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【疑問レポート・2】
●決定された支給量に不満があったら、どこに苦情を言うの?
「支援費の支給決定内容に不満がある場合、その苦情の窓口も、その決定を出した窓口なんです」と答えるのは、東京都世田谷区に5つある保健福祉センターの一つで働く城所芳夫さん。所轄管内の障害児・者約3000名を、4人のケースワーカーで受け持っている。
「支給決定への苦情を、その決定を下した当の行政が請け負うのは、はたから見ると妙かもしれない。でも、支援費に限らず従来の福祉施策はそうだったんですね……」
サービスを申請したのに不支給とされた場合や、支給が決まったサービスの期間や支給量、利用者負担額(扶養義務者負担額)などについて市町村の説明に納得できなければ、市町村長に対して「不服申し立て」ができる(決定を受けてから60日以内)。ただ、その審査を単に市町村内部で済ませるのか、審査会や第三者機関を設置するのかについては、各市町村の判断に任されている形だ。
一方、事業者と契約をして受けたサービスに苦情があれば、まずは当事者間(利用者と事業者)の話し合いが求められる。それができなければ、市町村窓口に相談したり、都道府県社会福祉協議会が設置する運営適性化委員会へ申し立てたり、あるいは行政やNPOなどが開設している「福祉オンブズマン」や弁護士会の相談機関などに相談することもできる。
とはいえ、従来の措置制度下での場合と、新たな支援費制度の場合とでは、苦情処理の位置づけは自ずと変わってくると、世田谷区の小佐野彰さんは心配する。障害者の自立を支援するNPO「自立の家をつくる会」代表の小佐野さんは、重度の脳性マヒ者でもある。
「措置制度では、サービスの支給量だけではなく内容もすべて行政責任でしたから、不服があれば不服審査請求ができた。でも支援費制度では、市区町村は支援費の支給量を決めるだけ。だから支給量自体については不服審査請求権がある程度認められてはいても、その支援費で事業者と契約をするのは、『当事者の自己責任』という位置づけです。そのため業者のサービス内容の問題や虐待などに対してはいろいろ手立てがあるようでいて、ズバリ法的裏付けを持った救済措置はない。利用者側の泣き寝入りになりかねない構造です」
だからこそ支援費制度に関わる疑問や問題があれば、当事者間だけで済まさず、まず支援費制度の実施主体である市町村の窓口に現状を訴えるべきだと小佐野さんは言う。そうしないと、市町村が障害者のもつ日常の問題や苦悩を理解できなくなる――と言うのだ。
「市町村は財政難もあって、どこも自前の福祉サービスを手放したがっています。世田谷区の場合、区が介護保険のもと直接ヘルパーを派遣する高齢者向けのホームヘルプサービスは、近い将来廃止予定。支援費制度による障害者向けヘルパーも、3年以内には廃止すると言っています。しかしそうなると、地元の高齢者や障害者の抱えるニーズが、市町村にはどんどん見えなくなる。危険な状況です」
この心配を、前出のケースワーカー・城所さんも実は共有する。「区のヘルパーがいなくなると、私たちケースワーカーもとても困るんです。緊急で民間には頼みづらい介護ニーズが発生したときや、民間事業者にサービス提供を断られた高齢者の介護は、大体うち(区)のヘルパーに任せてきましたから。ヘルパーが集める情報も重要で、ケースワーカーとヘルパーが相互で助け合い、地域のニーズを拾っていた。そのヘルパーがいなくなれば、私たちの仕事の質も落ちざるを得ないのです」
これまで現場で働く人々の連携で何とか守られていた最後の救済網が、支援費制度のいま一つの大きなねらい(公的負担の軽減や民間活用)の前に、破られかねない――実はそんな危険な転換期に、いまの福祉はある。民間の活力がもてはやされる今であるからこそ、あらゆる苦情はまずは身近な自治体へ。状況を広く見渡す人々からの、これがアドバイスである。
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