オンフィールド音楽研究所

2007,08,03

031●ドロレス・オリオーダン(Dolores O’riordan)

所長●モジモジ、モジモジ……。

秘書1号(以下、1号)●何やってんだよ。

所長●ちょっと恥ずかしがっているんだ……。

1号●気持ち悪いから辞めなさい。もう50代に突入したんだろ。

所長●50代に突入したって恥ずかしいという感情はある。いや、50代に突入したからこそ、恥ずかしいとも言えるが。

1号●だから何よ。

所長●クランベリーズ、というバンドについて、まったく知らなかった。いやはや、お恥ずかしい。

1号●あらまあ……それは相当な恥部だね。音楽雑誌で連載しているライターとは到底思えない。

所長●最新の洋楽を熱心に聴いていなかった時代に活躍していたアーティストだから。

1号●それにしても、全世界でアルバムセールスが4000万枚を超えたアーティストだぜ。アイルランド出身で、93年にアルバムデビュー。01年に発表した5thアルバムを最後に、活動休止状態。

所長●らしいねえ。こないだ2枚組の「スターズ:ザ・ベスト・オブ・クランベリーズ 1992-2002」を聴いてみたら、耳なじみのある曲が数曲あった。

1号●そりゃあ、あるだろ。FMを聴きながら仕事していたのなら。

所長●同じくアイルランド出身のコアーズあたりと混同していたのかなあ、どうしてバンド名くらい覚えてなかったのかなあ。

1号●知らないね、あんたの頭の中の構造までは。

所長●ポップで北欧チックで、なかなかいいバンドだね!

1号●今さら、あんたに評価されたくないと思うよ。

所長●クランベリーズ万歳! ビバ、90年代!

1号●同じようなフレーズを、デペッシュ・モードの回でも叫んでましたな。

所長●クランベリーズを知ったのは、リードボーカルとして活躍していたドロレス・オリオーダンという女性シンガーの存在を知ったから。

1号●クランベリーズは有名だと思うけど、ドロレスという個人名まではあまり知名度がなかっただろうね。

所長●でも一度聞いたら、忘れられない名前だよね。ドロレスって何じゃ、泥レスか? って。

1号●言うと思ったよ。

所長●ソロ第1作アルバム「アー・ユー・リスニング?」に収められている先行シングルの「オーディナリー・デイ」、なかなか良い感じ。これですっかり気に入った。アルバムもようやく最近ゲット。


http://jp.youtube.com/watch?v=Lxc3O4mQV74

1号●肩に力が入っていない、とても自然な、風のような楽曲だね。

所長●アルバム全体に言えることだけど、内から湧き出てきた楽曲が揃っている感じがする。いつまでにアルバムを出さなきゃとか、ヒット曲を書かなきゃとか、そういう義務感から解放されて。

1号●ふうん。

所長●多忙なバンド活動から距離を置いて、1人の女性として、母親として、妻として、夫の故郷・カナダで暮らしながら、コツコツ書きためた楽曲のようだ。03年から楽曲を作り始めたというから、アルバム発表まで4年もかかっている。

1号●ソロシンガーとして、どこと契約するとか決めずに、じっくり楽しみながら作ったわけだ。

所長●そうみたいだね。さっきのビデオクリップは、3人目の子どものことを歌った曲。子どもへの思いを、とてもシンプルに歌っている。歌詞の内容を要約すれば、「あなたは美しい少女よ。人生はいろいろあるけれど、あなたは、あなたでいてね」というもの。饒舌でないところがいい。

1号●なるほど。1人歩きを始めた娘を、ちょっと離れたところから見守っている、そういうシーンだったんだろうね、さっきのビデオは。

所長●日本でも、こういうスタイルの女性シンガーが少しずつ増えてきているような気はするな。私生活とバランスを取りながら、自分のペースで音楽活動をしていくようなアーティスト。

1号●例えば。

所長●そうだなあ、思いつくのは、CHARAとかUAあたりかな。共に、レコード会社の都合では動きそうにないタイプ。いろんな仕掛けにも、簡単には乗りそうにないタイプだね。

1号●かといって、わがまま放題の天狗にもならず。

所長●そうそう。会ったことはないけど、そんな印象はあるよね。当たらずとも遠からじ、じゃないかな。

1号●しかし、ドロレスもソロで再び脚光を浴びれば、以前と生活パターンは変わる。

所長●変わるかもねえ。特に子育ての手が離れ始めたら、ミュージシャン生活に再び没頭する、という可能性は十分にある。

1号●今回のようなペースで、じっくりアルバム制作するような環境を維持できるか、否か。

所長●ズバリ、予測しよう。3年後にはクランベリーズの再結成だな。

1号●あらら、そういう結論ですか。

所長●別に喧嘩別れみたいな感じじゃないみたいだしね。ツアーが続いて、心身共にボロボロになって、小休止していたようだ。その小休止の間にコツコツ書きためた曲でソロデビューしたわけだから。音楽活動は根っから好きなんだし、冷却期間をおいて昔の仲間の良さを再発見する、というパターンになるのでは。

1号●最近、再結成が続いているからね。

所長●一種のブームだよね。

1号●次から次へとねえ。

所長●スマパンことスマッシング・パンプキンズ、以前紹介したリチャード・アシュクロフトが在籍していたザ・ヴァーブ、ヘアスタイルが他人とは思えないフィル・コリンズが在籍したジェネシス……。

1号●ヘアスタイルじゃなくて、ヘアーのないヘッドスタイルは似てますな。

所長●全然興味はないけどスパイス・ガールズ、70年代系ではシン・リジィ、80年代系ではスクイーズ、メンバーの闘病で再結成が延期となっているヴァン・ヘイレン、KORN……地味なところではカクタスも再結成だ。日本ではYMO、筋肉少女隊、すかんちも。

1号●何でもあり状態だね。

所長●あ、サディスティック・ミカ・バンドも、だ。

1号●ボーカルは違うけどね。

所長●世間では、加藤ミカがボーカルをとった初代と、木村カエラがボーカルの第3代の評判が高いが、どう考えても、第2代が良かったと思うんだけどね。ボーカルは桐島かれん。89年の「天晴」は名作だったよ。

1号●あんたも、ひねくれ者だね。

所長●再結成といえば、一番驚いたのはレッド・ツェッペリン再結成の噂。本当かよっ。

1号●再結成は絶対にない、と言っていたが。

所長●ブラック・サバスも再結成。

1号●オジー・オズボーン抜きでね。

所長●大友康平のいないハウンドドッグみたいだ。

1号●あまりふれたくない話題だね。

所長●でもいいよなあ。生き延びてりゃ、再結成の可能性はつねにあるわけだからね。Tレックスも、チェイスも、再結成したくてもメンバーがいない。ビートルズも全員が生きていれば再結成は十分あったと思うな。マッカートニーも慰謝料が欲しいだろうし。

1号●ご愁傷様というか、自業自得というか。

所長●個人的には、エマーソン・レイク&パーマーの再結成を希望。

1号●カール・パーマーが嫌がっているというのが、もっぱらの噂だけど。

所長●せめて10年以内には再結成して欲しいね。でないと、キース・エマーソンもオルガンを壊す体力がなくなってしまう。

1号●昔みたいに壊したりはしないよ。今の楽器は電子部品の塊だから、衝撃に弱いし。

所長●ということで、今回はドロレス・オリオーダンの話題でした。

1号●大半は余談だったけどね。

-posted by 所長@10:45AM


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