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021(02/06/28)
お手頃・お手軽に沖縄を楽しむ方法

 さて。6/22から5日間、沖縄旅行へ出てきた。バースデイ割引で航空機代が往復2万円で済んだことは、すでにふれた通りだ。今回は初めての沖縄旅行、とりあえず沖縄を一巡りするのが目的だったこともあって、レンタカーと民宿を多用した。

 レンタカーは軽自動車を借りた。一日5000円程度だ。軽では物足らないという人も多いかもしれないが、2人の旅行なら必要十分の印象。沖縄本島は案外小さな島なので、高速道路を利用したくなることもあまりなく、一般道を走れば事足りる。北海道と違って、ブンブン飛ばすクルマは少なく、流れは緩やかだから、とくに馬力がいるとも思わない。レンタカー会社は、オリオンレンタカー。ほかのレンタカー会社と比較検討はできていないが、とくに問題は感じなかった。走行距離は忘れたが、5日間で入れたガソリンは合計でも20リッター弱だった。

 お金が潤沢ではない2人なので、できるだけ民宿を使った。まず、那覇市内では「コバルト荘」という民宿に宿泊した。中心地の国際通りから徒歩5分程度、住宅街のなかにある。民宿とはいっても、要するに賃貸マンションの一室のようなものだ。バスタブなし・シャワーのみだが一泊素泊まり3000円(1人当たり、以下同様)は嬉しい。那覇市内での長期滞在にもいいだろう。

 2泊目は北部の名護へ移動して、ビジネスホテルに宿泊。こちらは一泊素泊まり5000円。3泊目はやんばるの入り口にあたる東村の民宿を利用し、2食付き5000円なり。スナック兼用で夜はカラオケがうるさかったのがタマにキズだ。

 最後の4泊目は宜野湾。ネットやガイド本を見る限り、ANA系列の高級ホテル以外では「沖縄ハイツ」という公共の宿(一泊朝食のみ約8000円)があるだけだったので、ここを利用したが、現地に行ってみると安そうな宿があちこちにあった。本気で調べるなら、現地の観光案内所のようなところに問い合わせるか、図書館で沖縄地方のハローページを見つけて、探すのがいいだろう。

 僕自身も、旅行のガイドブック制作に関わったことがあるが、制作サイドが独自に宿泊施設の穴場を探して掲載するようなことは、まずない。たいていは、然るべき協会に加盟しているとか、大手旅行代理店の取り扱いに名を連ねているリストから、適当に抽出して掲載するのがパターンだ。ガイドブック制作サイドも、安かろう悪かろうの宿泊情報を掲載して文句をつけられるのを嫌うから、独自に安い宿を見つけるような面倒なことはしない。

 そういえば、今回のワールドカップ観戦でやってきた外国人サポーターが、もっぱら好んだのは、観光ガイドブックにも載っていないような安い宿だった。彼らにしてみれば、目的はサッカー観戦であり、宿泊は雨露さえしのげればいいという考えだ。話はそれてしまうが、日本人の「観光観」を、彼らが変えてしまったかもしれないなあ、と最近思う。


▲マンションのような民宿コバルト荘。右は1階の駐車場。どうやってここにクルマを入れるのだろう……。

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022(02/06/28)
まずは沖縄を食す。

 さて。沖縄本島に着いたら、多くの人はまず那覇市内の中心街・国際通りの周辺に宿泊することになるだろう。まずは気分を盛り上げるべく、沖縄料理に舌鼓を打ちたいところだ。

 街をぶらぶらしながら入るお店を品定めしたが、結局ここにしようと決めたのは「ゆうなんぎぃ」という郷土料理のお店。ゴーヤチャンプルーなど、一通りの沖縄料理が楽しめて、初心者にはちょうどいい印象。店主さんも、一見さんの観光客の対応に手慣れていて、値段もまずまず。後でガイドブックを見てみたら、代表的なお店の一つとして紹介されていた。オリオンビールを数本飲んで、2人でざっと6000円也だった。

