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●取材ノートから●(22) 2002年3月1日号
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安売り王国に未来はない(たぶん) 安売りの嵐が相変わらず吹き荒れています。夕方の主婦向けニュース番組なんかを見ると、げんなりするほどの価格破壊と食べ放題の特集が流れていたりする。財布のひもを預かる人々にとりあえず受けるネタではあるんだろうけど、もう、いい加減「お腹一杯」って感じがしませんか。 値段が下がるのは、確かに嬉しいニュースではあるでしょう。でも、安売りが進めば進むほど、日本は元気がなくなっていく感じがする。それは、単なるデフレスパイラルってことだけではなく、僕には自信喪失スパイラルにも見えるんですね。 当コラムはよほどの問題がない限り欠番にはしませんから、こんなことを書き残すと後で恥をかくかもしれませんが、ムダを省いた低価格は生き残るとしても、大量生産による安売りをウリにした商売は近々、ガクンと膝が折れるように失速すると思います。恥をかくついでに、その節目を2年後、と勝手に予測しておきましょう。 何度も取り上げてきた家電製品については、もはや価格破壊の限界に来ています。消費者も、安いモノはそれなりのモノであることに気づき始めている。値段だけで勝負するために生産拠点をアジア諸国に移し、最近では生産ノウハウさえも移してきました。日本から伝わってきた生産技術は、やがて現地企業のノウハウとなって、日本企業はコスト競争に負けることでしょう。遠い将来に負ける、ではなく、非常に近い時期に雪崩を打つように劣勢にまわると思いますね。中国で大量生産させている衣料品や野菜だって同様です。 生き残りを図るためには、付加価値を追求することが大切だと思います。バブルの時代にも同じようなことが言われましたが、値段が高くてイメージがいいだけのものは付加価値ではなく、いわば「風化価値」。浮かれ気分が過ぎれば、一気に色あせてしまう。これからが本当の、本物志向の付加価値を追い求めるべき時代だと思うのです。 で、これができるのは中小の企業ではないかという思いが、近頃、僕の中で確信に変わってきているのですね。大手企業の大量生産による普及品には価格でも販路でも負けるけれど、確実に固定ファンを捕まえられるような商品をコツコツ造り続けている弱小メーカー、また、これらだけを厳選して売っている販売チャネル、このあたりが日本経済にジワジワと元気をもたらし、日本人の誇りを呼び覚ましていくのではないかと。 まだ発行されていない雑誌の取材ネタなので、あまりおおっぴらには書けませんが、例えば国内観光地がどんどん斜陽化しているなかで、本物の温泉を提供しているところは逆に伸びていたりします。大手旅行代理店の「施設を巨大化したらどっと送客しますよ」「宿泊料をどんと下げてくれたらツアーを組みますよ」といった誘惑に目もくれず、本来の源泉100%をかたくなに守ってきた小さな温泉宿が、利用者の高い支持をジワジワ獲得しているんですね。 経営拡大を選ぶか、頑なに小さな経営を選ぶか。このあたりは、経営者のセンスや思想に大きく左右されると思います。ソニー、Yahoo!、マクドナルドといったナンバーワンだけが業界での「勝ち組」になるのも事実でしょうが、別の見方をすれば、小さなオンリーワンが「勝ち組」になれる時代でもあると思う。日本企業の99%が中小企業なのですから、ほとんどの経営者はきちんと思想をもって信頼できるモノを作り、売ることに奔走してほしいなあと、つくづく思います。 そういえば、10年近く前、「小さくてもキラリと光る国に」というビジョンを掲げた政党がありました。代表が地味な人だったこともあって、万人には受けなかったようですが、僕の心には響く考え方でした。それなりに吸引力のある人が今そんなことを言えば、結構支持されるような気もするのですが。 |
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