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【No.142】 2004年11月30日号
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情報流出防止は大義名分か ちょっと考えさせられるテレビ番組を見ました。11月25日に放映されたNHK「クローズアップ現代」です。この日のテーマは、「監視される社員たち」。企業内部からの情報流出を防ぐという名目で、データの持ち出しが不正に行われていないかなど、社員のパソコン使用状況を監視する企業が増えてきた、というお話です。 ソフトバンクやジャパネットたかたなど、今年は個人情報の漏洩が大きな問題になり、その後遺症で、渦中の企業は社会的バッシングを受けました。70年代の公害騒ぎのように、企業にとって個人情報の流出や内部情報の漏洩は、新たなリスク要因となっています。 社員のモラル低下という側面もあるかもしれませんが、僕自身は情報がオープンになった証ではないかと、やや逆の見方をしています。今までも同様のことは起こりながら、隠し通せてきたのではないか。それが白日の下にさらされるようになっただけ、まだマシではないか、と。増えてきたと言われる医療ミスの問題も、同様の見方をしています。 それはさておき、今は、大量のデータが小さなメディアの中にすっぽり収まってしまうご時世です。ブロードバンドのインフラも整い、ファイル添付のメール送信で簡単に外部に情報を出せる時代でもありますから、ある程度の管理は致し方ないでしょう。僕も取材で企業から情報をいただく場合に「添付メールでは送れない決まりなんです」と言われるケースも、少々出てきました。もし送っていただく場合も、「cc」に上司の名前が入っていたりする。要するに、外部にこういう添付メールを送りましたと、報告を義務づけているのでしょう。 また、仕事に関係のないインターネット閲覧を厳に戒め、こうした行為をしていないか監視する企業も数多いようです。オークションサイト、アダルトサイトなどの閲覧は、懲戒処分に近い処分を受けるとも聞きます。仕事中のネット閲覧が減っていることは、僕も以前から薄々感じてはいました。当サイトへのアクセス数を見ると、以前は平日と土日で大きな開きがあり、たぶん平日の仕事中にこのサイトを見ている人が多いのだろうなと想像していましたが、最近、平日と土日のアクセス数が同等レベルに縮まってきたからです。 情報の外部持ち出しを禁止する。公私混同のネット利用を制限する。これだけなら、まあ、いいとしましょう。でも、この日の番組で驚いたのは、社員のパソコンの使い方を監視することで日々の仕事実態をこと細かくトレースし、仕事の遅れを指摘する、といった試みをする企業もあったことです。例えば「本来ならAという作業は終えて、次のB段階に移るべきスケジュールなのに、この社員はまだAの作業に時間を費やしている」と上司が監視し、注意を促すというものです。ここまで細かくチェックされるのかと、ちょっと、寒々としてきました。 さらに寒々としてくるお話もありました。それは、本人の了解を取った上とはいえ、社員の行動をカメラで追い、デスクでの動きに無駄がないか、どのくらい仕事に集中しているかを監視し、改善方法を提案するサービスまで登場してきたということ。例えば「私は一日、仕事に集中していますよ」と自信を持っている人も、「執務中に職場の人としゃべっていたのが1時間何分、資料調べに要した時間が1時間何分」とデータを突きつけられ、さらなる生産性向上が科せられるというものです。 まったく、息が詰まる話です。こんなことで創造的な仕事はできるのか。自由な発想はできるのか。職場の人間関係は良好に保たれるのか。 番組によると、企業の経営者には「社員が何をやっているのか、就労実態を細かく把握(チェック)したい」という要望が強く、これが社員監視を促す背景となっているようです。安易なリストラで社員からの信頼感を損ねておいて、今度は社員に不審の目を向けているのですから、元々は身から出たサビ。僕が社員なら、きっと、こう思うでしょう。「社長こそ、毎日、何をなさっているのですか」と。 仕事の内容にもよりますが、工場のラインでひたすら作業にいそしむような仕事でもなければ、ある程度の遊びは必要。脇目もふらずに仕事に打ち込む人だけが望ましい人物像だとすれば、その企業に未来はないように思えます。監視されている社員のストレスはますます募り、精神的に追い込まれる人も増えてくることでしょう。 大切な顧客の個人情報を守る。企業内部情報の漏洩を阻止する。これらはいずれも正論ですが、この正論に姿を借りつつ社員監視を強めてやろうなどと考えているとすれば、主客転倒、いずれ経営者は厳しいしっぺ返しを食らうのではないか、と僕は思うのですが。 それにしても、大学時代はそれなりの規模の企業から内定をもらっていましたが、大企業に勤めなくて本当に良かったと、今さら思いますね。ま、僕の年齢なら、監視される側というより、監視する側に回っているのかも。それはそれで、結構ストレスの溜まる仕事でしょう。 |
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