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●今月のコラム●(13) 2001年6月1日号
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掟破りの逆リストラ 4月1日付けの新聞に、「ダイエー、希望退職1000人募集に応募殺到」のニュースが報じられました。業績不振に伴う経営刷新でリストラを敢行、人員削減を打ち出したところ、初日の夕方にいきなり募集枠1000人に達したとのこと。マツダやマイカルでも同様に初日で募集枠が埋まったそうで、人員削減を打ち出した経営陣としては複雑な心境でしょう。想定した以上の人数が、自社に見切りをつけたわけですから。 思えば、バブル崩壊後、平成4、5年あたりから始まった企業のリストラで、企業に勤める個人は冷たい仕打ちを数々受けてきました。確か、社長室に押しかけて自殺を図った中年社員もいましたっけ。個人は会社に忠誠を尽くす、会社はその分個人を愛でてやる……。リストラに限らず、こうした一方通行の「思い」で成立している組織というのは、破綻するときに悲惨な結果を生むものです。 そんな先例を見続けてきた多くの会社員は、少しばかりの自衛本能を身につけつつあったのでしょう。企業が傾き始めれば、とっとと愛想を尽かせて、あっさりと辞めていく。いずれ、企業のリストラ史のようなものをまとめてみるのも面白いなあと思うのですが、どうやら最近、個人の逆襲が始まったような感じがしています。 もちろん、ダイエーのように時間をかけてジワジワと下降線を示し、ジリ貧になってきた企業と、一部経営者の不祥事や放漫経営によって突然、千単位の人間が路頭に迷い始めた企業では、勤めている個人の心の準備は異なります。例えば、雪印やそごうで懸命に働いてきた人たちは、いきなり襲ってきた火の粉を振り払うのが精一杯で、自分の身の振り方まで考えが及ばないかもしれない。さぞかし悔しい思いをしていることでしょう。雪印は5月、希望退職で年度内1000人を募ることにしたと発表しましたが、対象は中年社員のようですから、今回は果たして「いきなり募集枠満杯」となるかどうか。 今の40代以上の会社員にとって、会社を辞める(クビになる)ことに対する恐怖は相当なものだと思います。就職戦線を突破してそれなりに著名な企業に就職し、そこそこのペースで昇進してきた人たちは、概ね定年まで勤め上げることを考えていますから、今さら考え直せと言われても呆然としてしまう。月数万円の社宅に住んでいたりして、今さら自分の力で同じレベルの暮らしを維持するのは至難の技です。 同じ年代だから解りますが、この世代が会社訪問を繰り返していた昭和50年代あたりは、まだまだ終身雇用、年功序列の価値観が色濃く残っていましたからねえ。仕事に専念するあまり家族との関係をないがしろにし、気がついたら会社だけが自分の居場所だった人たちが職場を追われるケースもあると思いますが、やはりワーカーホリックな会社員だった立場から同情を禁じ得ません。 だけどこんな時代になったからには、どんな優良企業に勤めていても覚悟がいるんですよね。リストラの対象にならないように従順な社員になるよりも、いつでも辞められるツブシの効く個人になるくらいの、考え方の転換が必要。企業が個人をリストラする前に、個人が企業を行く末を判断し、「掟破りの逆リストラ」をするくらいの覚悟をもっておきたいものです。 |
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