずなのに、これまで一度も社内から「あの番組の内容は、怪しすぎる」などと意見は出なかったのだろうか。「スポンサーから降りた方がいいんじゃないか」などと提言する人はいなかったのだろうか。そんなことすら分からないほど、研究開発がお粗末なレベルだったんだろうか。あるいは、良心的な研究開発陣を営業・宣伝部隊が「まあまあ」と抑えていたのだろうか。

 花王が被害者だとは、僕はまったく思わない。結局、視聴率が高いコンテンツであれば、何でも良かったんでしょ、と言いたくもなる。たぶん、株主対策のコメントだろうと想像しているが、ちょっと、いただけなかった。

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303(07/02/05)
垂涎のツール

 さて。食べたくて涎(よだれ)が垂れることを「垂涎(すいぜん)」と言う。転じて、欲しくて欲しくてたまらない思いを表現する言葉にも使う。「マニアにとって、**のフィギュアは垂涎の的である」などと使う。いや、僕にその趣味は、まったくないが。

 垂涎のツール、を発見してしまった。久々に覗いた立花隆さんの連載コラム「立花隆の『メディア ソシオ-ポリティクス』」の最近の記事を見てのこと。
第95回 明治の「バラバラ事件」もヒット 読売新聞の記事DBを体感

 日本経済新聞系の日経BP社サイトで取り上げる話題としては大胆だが、読賣新聞社が94年に着手した「創刊以来125年間の新聞記事を全部データベース化しちゃおう」作戦がいよいよ完成し、古くは明治7年11月2日から、過去の新聞紙面そのものも、特定の記事もサクサク検索できるようになった興奮を語ったコラムである。同連載コラムは時々覗いているが、ひょっとしたら過去最大の文章量ではないかと思うほど、立花さんも興奮しながら書いてらっしゃる。

 僕自身、メルマガ「タイムマシンシリーズ」を5年間(01〜05年)発行し続けてきた経験があるので、立花さんの興奮は非常によく分かる。図書館から分厚い新聞縮刷版を借り出して見入っていると、本当に、タイムマシンで過去に逆戻りしたような実感がある。CGや大道具で作られた街並みとは比べものにならないほどの、時代のリアリティがあるのだ。僕が前述のメルマガで見ていたのは昭和35年が最古で、別の仕事を通じて昭和20年代の新聞縮刷版までは閲覧したことがあるが、戦前、大正時代、明治時代ともなれば、とんでもないタイムスリップ感であろう。

 立花さんが絶賛していたデータベースは、読賣新聞社のサイトでも当然ながら紹介している。CD-ROM版は、全部揃えると軽く100枚を超え、価格は総額500万円に近くなる。ご、ごひゃくまんえん!
●明治・大正・昭和時代の読売新聞

 同webページには「LAN料金価格表」も掲載されており、1台21万円とある。何の説明もないので不明だが、21万円を払えば特定のパソコンに限り、ネットを介してコンテンツが自由に閲覧できるということだろうか。500万円はとても払えないが、21万円なら月賦で(苦笑)払えないこともない。ただし、Windows環境でないと閲覧できないようなことも書いてあるので、Macユーザーとしては、閲覧専用の格安Windowsマシンも買わねばなるまい。総額30万円か……。

  30万円で100年以上前にタイムマシンで飛んでいけるなら、安いものである。自称・スキマ史研究家としては、ぜひとも欲しい。欲しくてたまらない。まったく、涎が垂れてくる。

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304(07/02/11)
引き続き支援を!

 さて。何度となくふれている、「烏賀陽さんvsオリコン」の訴訟問題が、いよいよ重要な局面を迎えつつあるようだ。多くのインターネットメディアやジャーナリスト個人、その他ブロガーも既に相次いで言及しているが、2月8日には烏賀陽さん側が、オリコンによる訴訟そのものが「訴訟権の乱用」だとして反訴に打って出た。連休明けの13日から東京地裁で真っ向勝負が始まる。

 このニュース、未だに大手テレビは全く無視、大手一般紙も多くは無視しており、事の重大性が一般人に広く知られていない気がする。故に、最近のネット記事をいくつか紹介しておきたい。最近は、オリコン包囲網から大手マスコミ包囲網へと変わりつつある印象。いずれも、それを象徴するような記事だ。

●反応鈍い大手メディアの会社員記者たち オリコンvs烏賀陽氏の「スラップ」訴訟(オーマイニュース)
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000005229
●オリコンうがや訴訟3 いよいよ反訴! アルバイトでもできる質問しかしないマスコミ記者たち(マイニュースジャパン)
http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=598

 烏賀陽さんのHPにも興味深いニュースが載っている。
●【朝日新聞07年2月9日朝刊の記事に以下の訂正を申し入れました】
http://www.ugaya.com/column/070210asahi_teisei.html
●【フランスの世界的NGO「国境なき記者団」のオリコン訴訟についてのコミュニケ】(日本語訳)
http://www.ugaya.com/column/070210RSF.html

 あと個人的に興味深く感じたのは、ジャニーズ事務所との確執で数々の裁判を起こされた鹿砦社の松岡社長も、違法に長い拘留生活を乗り越えて、月刊『紙の爆弾』3月号で今回の一件についてふれているようだ(未入手)。シンパシーを感じる部分も多かろう。

  さて。前にも触れたように、烏賀陽さんに対するカンパ募集が始まっている。8日現在で36万円あまりが集まったようだ。今回の訴訟に対応するだけで最低719万円を支払う必要があるようで、一方、フリーランスの烏賀陽さんは本来の取材・執筆活動が一切停止した状態だという。どうか一人でも多くのご支援を。「烏賀陽さんvsオリコン」の訴訟問題が、「すべての発言者・ブロガーvs大手企業」の訴訟問題に発展しないことを願って。

 この話題には似合わない余談かもしれないが、烏賀陽さんのHPに載っている東京下町散歩のPhoto Galleryは、とても面白い。再び、ゆるりとした下町散歩ができる日々が来ますように。

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305(07/02/12)
グラミー賞雑感

 さて。今年もグラミー賞が開幕。先日期待したとおり、ディクシー・チックスが主要4部門中、年間最優秀レコード賞、年間最優秀楽曲賞、年間最優秀アルバム賞の3冠を達成し、その他ノミネートされた2部門でも最優秀賞に輝く功績をうち立てた。打率10割とはすごい、すごい。

 アメリカという国は気に入らないところが一杯あるけれど、政治的な価値観はともかく優れた作品は称えるというところが、何とも羨ましい。これを機に、彼女たちのドキュメンタリー映画が公開されますようにと祈っておこう。

 その他、メアリー・J・ブライジが3冠を受賞したのも嬉しい。ちょうど最近、彼女のアルバムを1stから聴き始めていて、ヒップホップは相変わらず全く好きになれないが、「歌もののR&Bはやっぱり、いいよなあ」などと思い始めていたところ。受賞作のアルバム「ブレイク・スルー」も、先日図書館で借りてきたばかり。ついでに、シャキーラのパフォーマンスも、生唾ごっくんだった。

 新人賞でジェームス・ブラントが受賞しなかったのは、幸いである。UK勢は総崩れだったけど、たぶん明後日開幕のUK版グラミー賞「THE BRIT Awards 2007」では、UK出身のアーティストが大活躍するんだろうな。

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