 この店も合格点だが、結果的にオススメしたいのは、国際通り真ん中あたりから少し南へそれたところにある、第一牧志公設市場の2階だ。本土では見たこともないような食材の数々を市場で鑑賞した後、2階に上がってみると、猥雑な感じのにぎやかな食堂街が広がる。沖縄料理やら中華料理やら、数え切れないほどのメニューがそろっていて、東海林さだおさんじゃないけれど「あれも食べたい、これも食べたい」と、胃袋が小躍りしてくる感じだ。親切なメニュー解説はあまり望めないが、好き嫌いがなく好奇心の強い人なら、当てずっぽうで注文してみても面白い。僕たちは、最終日の昼食をここでいただいた。

 沖縄料理をたっぷり堪能したわけでもないが、パパイヤチャンプルー、ソーメンチャンプルー、ふーチャンプルーなどは、意外な食材を使いながら普通に美味しい大衆食として印象深かった。


▲小さな大衆食堂で出てきたパパイヤチャンプルー。まだ青いパパイヤを細切りにして、ハムやくず野菜と炒めたもの。 もずく、パイナップルゼリー、ソーキそば(小)とセットで500円なり。満足。

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023(02/06/28)
やんばるの山に登る。

 さて。今回の沖縄旅行は、入門編として本島を一巡するのが目的だったが、とりあえずのメインイベントを「やんばるエコツアー」にした。やんばる=山原は、沖縄本島最北部に広がる森林地帯で、本島の中でも、もっとも自然が残る一帯だ。ブロッコリーを逆さにしたようなイタジイという樹木などが密生し、貴重な動植物が生息している。お世話になったのは「やんばる自然塾」。ここが主催するエコツアーを一日に2つも楽しんでしまおうという、欲張りな計画を立てた。

 まずは朝から、玉辻山トレッキング(約3時間、大人6000円)に参加。標高300mほどの山で、足下さえ悪くなければ軽装で登れる山だ。ただし、道標などはほとんどないので、ガイド無しの登山は危険。ちょうど、毒蛇のハブが出没するシーズンとあって、実は少々恐かったのだが、珍しい大クモやら、水玉模様のカエル、極彩色の毒キノコを眺めつつ、いい汗をかきながらの登山だった。

 特別高くもない山だが、頂上からの眺めは壮観だ。眼下に樹海のような森林が広がり、福地ダムから太平洋までが見渡せる。ガイドさんの説明によると、普天間基地の移転にあたって、やんばるに位置する米軍の北部演習地にヘリポートが7カ所建設される計画だそう。ヘリポートができれば、当然そこへアクセスする道路も作ることになり、原生林の多くが失われてしまうという。このことを知る人は、どのくらいいるのだろう。

 夕刻からは、慶佐次マングローブ林探検カヤッキング(大人6000円)を楽しんだ。慶佐次川をカヤックで上りながら、絡まったタコ足のような枝を伸ばすヒルギ(マングローブ)林を観察するツアーだ。安定性のいいカヤックに連れ合いと一緒に二人乗りし、ガイドさんが側について一緒に漕いでいく。連れ合いは珍しい動植物に関する説明に興味津々で、偶然にも、川面を素早く飛ぶカワセミも目撃できた。僕は風を切って漕ぐカヤックに魅せられた。このツアーに外海散策は含まれていなかったが、観光シーズン直前の閑散期で時間の余裕があり、外海へこぎ出せたのはラッキーだった。


▲珍しいシダ類の植物についてガイドさんから説明を受ける(玉辻山トレッキング)。右は、慶佐次川のマングローブ林。

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024(02/06/28)
地を這う機影に恐怖。

 さて。4泊5日の沖縄旅行、4日目は米軍基地巡りがコンセプトだ。なかでも時間をかけたのは、戦闘機が飛び出す嘉手納基地。もちろん、基地を見学することはできないが、ぜひオススメしたい場所がある。それは、嘉手納基地沖合の海岸(たぶん、砂辺海岸)だ。

