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入所型施設から見た支援費制度 第3回目は、重度の障害者が暮らすための入所型施設=身体障害者療護施設から見た支援費制度についてです。神奈川県で61名が暮らす身体障害者療護施設の所長をつとめる藤村和靜(かずよし)さんと、その入居者の一人であり療護施設自治会全国ネットワーク会長の小峰和守さんにお話を聞きました。 まずは藤村さんのお話から――。 |
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施設がやるべきことは、第三者を含めた 話し手・藤村和靜さん 聞き手・加藤薫 ●支援費制度では、施設経営は厳しい ――藤村さんが所長をつとめられる「丹沢自律生活センター」には、身体障害者療護施設(入所)と通所授産施設、そしてデイサービスセンターが2つあります。2003年4月からの支援費制度を、ことに入所型施設を運営される立場から、どう見られますか。 藤村:支援費制度では、福祉サービスに対する市町村の権限が従来より拡がる予定です。国はサービス基準額の下限を決めるだけ。それに市町村が独自の上乗せ案を出し、独自性を発揮できます。地方分権は時代の流れであり、この方向性はとてもいいと私は思っています。 ただ問題なのは、厳しい財政状況下で、残念ながら地方に現実には余力がないこと。しかも、市町村が個々の障害者への支援費支給額を決める際に、「その市町村のサービス提供体制の整備状況」も勘案し(考え合わせ)てよいなどと厚生労働省が定めてしまったのですから、実際に上乗せする自治体などほとんどないでしょうね。 つまり実際には「地方の時代」もへちまもなく、国のサービス基準額が支援費の全てとなりかねない。そこで、今年(2002年)9月に厚生労働省が発表した支援費の基準額を見てみると、これが大変に厳しい。私どもの場合、身体障害者療護施設は従来より1割減、身障者デイサービスでは従来の半分程度しか行政からお金が払われない。そんな状況になりそうなのです。 とはいえ私は、単に「これまでよりお金が減った」から文句を言うのではありません。訴えたいのは、支援費制度が金銭評価しようとしている障害者サービスの範囲が不当に狭過ぎるということ。障害者福祉の現場で、多くの人の手によってつくりあげられてきた広範なサービスのうち、国はほんの一部しか金銭評価しようとしていません。それが残念だし、今後を心配してもいるわけです。 ●「障害者の生活支援」という視点が、ない! ――藤村さんが言われる「(支援費制度で)きちんと金銭評価されていないサービス」とは、何ですか。 藤村:私たちがこれまで障害者福祉でめざしてきたのは「生活支援」です。これが実に幅広いんです(図参照)。改めて考えると、人の存在とは身体・精神・社会の3要素が揃って成り立ちます。その「人」に今日までの歴史が積み重なり、さらに現在の環境が加わって「生活」がある。その拡がりを見すえた上で支援をする、それが「個別生活支援」のはずです。 しかし今後の支援費制度では、その広範な「生活」のうち「身体」の自立支援にしかお金が出ない。「対等な関係」とか「施設から地域へ」などと口では言うけれど、障害者の生活を支える上で不可欠なサービスの大半が、今後は予算を打ち切られる。そう言っても過言ではない状態です。 これはおそらく、支援費制度のサービス基準額を決める上で、高齢者向けの介護保険が一つの見本とされたからではないでしょうか。多くの日本の高齢者はおとなしく、自分の権利擁護を高らかにうたい上げたりしてきませんでした。その静かな高齢者の分野から福祉の「構造改革」が始まり、介護保険が導入され、高齢者介護イコール身体介護といった限定的なイメージが社会に定着するうちに、今後は障害福祉の守備範囲まで矮小化されるのではと心配なのです。 ●「自由契約」導入は、施設を変えるか? ――支援費制度が始まると、競争原理が働いて、施設のサービスもよくなっていくでしょうか? 藤村:支援費が始まるにあたり、どの施設でも危機感を持ち始めていると思います。「今後は、利用者に選ばれる施設にならなければ」とね。 しかし現実には利用できる施設やサービスが足りず、空きを待つ人が大勢いる状態ですから、支援費でいう「対等な関係」というのも絵に描いた餅のようなもの。選択とか競争とかいう点では、すぐに変化は起きないかもしれない。残念ながら、「黙っていても施設サービスがよくなる」状況ではないのが現実です。予算が厳しくなっている分、施設運営の理念が後退するおそれだってある。極言すれば、自立支援の相談事業や外出支援なんてやめて、重度障害者は日がな寝ていただければ、施設運営はラクだし予算も増える仕組みです。おそろしい話ですが。 だからこそ利用者の方々は、ご自分が必要な福祉サービスを施設や自治体に保障させ、きちんとサービスを得てゆくために、どんどん声を上げ続けなければなりません。 一方の施設側は、第三者を含めた使いやすい苦情解決システムを利用者とともにつくり、苦情発掘とその解決につとめるべきです。 私たちの神奈川県では、重度の障害者自らがオンブズマン組織「K-フレンズ」というネットワークをつくって、県下にある療護施設6つが加盟しています。障害当事者たちから選ばれた委員たちが、施設をお互い定期的に回り、利用者からの声や苦情を拾い、相談に乗ります。障害者の気持ちは、大学の先生や弁護士さん以上に、まずは障害当事者が一番知っていますからね。 このように施設の外からの目を常に入れ、本物の苦情解決システムができて、初めて「サービス利用者と提供者が対等な関係に立った」と言えるし、そのことが結果的には障害者のニーズを社会に伝えることにもつながります。 今後、障害者福祉サービスの幅広さや専門性を社会に認めさせ、支援費制度のもとでもサービス保障を得てゆくためにも、施設の利用者も運営側も、もっともっと声をあげてゆく必要がありますね。
(藤森和靜さんのお話は以上です) 藤森和靜(ふじむら・かずよし)さん |
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| ※02年11月執筆時点の原稿をそのまま掲載しています。 | ||||
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