●取材ノートから●(13) 2001年6月1日号

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障害者雇用に株主訴訟のインパクト

 5月17日、痛快な記事を見つけました。航空会社の最大手・日本航空の株主が歴代社長を相手に、障害者雇用を進めなかったことで会社に金銭的損害を与えたとして株主訴訟を行い、日本航空側が非を認めて改善目標を明示して和解した、というものです。

 従業員56人以上の企業の場合、一定の割合の障害者を雇用しなければならないことになっています。この一定の割合が「法定雇用率」と呼ばれるもので、現在は1.8%。つまり1000人の企業なら障害者18人を雇用しなさい、と法律に定められているわけです。この雇用率に達していない場合は、未達人数一人当たり月額5万円を、ペナルティ金として厚生労働省の外郭団体に納めなければならないことになっています。解りやすく単純計算をすると、従業員1000人の企業で障害者を8人しか雇用していない場合は、ひと月10人分で50万円、年間で600万円を払わなければいけないんですね。

 5万円のペナルティを課すことで障害者雇用の遅れを叱責している、とも受け取れますが、話はそう単純ではありません。実は、「障害者雇用は面倒くさいから5万円払っちゃえ、それでいいんだろ」と考えている経営者が実に多いんですね。お金さえ払えばおとがめナシの仕組みが、障害者雇用率の向上を阻んでいると言われている所以でもあるのです。その「抜け穴」を株主訴訟というかたちで封じ込めたのが、今回の意義といえます。正直、「なるほど、この方法があったのか」と思いました。これまで抜け穴を利用してきた株式公開企業の多くは、次は我が社が訴えられやしないかと、危機感を募らせているのではないでしょうか。

 現在、56人以上企業の55.7%が法定雇用率をクリアしていません。なかでも1000人以上企業は惨憺たる実績で、実に74.5%が「不合格」です。これってすごい数字だと思いませんか。4社に3社が法律に違反しているわけですよ。今回の訴訟を行った市民団体「株主オンブズマン」を直接取材していないので勝手な推測になりますが、あくまでも日航は突破口だったのでしょう。従業員18,000人を擁する企業が非を認めたインパクトは大きいはず。日航ではこの株主訴訟の影響からか、自社のホームページで障害者雇用率の現状(2000年6月1日現在、1.35%)を情報公開しています。現在、どの企業が雇用率未達成企業か情報公開されていませんが、厚生労働省の外郭団体も、同じペナルティを課すなら、企業から金を集めるだけでなく、堂々と社名を公表すればどうかと思います。

 そもそも、1.8%という法定雇用率自体、諸外国に比べて明らかに低いと言われています。拙著の取材で、ある団体から聞いた話によると、法定雇用率の見直しを抵抗しているのは日本を代表する経済団体だとか。これ以上高い雇用率を設定されては企業経営が立ち行かないと考えているわけですね。改革断行を旗印にしている小泉サン、経済界との癒着を振り払って、ここにメスを入れる考えはありませんか?

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