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支援費制度はいろんな理念を掲げてはいるが、
結局はこれまでの福祉が切り捨てられてゆく予感がする
話し手・阿由葉寛さん 聞き手・加藤薫
●行政にケアマネは無理。必要性は親が訴えよう
――阿由葉さんの「社会福祉法人足利むつみ会」では、知的障害者のための通所の授産施設と更生施設、デイ・サービスセンター、グループホームやホームヘルプサービスなどに取り組まれています。知的障害者の方々と支援費制度について、どうお考えですか。
阿由葉:支援費制度で心配なのは、障害者側が利用申請をしても、「当自治体にはそのサービスはありません、近隣自治体にもありません」と言われたら終わりだという点です。市町村が支援費支給額を決める際、「その市町村のサービス提供体制の整備状況」も勘案してよいと、国は決めてしまったのですから。
しかも支援費制度では、障害者のケアマネジメントは自治体がやることになっていますが、これもおかしな話です。自治体に任せたら、財源の中のやりくりで支給決定をされてしまいかねません。
ですから知的障害者の場合には、当面はやはりご家族が、地域の信頼できる事業者や施設に相談をし、必要なサービスをよく確認していく必要があります。一ヶ月全体の生活を考えて、どのサービスがどれぐらい必要かを、最大限かつ細かく詰めてゆくことが大切です。
例えば私たちの場合、平成10年から始めた障害者ケアマネジメントモデル事業を通して、知的障害にも対応できるホームヘルプサービスが地域にないことに気づき、自分たちでつくりました。すると、平成10年には871件だった利用件数が、今年(平成14年)は10月末時点で既に4,870件を超しています。地域に使えるサービスがあれば、使いたい人は多いのです。
もし必要なサービスが地域にないのなら、とにかく必要性を地元自治体へ訴えることです。今後、市町村がケアマネをするということは、市町村は責任を持ってサービス資源をつくるべき立場にあるわけですから、そこに訴えないと地域のサービス資源は増えません。
知的障害者の親御さんには、自分が亡き後の我が子を心配されて、「入所施設なら安心」「グループホームがいい」と考える方が大勢おられますが、本人のためには住み慣れた地域で生活し続けられるという選択肢も大切です。地域で選んで使える資源が必要なのです。
●福祉切り捨てではなく本人支援の充実を!
――支援費制度で施設が受ける影響は。また制度に今後望むことは。
阿由葉:私どものデイ・サービスは定員15名計算で500万円弱の減収、つまり予算枠の25%削減となりそうです。今後は小規模デイ・サービスは展開が難しくなります。定員を増やせば多少はしのげるでしょうが、それがサービスの後退につながらぬよう努力が必要ですね。
とはいえ、支援費の開始で施設支援が減った分のお金が、ちゃんと地域の居宅支援の充実に回っていくというのなら、それはいいことだと私は思うんですよ。ところが、どうもそうではないようです。
支援費制度ではいろんな理念を掲げてはいるけれど、結局はこれまであった福祉が切り捨てられてゆく予感がしています。いま一番こわいのは、財源が無いから福祉予算をどんどんカットしていって、やがては介護保険に統合しようという話になることではないでしょうか。しかし支援費は本来、必要な分だけ請求できるべきもので、介護保険と障害者福祉では目的が違うと思うのですが……。
今後望むのは、本人支援の柔軟なあり方です。例えばある知的障害者の方が、「週に2日は一般企業で働き、他の2日は通所授産施設で働いて、1日は通所更生施設で趣味を楽しみ、住んでいるのはグループホーム」といった具合にね。利用者本位の個別支援計画を立てるというのなら、そんな柔軟性ある利用法も可能にしたいものです。
それには当事者や親兄弟、支援者、私たちサービス提供者が、今後もどんどん具体案を持って行政へ主張していくしかありません。
しかし国はといえば、例えば知的障害者が日常生活支援を使えない枠組みをつくりました。「地方主体で」と理念を掲げながら、なぜ抑制的な枠組みを国が決めるのか、解せません。自治体の判断に任せればいいはずなのですが……。財政難のいま、国が決めた最低ラインに上乗せする自治体がほとんど見込めないだけに、国の取り決めは重要です。それだけに国の柔軟な制度づくりが求められています。
私は以前、スウエーデンの福祉の様子を視察しましたが、あの国では2001年1月1日を期に全国の入所施設をほぼ全廃、地域のグループホームや通所施設などに移行させています。私たちの国の政府にも、そのような高い理念と実践を、切に求めたいところです。
(阿由葉寛さんのお話は以上です)
阿由葉寛(あゆは・ひろし)さん
プロフィール●栃木県足利市において知的障害者の「社会就労センターきたざと(通所授産施設)、「デイ・アクティビティセンター銀河(通所更生施設)、デイ・サービスセンターWINなどを展開する社会福祉法人足利むつみ会の常務理事・総合施設長。全国社会就労センター協議会調査研究研修委員、日本スヌーズレン協会会長
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