|
●今月のコラム●(17) 2001年10月1日号
|
|
|
●
|
プチ・ヒステリック? 9月11日にアメリカで起きた同時多発ゲリラ事件は、大きな波紋を広げました。たまたま見ていたNHKのニュースで、2機目の突入を生映像で目撃したときの衝撃は大きかった。信じられない光景を目の当たりにして、そのままテレビに釘付けになった方も多かったと思います。 アメリカおよび同盟諸国によるタリバン政権包囲網は、とても危険な印象を持ってしまいます。一連のテロ事件は到底許し難いものですが、このテロ事件そのものが、犯人側に言わせればアメリカの仕打ちに対する報復攻撃だったことも考えられるわけで、「目には目を、歯には歯を」の戦争状態に突入すること、ましてや日本がそれに荷担することについては、薄ら寒さを覚えます。どうしてアメリカとは切り口の異なる独自の姿勢を表明できないのか。仲裁に入ろうなんて意識は微塵もないのか。僕はいわゆる無党派層で、いたってニュートラルな立場ですが、今回の事件への対応については、明確にアンチ与党です。 本当は、タリバン政権を倒すための口実が欲しくて、テロ攻撃されると知っていながら出方を待っていたんじゃないか。でも本土がやられるとは想定外だった。……などと、裏読み好きの僕は邪推をしているのですが、少なくともアメリカ発信情報だけを鵜呑みにするのは避けた方が懸命でしょう。だって先の湾岸戦争だって、アメリカの情報が間違いだらけだったと、後で判ったわけでしょう。情報合戦の側面もあるわけですから、いつも冷静に事態を見て行かなくては、と思うのです。 さて、今回の事件については、もう一つ思うところがあります。それは、とくにテレビの対応です。どの局も同じ映像、同じ情報の垂れ流しを続けるばかり。確かに非常事態ではあるけれど、そんななかでも人間には多様な側面があるわけで、楽しい話題、バカバカしい番組を見たい気分だってある。半ば強制的に事件報道だけに着目させるような、極端な振り子の振れ方には疑問を抱かずにはおれません。ただ、唯一、東京ではテレビ東京だけが翌日のお昼時にグルメ番組を放映していて、微笑ましいものを感じましたが……。テロ事件報道が過熱する一方で、国内ニュースがほとんど流されなかったのも、報道姿勢として落ち度があるといえるでしょう。 また、多くの番組スポンサーは広告の放映を止め、穴埋めに公共広告がたくさん流されました。公共マナーを呼びかける公共広告の位置づけも、ずいぶん地に落ちたものです。 この粛正ムードは、時代が平成に移行したときにも似ていました。日本だけのことだろうと思っていたら、アメリカはもっと振り子が振れている様子。各局は1960年のケネディ大統領暗殺事件の時以来41年ぶりにCMをカットしてニュースを流し続けたと聞きました。テロ組織に立ち向かうシュワルツェネッガー主演の映画は公開延期になりましたし、例のツインタワービルの間に張られたクモの巣がヘリコプターをとらえられるシーンを含む新作「スパイダーマン」の予告編も上映中止になったとか。 それだけならまだしも、ラジオ放送から放送が自粛された曲もありました。フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」、ボブ・ディランの「天国への扉」、ジョン・レノンの「イマジン」……。日本では反対に、「イマジン」へのリクエストが急増したFM局もありました。反戦を訴え続けたジョン・レノンが今生きていたら、どんな声明を発表するのでしょう。 100人のうち数人が過敏になるなら理解もできますが、100人のほとんどが少しずつヒステリックになると、情報社会の今ではすべてがヒステリック色に染まってしまう。そんな浮ついたムードのままで21世紀最初の戦争に突入して、果たして収めどころは見えてくるのでしょうか。今は、お願いだから核兵器だけは使わないで、原発だけは攻撃しないでと、祈るばかりです。 |
●
|
||
| BEFORE← | →NEXT |
| 当ホームページに掲載されている原稿の無許可転載・転用を禁止します。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。
Copyright 2001-2004 tomoyasu tateno. All rights reserved. Never reproduce or republicate without written permission. |
|