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●今月のコラム●(14) 2001年7月1日号
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精神障害者が犯罪を起こす、の論理 6月8日、大阪の池田小学校で起こった児童殺傷事件では、その日のうちに犯人の精神病院入院歴、通院歴が報じられ、「精神障害者だから犯罪をおかした」と言わんばかりの報道がなされました。残虐な事件をおこした犯人が、今回も「精神鑑定で責任能力無しと認められて不起訴になるのか」と多くの人々は憤り、ワイドショーのみならずニュース番組でも「精神障害者をどうして退院させるのか」といった基調の論評がされました。 精神障害者バッシングをヒステリックに展開したのはフジサンケイグループの報道で、なかでも6月10日(日曜日)の夜のニュース番組「EZ!TV 」では、物知り顔のシンクタンク研究員が「精神病院入院患者の減少は医療の怠慢、どうして閉じこめておかないのか」といったコメントを、口角泡を飛ばすようにまくしたて、司会者がそれを煽っていました。どうしてこんな報道がまかり通るのかと、その日の夜はさすがに怒り心頭でなかなか寝付けませんでした。彼にとって、すべての精神病入院・通院患者は経済社会のお荷物以外の何者でもないようです。僕はこういう人物を一切信じない。 精神障害者の犯罪率は、実は健常者よりも低いという統計があります。ただ、これに異論を唱える人が一部にあって、危害を加えられた人を家族に限れば犯罪率が高いとか、結果的に死に至らしめた事件は精神障害者が多いんじゃないかとか、いやそもそも統計の取り方が間違っているなどなど、諸説があって、誰もが疑いない統計とするには決め手に欠けます。ただ、そもそも、そんなデータを抽出すること自体にバカバカしさを感じてしまいます。 過去にも同様のコラムを書きましたが、病気と犯罪を直接の因果関係で論じるならば、他の病気を患っている人はどうなんでしょう。以前例を出した「水虫患者」「痔患者」が極端な例だとすれば、別の病気でもいい。どんな病気であれ、世をはかなんで自暴自棄になり、犯罪を起こさないとも限らないと言えてしまう。でも、例えば「ガン患者がまた犯罪を起こした」などという報道はありません。何故か。すべてのガン患者が危ないなどと考えるのはナンセンスだと知っているからです。 やや強引かもしれませんが、こういう報道がまかり通る背景には、精神障害者と関わる機会が極端に少ないからではないかと思っています。日常的に接する機会があれば、精神障害者だから犯罪を起こすなんて言い方はナンセンスだと気づくはず。 そして、そんな報道がされるたびに精神障害者は苦しみ、生きにくくなるということもわかってくるでしょう。 さらに言えば、あまり知られていないだけで、精神病を抱えている人って、実はみんなの周りにもいっぱいいると思いますよ。例えば、僕がかつて一緒に何度も旅行に行っていた友人の一人が、鬱病で入院したと風の噂で知りました。仕事先の担当者にも鬱病で入院経験がある人がいました。かつて勤めていた会社で精神分裂病が発症して入院した男性が一人いました。さらに、部下として一緒に働いていた女性が鬱病(たぶん)にかかり、仕事を休んでいた例もありました。久々に会社に顔を見せ、表情が一変した彼女を見た時は大きなショックを受けましたが、今から思えば薬が効いてボーっとしていただけだったのでしょう。そんな人々を「病院のなかに隔離したままにしろ」と言うなら、僕は断固として反対する。急性期の一時的な入院ならともかくとして。 ストレスの多い現代社会、遺伝的な理由による精神病以外は誰でも心の病にかかり得ます。どうせなら、癒しグッズや合法麻薬などに走らず、きついなあと思えばカウンセリングを受けに精神科にふらっと行ってみてはどうですかねえ。精神病がもっと身近になって、「精神障害者だから犯罪を起こす」なんてセリフがバカバカしく思えてくるんではないでしょうか。 あ、ちなみに僕も数カ月前に初めて精神科医療を受けました。まあ神経症の一種で、薬ももらいましたがカウンセリングだけで効果が出たようです。2回の通院経験でしたが、僕が何か犯罪をおこせば「犯人は通院歴あり」なんて言われるのでしょうかねえ……。 関連リンク●「精神分裂病」メーリングリスト |
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