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| theme2 障害者自身が動かなければ、満足できるサービスは得られない 第2回目は、自立生活センター・小平の代表をつとめ、全国障害者介護保障協議会の中心的メンバーでもある、川元恭子さんに話を伺いました。 |
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話し手・川元恭子さん 聞き手・加藤薫 ●「支援費制度」になっても、大きな変化はないと思う ――川元さんは、頻繁に厚生労働省との交渉に当たっておられますね。障害者への福祉サービスが、従来の措置制度から契約制度へ変わる今度の「支援費制度」導入を、どう見ておられますか。 川元:障害者の権利という大きな視点から見ると、基本的なところは変わらないと私は思います。私たち障害者が生きる上で必要な介護の保障を、国や自治体に求めてゆく権利そのものは変わりませんから。 ただ、障害者自身がサービスをつくっていかないと、満足できるサービスは得られないでしょうね。もっともそれは、従来の措置制度の時代でも同じこと。私は瀬戸内海の小豆島出身です。地方では従来、行政から派遣されるヘルパーさんの質に多くの問題がありました。家事はできても、障害者に差別的な人も多かったんです。質が低いサービスしかないとサービスの利用が増えないから、本来はあるニーズも見えなくなりがちです。 2000年に始まった介護制度で一般事業者が派遣しているヘルパーさんにしても、サービスの質はまだまだ低いですね。利用者ではなく事業者側が仕事内容を決めてしまう例も結構あるのですから。 たとえば「お客様のお茶出しまではしない」とか、「台所、トイレと風呂のほかに部屋が2つある場合、掃除するのはいつも使っているほうの部屋だけ」とか。ご飯をつくる場合も、「つくるのは利用当事者の分だけ。家族の分はつくりません」とか、事業者側が勝手に決めてしまうという例をよく聞きます。 さらに、単価が安くて利幅が少ない家事援助などは、依頼があっても「ヘルパーが足りない」などと理由をつけて断っている。事業者の側が利用者を選んでいるというのも、介護保険の実態なんです。 一方、私たち障害者は、自分たち自身が選んだ人を介助者として登録できる自薦登録ヘルパーという制度をつくってきましたし、障害当事者が運営するCIL(自立生活センター)を各地で設立し、介護人派遣を展開してきました。CILが派遣するヘルパーであれば、利用者が願うならお客様へのお茶出しも、家族のご飯をつくるのも仕事のうち。利用者の立場に立ち、その人の生活に合わせたサービスの提供を、めざしているのです。 そこで私たちは現在、47都道府県すべてで(ホームヘルプの指定事業者でもある)CILを立ち上げられるよう、全国の仲間と連携しています。いいサービスは、待っていても得られません。制度が変わろうと、そこは同じだと思います。 ●サービスの基準はどうなる? ――新しい制度が導入されるにあたり、サービス水準の低下がないか、心配されています。その点について、どう思われていますか。 川元:私たち「全国障害者介護保障協議会」が厚労省に送った質問状には、サービス水準についての質問もありましたが、厚労省側の答えは「低下を招くことはないと考えている」。この場合、「低下しない」のは予算の総額だと思うんです。サービスの水準そのものは、場合により落ちる怖れもあるでしょう。 ですからやはり、利用者である障害者がいかに当事者サイドに立った事業者と組めるかで、受けられるサービスの質がある程度決まってしまう面があると思いますね。 今年(2002年)9月に入ってから、厚労省はサービス金額の基準案を発表しました。ホームヘルプサービス(指定居宅支援費)の場合、身体介護、家事援助、移動介護、日常生活支援(仮称)の4つの単価が示され、今後この額を最低線として各市町村が単価を設定します。 日常生活支援(仮称)は今回新しく示された居宅サービスの形で、日常生活全般に常時の支援を必要とする脳性マヒ者など全身性障害者に対しての身体介護、家事援助、見守りなどの支援を指すそうです。 居宅障害者のうち、親など家族と同居していて基本的な介護は家族から受けられる人などは、主に短時間の介助を利用することが多いと思われますので、「身体介護+家事援助+移動介護」を。家を出て他人介護を入れて暮らしているいわゆる自立障害者たちの中でも1回の派遣が長くなる方などは「日常生活支援」を中心に、支援費支給の計算をする(1回の派遣が短い場合は身体介護+家事)――これが、厚労省側の今の考えのようです。 この考え方には、実はよい面と困った面の両面があるんですね。 よい面は、この「日常生活支援」が「見守り」行為をも含み、しかも低価格であること。自立生活を送る障害者のニーズは多様ですし、必要な介護時間も長い場合があるので、単価が安く、しかもサービスの範囲が幅広い「日常生活支援」ができたのはよかったといえます。 しかし、困った面もあります。従来、介護保障制度が充実していない地域では、行政側が決めた介護単価が時給3千円台などと高ければ、その金額を薄めて使うことで介護保障時間を実質引き延ばし、何とかしのいできた人も多いのです。 しかし支援費制度導入にあたっては、長時間介護を必要とする障害者の介護ニーズを一律に単価の低い「日常生活支援」で試算される怖れがあります。必要な介護時間を100%保証してくれるのならばそれでもよいでしょうが、実際には時間数が足りない怖れがあり、その場合に「日常生活支援」の低い単価で物事を決められてしまうと、介護保障水準は実質的には下がってしまいかねません。 ここのところをどう切り抜けるかが問題です。今後厚労省には、「日常生活支援」の単価で算定したことで介護保障額が実質低下することのないよう、交渉したいと思います。 また逆に、支援費のヘルパー支給量が「身体介護〇時間」と決められても、利用者本人が望めばその金額を「日常生活支援」で使い切ることも認めるような柔軟性も要求していきます。そうしたことの結果として、良心的な単価で質の高いサービスを提供するCILと障害者が協力しあい、介護保障水準を落とさない仕組みづくりをめざすつもりです。
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| ※02年10月執筆時点の原稿をそのまま掲載しています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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