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●今月のコラム●(21) 2002年2月1日号
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雪印は上層部だけの問題か 1月23日、雪印食品による信じがたい不正が明るみに出ました。同社の関西ミートセンターで、狂牛病の発生に伴う国産牛肉の買い取り制度に便乗し、過剰在庫の輸入肉を国産肉と偽って買い取らせた事件です。これだけでも十分な愚行と言えますが、翌日には他のミートセンターでも同様に虚偽の申告をしていたことが明らかとなり、牛肉だけでなく豚肉でも産地を偽るラベル張り替えをしていた疑いも出るなど、もはや、どうにも救いようのない事態となってきました。 多くのマスコミ人や消費者は、件のミートセンター長や経営陣に対して、「開いた口がふさがらない」「体たらくもいいところ」と、強い調子で断罪しています。僕もまったく同感ですが、少し角度を変えて考えてみたいのですね。不正行為に参加した従業員たちは、いったい何を考えておるのか、と。 通常、こういう問題が世に出たとき、追及を受けるのは経営者側であり、組織の長です。当然だと思います。でも今回の一件は、一部の上層部だけがこっそり密室で悪事を働いたのではなく、ラベルを貼り替える要員、輸入肉を国産肉の箱に詰め替える要員として従業員が駆り出されています。右も左もわからない、何を喋るかわからないアルバイト生だけを使ったとは、到底思えません。それが「ヤバイ」作業であることは少なからず承知しながら、渋々にせよ作業に荷担していたはず。その中に、一人として反旗を翻す人はいなかったのでしょうか。これは、先の雪印乳業による事件でもまったく同様のことが言える。 「お前は組織に属していないフリーランスだからそんなこと言えるんだ」「家族の生活がかかっているサラリーマンに、上役に背くことを期待するなんてバカじゃないの」との叱責は甘んじて受けましょう。しかし、今回の一件が仮に上層部による確信犯的な犯罪だったとしても、それよりも従業員が口を貝のように閉ざしたまま命令に従っていたほうが、ずっと寒々しく、根が深い問題だと思いませんか。僕は、むしろ、従業員らがどのように受け止めていたのかに、大きな関心が向くのです。 会社と従業員個人の関係が、好景気時代のような蜜月関係ではないのは明らか。会社の命令に素直に従う従順な羊であっても、いとも簡単にクビを切られてしまう時代です。それならば、個人の価値観とか倫理観を貫き通した方が、よっぽど潔い生き方だと思うのですが。 冒頭で、「救いようのない事態」と言いましたが、一つだけ救いようのあるニュースがありました。それは、記者会見でマスコミの質問にしどろもどろに答える役員に対して、会見場に姿を現していた従業員から「『本当のことを言えよ。従業員として恥ずかしい』と大声」(1/28、時事通信)が上がったというもの。ほらほら、雪印食品のなかにも、骨太の人間はいるじゃありませんか。 さて、今回の一件では、消費者の態度も問われていると僕は思っています。それは、生産者に対する「しつけ」です。 00年6月末、雪印乳業のずさんな品質管理に起因する死亡事故が起こり、一時期、雪印乳業製品は店頭から姿を消しました。僕は自分でスーパーに行きますから、店頭での「復調ぶり」をじっと観察してきましたが、3ヶ月、半年くらいで、何事もなかったかのように雪印乳業製品が棚を占領し始めました。ナイフで切って食べるチーズに至っては、雪印しかおいていない店も少なくない。こういう店が商売を続けられるのは、消費者がすっかり事故を忘れてしまい、シェア回復を狙って安売りを乱発する雪印乳業製品を買っているからでしょう。これでは、生産者も本気で反省するはずがない。「消費者による厳しい監視は、しつこく続くのだ」という印象を与えることは、とても重要だと思いますね。 ところで、「URL TODAY」の「今日のコラム」で、「雪印食品社長の名前(吉田升三)は『よし、だますぞう』と読める」と書かれていたのは秀逸でした。僕は、「身をぐっと引き締めて出直すためには、いっそ雪を氷に固めて『氷印』にすれば?」と提案させていただきます。ジョークが寒いのは、やはり、雪のせいですね。 |
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