004(05/05/03)骨太なロキシーって感じ?

フランツ・フェルディナンド

タイトル「フランツ・フェルディナンド」
Franz Ferdinand

フランツ・フェルディナンド(Franz Ferdinand)

http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/FranzFerdinand/

 僕がフランツ・フェルディナンドというバンドの存在を知ったのは、今年の初めごろだったろうか。現在進行形で新しいロックやニューカマーを常時チェックしている人なら、「おいおい、今さらフランツ・フェルディナンドがお薦めかよ」と言いそうだが、オヤジ世代なので少しばかりの時間差は勘弁してほしい(苦笑)。どうやら日本では、1年以上前からそれなりに話題を集めていた新進バンドのようだ。

 最近の音楽動向をチェックするために、一年に一度、うるさ型の音楽専門誌「ミュージック・マガジン」を買っている。毎年1月号の「ベスト・アルバム」特集を見るためだ。その2004年版UKロック部門(2005年1月号に掲載)で1位を獲得していたのがこのアルバムで、UKロック界に現れた久々の大型新人バンドのよう。ダマされたつもりで何の期待もせずに聴いてみたところ、これがなかなかクセになるサウンドで、すっかり気に入った。FMで聴いたことがある曲(彼らのヒット曲「テイク・ミー・アウト」)も入っていて、ようやく音とアーティスト名が一致した次第。

 全体的な印象としては、ロキシー・ミュージックを骨太にして、若々しい疾走感を加えたような感じ、と言えば40歳以上の世代にも伝わるだろうか……。昨年だったか、WOWOWでロキシーミュージックの最近のライブを見て、改めて彼らを再評価したばかりだった。どこかしら退廃的で、神経質そうなメロディなのだが、バンド全体の音にとても厚みや雑みがあって聴き飽きない感じがし、グラムロック的な括りをされた70年代とは異なる、味わい深さを印象として刻んだものだ。

 フランツ・フェルディナンドにも、これと共通した部分があるように思う。加えて、ちょっぴりトーキング・ヘッズニューオーダーのような80年代テクノサウンド(クラブサウンド)っぽい所も感じた。それもそのはず、彼らが好きなアーティストとしてロキシーやトーキングヘッズ、ジョイ・ディヴィジョン(ニューオーダーの前身バンド)などを挙げているのを知って、「なるほどなあ」と妙に納得もした。

 本国では2月9日に開催され、日本ではようやく3月末に放映された英国版のグラミー賞ともいえるBrit Awards(通称Brits)2005では、初めて彼らの演奏を見ることができた。モルモン系の刈り上げヘアスタイルで現れた4人は、ストイックでソリッドなサウンドを披露。Britsでは5部門にノミネートされて「British Rock Act(最優秀ロックアクト賞)」「British Group(最優秀グループ賞)」の2部門で栄冠を獲得し、うち「British Rock Act」ではクイーンのブライアン・メイからトロフィーを渡された。新人バンドらしからぬ存在感だった。

 ファッションやアートにも造詣が深いようで、ますますイケメンおやじのブライアン・フェリーを想起させる部分があるが、最近のロキシー風にいずれはホーンセクション(管楽器部隊)やコーラス部隊を加え、さらに厚みのあるサウンドをステージで披露し始めるのか。それとも小ぶりな会場が似合うガレージバンド的な特色を押し通すのか。商業的に考えれば、前者の方向に行きそうだから、4人だけでステージを務めているうちに、彼らのライブを堪能するのも手かもしれない。

 今年の秋には、セカンドアルバムが出るようだ。デビューアルバム以上のインパクトがあれば、一気に大物バンドの仲間入りをしそうだ。