 連れ合いが知人から教えてもらった場所で、観光ガイドには載っていない。国道58号を南から嘉手納に近づき、基地のフェンスが見えてきたところで左折すると、クルマの解体業者がある。その裏手に、珊瑚礁の広がる美しい岩場のような海岸がある。

 現地の人や、米軍の軍人家族だけがこっそり遊びに来るような穴場なのだが、ここで待ち受けていると、ファントム戦闘機が頭上に飛び出してくるという。半分は、物見遊山の気分で来たのだが、実際に戦闘機を目撃すると恐怖におののく。真上を飛び去っていく戦闘機が恐いのでもなく、轟音が恐いのでもない。恐怖の正体は、地を這う機影だ。

 まず、遠くで戦闘機の轟音がうっすら聴こえる。「あ、来た来た」と見上げていると、あっという間に機体が近づいてくる。と同時に、地面にくっきり映った戦闘機の影が、地面を猛スピードで走ってきて、自分の身体にアタックしてくるのだ。影に直接攻撃されるという恐怖、これはぜひ多くの人に体験していただきたいと思う。

 嘉手納基地の周辺には、唯一、合法的に基地内を高台から覗き見ることができる「安保の丘」というものがある。合法的とはいえ、米軍側は撤去を要求しているそうだが、専用の駐車場などもあり、丘の上では有料で双眼鏡の貸し出しなんかもやっていて、牧歌的な雰囲気。インパクトの大きさでは、沖合海岸と比べ物にならない。

 ちなみに、嘉手納基地沖合の海岸はとても美しい場所だ。干潮時には、珊瑚礁のくぼみが小さな池のようになり、鮮やかな群青色の熱帯魚やハゼのような魚、なまこ、カニ、ヒトデ、ウニなどが見放題だ。そのあまりに平和な風景が、不穏な戦闘機の影と好対照をなしていて、沖縄の光と影を象徴するような場所だった。


▲嘉手納基地沖合の、珊瑚礁でできた海岸にて。きれいな熱帯魚も豊富。

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025(02/06/28)
一見の価値ありありの首里城。

 さて。元々へそ曲がりのような性分もあって、沖縄最大の観光スポットである首里城観光は、「時間が余れば、ちらっと寄ってみようかね」という程度の位置づけだった。連れ合い共々、団体ツアーがぞろぞろやってくるところは避けたい気分なのだ。最終日は宜野湾から出発して本島最南端へ出かける予定だったが、那覇周辺を通り抜けるのに結構な時間を食うことがわかって、急遽、首里城“にでも”行こうか、ということになった。

 だが首里城は、沖縄観光では必須の観光スポットだとわかった。建物そのものは、再建してわずか10年程度の真新しい建物だが、沖縄の歴史や異文化性に興味を募らせてくれる、格好の場所だったのだ。

 首里城観光で、ぜひオススメしたいのは無料ガイド(確か一日3回程度)を利用すること。チケット売り場の端っこに、小さな張り紙をしている程度なので、ご存知ない人が多いと見える。実際、一回目の無料ガイドを目当てに待っていたのは僕たち2人だけだった。おかげで、沖縄県の前身である琉球王国の概要や展示物の意味、首里城再建に関するあれこれについて、とてもわかりやすい説明を聞くことができた。案内役を務めてくれた聡明な女性・I さんには、改めて感謝したい。

 琉球王国の歴史をしたり顔で解説するつもりはないが、改めて中国との関わりが深い国であったことがわかる。と同時に、東南アジア諸国との交流も深かった。独自の文化を生み、育ててきた沖縄が、巡り巡って今は日本という国に属していることを、素直に喜びたい気がした。


▲首里城正殿の見慣れた風景。地面の紅い部分に意味があったとは知らなかった。ここで繰り広げられた厳かな式典を見てみたい。

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