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●取材ノートから●(29) 2002年11月1日号
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環境・エコロジーがおもしろい 一年ほど前から、環境・エコロジー関係の取材や執筆が増えてきました。企業における環境配慮型商品(エコプロダクツ)の開発や環境対策に関するテーマが仕事の中心ではありますが、市民レベルで環境保護にせいせいと取り組んでいる方たちへのインタビューもありました。 初めてエコロジーという言葉を記憶に刻んだのは、確かバブル景気の頂点から転げ落ち始めたころ、90年か91年だったでしょうか。当時、広告会社でコピーライターをしていたのですが、会社で定期購読していた雑誌「BRUTUS」で一冊丸ごとエコロジーの特集が組まれていて、大きな話題になったことをよく覚えています。この頃から、エコロジーという言葉が新しいトレンド語として広まり、エコマーク商品を買いあさる人も登場したわけですね。 割り箸をやめて「My お箸」を持ち歩くOLたちが出没し始めたのもこの頃です。当時、割り箸はとんでもない悪者扱いをされて、国内の割り箸製造メーカーは大きな打撃をこうむりました。実際は国内の間伐材などを有効利用したもので、環境へのインパクトは少なかったと聞いています。もっとも、最近は安物ブームのなかで海外への生産移転が進み、中国あたりの森林が割り箸用に伐採されている、という噂も耳にしていますが……。いずれにせよ、エスニックブームに次ぐ新トレンド、くらいの感覚でエコロジーも受け止められていたような気がします。 こういう波が起きると、基本的にはおもしろがりつつも、一方では「くだらねえなあ」と覚めた目で見てしまうのが僕の常。「地球にやさしい……」という常套句に辟易して、できるだけこの言い回しを使わないように心がけたことも覚えています。確たる根拠は持てなかったけれど、エコロジーブームには何だかウソっぽい臭いを感じていたんですね。 あれから約10年。環境・エコロジー関係の取材と執筆に関わり始めたのですが、これがなかなかおもしろい。僕がこれまで主に関わってきた福祉分野とも共通する点があるのです。一つには、「何が環境にいいのか」正解が決して一つではないこと。もう一つは、一部の運動家がややヒステリックな活動をしていて、これを受け止める側(自治体や企業)との距離が遠かったのに、最近では徐々に対話が生まれ、場合によっては自治体や企業のほうが先駆的なことをやっていることも共通しています。 とくに「絶対的な正解がない」という点は、取材・執筆側の好奇心が刺激され、心ひかれるところがたくさんあります。ただ、福祉分野と決定的に違うところもある。福祉は基本的に人と人の問題ですから、「人間としてどうありたいか」「人間として当たり前なことは何か」を自分の頭で考えていけばおのずと正解のようなものが見えてきます。環境・エコロジーも人と人の問題である点は共通していますが、そのほかに科学的な(とくに化学的な)知識や社会制度、国際情勢などのバックボーンも必要。これがおもしろくもあり、しかし難しくもあるところです。 例えば紙の問題。不要になった裏紙をメモ用紙や試し書き(プリントアウト)に使うのは当然として、紙はどういうものを使うべきか。心情的には、回収した古紙を砕いて繊維を取り出し、再び紙として再生した再生パルプ100%のものが「環境にやさしい」と思われがちですが、再生できる回数には限界がありますし(4回程度、との説が有効)、再生するには石油・石炭燃料を多く使い、地球温暖化につながるともいえる。再生紙は黒ずみますから、環境へのダメージが高い漂白剤を余計に使うことにもなりかねません。 こうやって考えていくと、あっちを立てればこっちが立たずで、実に奥行きの深い話になってくるのですね。さらに国際的な紙需要の趨勢とか、植林した樹木だけを優先的に使おうとする社会制度なんかが絡み合いますから、総合的な知識が必要になってくるわけです。環境は雑学だ、ただし化学知識くらいは持ち合わせた上で発言してほしい……とは、毎度取材に訪れる大学教授の言葉。共感すること、多々あり。 なあんて言いながら、僕も取材歴一年のヒヨっこですから、取材のたびに新しい言葉や概念を知って、帰ってきてからあわてて調べているのが現状。CO2が二酸化炭素のことであり、これが地球温暖化を促す主要因になり、CO2の排出量を世界的に減らしていこうという約束事が「京都議定書」であったことなど、ハッキリ言って以前はよくわかってなかったですから。 環境・エコロジーを考えていけば、昨今の安物ブームとか、日本の産業構造が抱えている問題とか、いろんなテーマについて新しい視点が得られる。得意分野の一つです、と言えるようになるまでには、まだ時間がかかりますが、これからもガツガツ取り組んでいきたいテーマの一つであることに違いはありません。 |
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