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話し手・川元恭子さん 聞き手・加藤薫 ●危惧されるのは、「責任の所在」 ――障害者と事業者の自由な契約を基本とする「支援費制度」は、これまでの「措置制度」よりも、障害者の自己決定権を尊重した仕組みだと言う人もいます。自立生活センターなどの活動を通じて障害者の自己決定を訴えてきた一人としては、どう考えられますか。 川元:障害者の自己決定を促す意味で、制度の仕組みが改善された点も確かにあります。例えば成人障害者のサービス利用額と親の関係です。 障害者は民法によって、20歳を過ぎても親に扶養義務があります。このため従来、ことに親と暮らす成人障害者の場合、本人が無収入でも親に一定額以上の収入があれば、支払い能力に応じたサービス利用額が親に請求されていました。 高齢の親と障害者が同居の場合、外出のサポートは親から受けづらいので、ホームヘルプサービスは重要です。しかしサービスを利用すると親に負担額が生じる場合、親はホームヘルプ利用に消極的でした。 それが今回の支援費導入にあたり、サービス利用額を決める上で収入を問われるのは利用者本人と配偶者、子どもたちになり、親の負担は消えました。親の側で制度利用を抑える要素が減り、障害当事者の意思がより反映されやすい仕組みになったと言えるでしょう。 また、障害者本人が収入がある場合のサービス料負担額に、今後は上限が設けられることになりました。自治体の役場で働いている全身性の重度障害者の場合、従来は月に10万とか20万円もホームヘルプの自己負担額があった例もありましたが、そこに月数千円〜数万円までの上限枠ができたのですから、これは朗報です。 今後、介護派遣事業などを起こして職員・役員として給与を得ていく障害者たちも、この上限枠があれば介護費用負担を怖れずに働けます。これなども、支援費導入でよくなった点といえるでしょう。 一方、今後の問題もあります。支援費の枠組みができても、重度障害者が一般事業者からサービス提供を断られサービスを得られない可能性があるわけですが、その責任をどこが取るのでしょうか。 従来の措置制度では、行政から受託した事業者は、サービスを提供する義務を負っていました。しかし自由契約の支援費制度のもとでは、「利用者が、自分に合う事業者を選びなさい」と、そこに責任を持たせている。介護保険でも、行政は責任をとっていません。そこに、危機感を持っています。 こうしたとき、CIL(自立生活センター)の役割も今後は問われてくるでしょう。障害者が地域で自立した暮らしを送れるように、CILは相談業務やピアカウンセリング、介護派遣、移送業務など多彩な仕事をしてきました。それが最近の流れでは、相談業務やピアカウンセリングは国の委託事業になり、介護派遣や移送業務は介護保険や支援費制度の事業者となって行なう流れが定着しています。いわばかつてCILが独自の考えで生み出した諸事業が、後追いしてきた行政に認められ、行政の委託事業や独立したビジネスとして動き始めているわけです。 しかしこうなると、CILの役割として残るのは権利擁護運動のみ。障害者運動の歴史も、転換点に立っていると言えるかもしれません。 この変化が、いかなる未来につながるのか。ただ、障害者が自ら動かない限りよりよい生活を得られないという点では、支援費制度前も後も変化はないと思います。 (川元恭子さんのお話は以上です) 川元恭子(かわもと・きょうこ)さん |
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| ※02年10月執筆時点の原稿をそのまま掲載しています。 | ||||
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