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041(02/09/10)
最後の「北の国から」を見て

 さて。現有スタッフによるテレビドラマではシリーズ最終作となる『北の国から2002遺言』が放映され、メイキング映像を収めたドキュメンタリー番組も放映された。これでいよいよ終了。感慨無量である。

 今回は、連続ドラマ以外のスペシャル版としては、一番の出来だった気がする。レギュラー陣に加えて、唐十郎のど迫力芝居と、高橋昌也の渋い演技も光った。ただ、僕にとっての最高傑作は、やはり連続ドラマ時代だ。連続ドラマが「北の国から」の「日常」だとすれば、スペシャル版は「非日常」。後者はどうしてもテンションが高くなり、泣きのシーンが連続してしまう。何気ない日常が描かれた連続ドラマ時代のほうが、ドラマとしてはバランスがとれていたように思う。

 「北の国から」の大ファンではあるが、全てに満足しているわけではない。とくに登場してくる女性の描き方には毎回不満が残る。倉本聡の女性観がそのまま出ているのだろうが、何とも前時代的。男性の素敵さばかりが印象に残るのは、そのせいもあるのだろう。あのドラマが1960年代に書かれたものであれば、小津安二郎作品のように、もっと素直に観られるのだが。

 そんな違和感を感じつつも、毎回釘付けになっていたのは何なのだろうと思っていたが、今回の作品を見ていて、ようやく気づいたことがある。それは、個性的な人々が集うあの「場」の豊かさだ。ドラマに登場してくる人々によるバーチャルな街、その裏側に見え隠れするリアルな富良野の街、そして俳優たちを取り囲むスタッフたちのコミュニティが醸し出す、あのホクホクした感じに魅せられていたのだろう。

 「北の国から」を家族のドラマだと言う人は多いが、あれは「場」のドラマだったと思う。満点の作品ではなかったが、深く心に刻み込まれた。スタッフ、キャストの皆さんに、ありがとうを言いたい。

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042(02/09/11)
「国際福祉機器展」に行ってきた

 さて。今年で29回目を迎える「国際福祉機器展(HCR)」に行ってきた。毎年、秋風の涼しい季節に行われてきたこの催しも、今年は何故か9月の開催。年々、来場者が多くなっているようで、会場の熱気は相当なものだ。一日ぐるぐる回って、すっかりグロッギー状態。

 会場で目立ったのは、課外授業で来場したと思われる高校生たちだ。仲良し同士で、きゃあきゃあ言いながらブースを渡り歩いている。それはそれでいいのだが、どう見ても主要商品には見えない高齢者用遊具なんぞに興味津々。もっと、車いすとか、福祉車両とか、リフトとか、見ておくべきものがあると思うんだがなあ。

 ただし、先生から「見学してこい」とだけ言われて来ている人がほとんどだろうから、それも無理からぬ話。もっと、見所を事前に教えてあげれば、いい体験になると思うのだけれど。例えば、海外企業の出展は何のための出展なのかとか、来場している障害者・高齢者の、身体の不自由さの多様性を見てこいとか……。

 今回「国際福祉機器展」で初めて見た光景は、コンビニ前に地べた座りをしながらたむろしている若者のような一群が、某所に集まっていたこと。「あーかったるい」とか言いながら、携帯をピコピコして時間を潰している。ま、それだけ「国際福祉機器展」もフツーの人々が集まるイベントになってきた、ともいえる。

 休憩スペースで煙草をふかしていたら、目の前の中年男性がその連れ合いに、「ストレッチャー暴走族」の話を始めた。ストレッチャーとは、足にキャスターをつけた移動用ベッド。要するに、移動用ベッドに動力をつけた「電動ストレッチャー」を、ハンパではないスピードで走らせる「暴走族」を何年か前に見た、という話だ。

 実は、僕も何度かその光景を見ている。さらに、僕は彼の自宅まで訪問して取材したことがある。今年は見かけなかったが、今も元気で暮らしているのだろうか。

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043(02/09/13)
どーなる、貴乃花

 さて。貴乃花の取り組みが面白い。足下の不安を、経験に裏打ちされたセンスの良さと、腕の力で補っている印象。もちろん、12勝以上を残して、引き続き横綱の座にとどまって欲しいと願う。

