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●取材ノートから●(12) 2001年5月1日号
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レーザー治療の眉唾(まゆつば) 皮膚外科の治療法の一つにレーザー治療というものがあります。かつては、一部の病院だけが導入し、一部の医師だけが使いこなせた治療器も、ここ最近ずいぶん普及してきて、大手の病院ならほとんどが主要なレーザー治療器を導入するご時世になりました。 レーザー治療がもてはやされるのは、例えばシミや様々な種類のあざを、メスを入れることなく痛みも少ない方法で消したいというニーズが強いからです。決して万能な治療方法とは言い切れませんが、あざの種類や性質によっては、少なくとも気にならない程度に薄くしたり消すことができます。顔に大きなあざがあるために、日常生活に支障をきたしているような場合は、ほとんどが医療目的とみなされ、健康保険の対象になります。一方、美容目的の小さなシミ消しなどは健康保険の対象とはならず、自己負担となります。医療目的か美容目的か、その判断は難しいわけですが、一応の目安はあって、時代によってその目安も微妙に変化しつつあるようです。 さて、レーザー治療について皮膚科、皮膚外科の医師に聞いて回ったところ、ちょっと怪しい医療機関があるから注意が必要だとの話をあちこちで聞きました。それは、技術が拙くて消えるどころかかえって広がってしまった、という医療ミスの類もありましたが、もう一つ気になったのは、保険医療の対象になる治療であるはずなのに、健康保険を適用させず、自己負担を誘導する医療機関があるという話でした。とても温厚で、将来を嘱望されている若手皮膚外科医は、この話になると珍しく言葉を荒げました。 「レーザー治療を受けに来る患者さんで多いのは、母班(あざのこと)をもって生まれた小さなお子さんをもつ、親御さんなんですよ。将来、学校で虐められたり、劣等感を味わわないように、早い段階で母班を消してあげたいと思って医療機関にすがってくる。ところが、保険医療が適用される治療にもかかわらず、自己負担を迫る医者がいる。まだ若い夫婦に高額な医療費が負担できると思いますか。どうも変だというので、うちに相談に来られる親御さんがいるんですよ。僕は、そういう医者を絶対に許せないんだ」 同じような話は、別の医療機関でも聞きました。特定の医師に対する評価というのは、案外、広がるものなんですね。悪評の医師に限って、自分の実績を誇示し、この治療ができるのは日本で私一人だ、この最新治療器を導入しているのはウチだけだ、みたいなことをたぶん言うでしょうから、ウブな患者さんなら簡単に信じてしまう。この医師に頼むしか方法はない、高額医療費も惜しくはないのだ……と。 患者さんのなかにも、いろんな人がいるようです。明らかに美容目的のシミ取りでやってきた中高年の女性ですが、治療内容やリスクについて医師が説明をし始めると、「どうでもいいから、とっととシミ取りなさいよ!」と言って札束を目の前にドンと出したとか……。こういう金に糸目をつけない患者が数%程度にせよ存在するものだから、ここのシワも治しましょう、ついでに花粉症のレーザー治療もどうですかと、甘い汁を吸い上げるわけですね。 お金を浪費したくてたまらない人が、お金儲けに走る医療機関に行くのなら、似たもの同士でどうぞお好きに、としか言えませんが、標準的な所得の人がみすみす被害を受けてはたまりません。やはり、少しでも不信に思えば、セカンドオピニオンを求めて他の医療機関に行くことをお薦めしたいと思います。 |
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