 だが、ちょっぴり意地悪い考えもちらほら。千秋楽に負けて11勝4敗となり、「12勝あげなければ引退だ」と言い出した讀賣新聞・渡辺オーナーへのバッシングが巻き起こり、ファンの声に後押しされて横綱を続けるというシナリオ。僕は根っからの巨人ファンだが、独善的なオーナーの言動は鼻につく。引導を渡されるのは貴乃花ではなく、渡辺オーナーだった、という結末になったりしないかなあ。

 あるいは。これがもし『巨人の星』のような劇画であれば、一度引退し、もう一度幕下付け出しから横綱をめざす、なんてストーリーも面白いかも……などと、あらぬ妄想も渦巻く。

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044(02/09/16)
美味しかった、映画「ディナーラッシュ」

 さて。予告編ではあまり食指が動かなかったものの、評判に誘われて映画「ディナーラッシュ」(監督/ボブ・ジラルディ)を観てきた。ミニシアター系のシネスイッチ銀座は、3連休中日の夕刻とあってか、全席が埋まるほどの大人気。上映前から並んだものの連れ合いとは離れた席となり、僕はようやく最前列に着席することができた。

 この映画は、ニューヨークに実在するイタリアンレストラン「ジジーノ」が舞台。初老のオーナーが相棒を撃ち殺されるエピソードを背景に、レストランの一晩の出来事だけで全編をぐいぐい、ぐいぐい引っ張る。

 オーナーの息子で店を任されず苛立つシェフ、料理の腕前ではシェフを上回るもののギャンブルにうつつを抜かす副シェフ、シェフと副シェフが狙いをつける中国人系ウェイトレス、副シェフの借金を脅しの材料に店を乗っ取ろうとするギャング2人、ハンサムなシェフに狙いをつけてやってくる叶姉妹のようなフェロモン満開女、講釈ばかり垂れる美術評論家とお連れの若手アーティスト、ウォールストリートに勤めるという謎の証券マンなどが、縦糸・横糸に絡みながら、最後の意外な結末へ一気になだれ込む。

 満員盛況のお店の舞台裏となる厨房の喧噪、次々と皿に盛られる美味そうな料理、厨房から客席へ、客席から厨房へと行き来する店員たち……。慌ただしくもあり、スピード感あふれるカメラワークで観客の目をスクリーンに釘付けにする演出はお見事という他はない。さまざまな人間模様や、エピソードという材料を吟味し、一つの作品に仕立て上げる様は料理そのもので、その手さばきは鮮やかだ。ベストワン候補とは言わないが、十分満足の★4つ作品だった。

 さて。観終わった後は、すがすがしい空腹感が襲う。もちろんイタ飯屋さんで、連れ合いとディナーをいただいた。4種のチーズを使ったペンネがプロの仕事を思わせ、こちらも満足。映画も料理も、美味しゅうございました。

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045(02/09/23)
ICレコーダーにがっかり。

 さて。取材に使う録音機器は、長らくの間カセットテープだったが、昨年末頃からMDに切り替えた。多くのライターと仕事をしている編集者によれば、ほとんどのライターはもうMDを使っていると言う。カセットとは比べ物にならないほど音質が良く、鞄の中でかさばらず、ディスク一枚でMDLP4倍速なら約5時間も連続録音できるから、便利なことこの上ない。慣れないうちは、何度か失敗もあったけれど。

 一方、短いコメントを手早く録音してすぐに使いたいような新聞記者などは、どうやらICレコーダーが主流と見える。小泉首相あたりに向けられたマイクの数々を見れば、その多くがICレコーダーだとわかる。とっさにポケットから取り出して、すぐに録音開始できるから、ちょうどいいのだろう。

 僕も、MDプレイヤー不測の事態に備えて、サブ機としてICレコーダーを購入してみた。高音質モードで2時間少々が録音できる、某大手メーカーの2万円弱の製品だ。電池含めて70g程度と軽いので、鞄に常時入れておける。だが、実際に使い始めてみて、その音質の悪さにたいそうガッカリした。相手の口元に直接つきつけて録音するならまだしも、通常の取材のように、テーブルを真ん中に向かい合って話を聞くときなど、とても使えたものではない。会議の収録や講演会の記録などにも不向きだろう。

 ただし、思いついたことを自分で声メモするには便利そう。ご参考までに。

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