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●ウエブマスター事始め<一年始末記>●(03) 2001年9月1日号
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個人ホームページはゴミか(1) 個人ホームページが、ときおり嘲笑の的になることがあります。「くだらない日記ばかり並んでいる」「どうでもいい趣味をひけらかしている」「見たくもない写真がべたべた貼り付けられている」などなど、批判の声を聞くことがあります。 正直言って、僕も昔は個人ホームページをバカにしていました。不特定多数の人前に自分をさらけ出すなんて、恥も外聞もなくよくやるよなあ、と。同じライター職でホームページを作っている人がいるのも知っていましたが、僕はやらないよ、と思ってた。でも今では、個人ホームページに対して正反対の考え方を持つようになりました。 考えてみれば、冒頭のような内容に関する批判は、要はコンテンツの質の問題なんですよね。発行者が個人か企業・団体かの問題ではまったくない。 もちろん企業・団体の場合はたいてい複数の意志が働いていますし、プロに任せる例は多いでしょうから、客観的な善し悪しの判断というフィルターを通った、少なくとも見た目は一応まともなものが公開されています。でも、企業・団体のサイトでも包装紙を一枚ひんむくと「この程度なの」と言いたくなるものもあるわけで、個人のサイトか企業・団体のサイトかなんて、本当にどうでもいいと思っています。 実際、個人サイトで大きなインパクトをもつものもかなり登場してきているようです。多くの支持を得ている個人サイトを紹介したこの特集ページ(INTERNET Watch記事)を一度ご覧になってみてください。 これらのサイトについて、僕自身はあまり魅力を感じてはいませんが、やっていることについては掛け値なしに凄いと思う。発行人と直接話したことはないけれど、彼ら・彼女らは間違いなく訪問者への利便性やエンターテイメント性を考え、サービス精神にあふれた情報発信をしていると思えます。業界他社が作っているからウチも作るか、といった主体性のないお義理のサイトに比べたら……いや、比べること自体が彼ら・彼女ら失礼でしょう。 面白い時代になったなあ、と思うんですね。かつて、情報発信のメディアとして印刷媒体に頼っていたほんの5年前まで、発行人が個人か企業・団体か、明らかな差がついていたわけです。まず印刷やデザインにかけられる費用が、個人と企業・団体では明らかに異なります。前者がやることといえば、コピー印刷、ガリ版刷り、せいぜい白黒印刷。デザインだって素人の域を出ない。後者はそんな貧相なことはやりません。プロのデザイナーに頼み、4色(フルカラー)印刷で、紙も立派なものを使って印刷する。 印刷物がwebサイトになった途端、こうした垣根が一気に取っ払われた。数万円で買える、ある程度のソフトを使い、ある程度の時間をかければ、そこそこのものが誰でもできるようになったわけです。じゃあ違いはどこに出てくるか。発行人自体がもっている発想、企画力、サービス精神、情報の質量などなど、いずれも形に見えないものばかり。そこでは、個人であろうが企業・団体であろうが同じ土俵で戦えるし、中校生のお兄ちゃんが、一流企業よりも優位に立つことが、いとも簡単にできてしまうわけです。 文章の「プロ」の立場としても一種の驚異ですよ。僕はコピーライターを13年、雑誌・書籍のフリーライターになって6年半の経歴をもつ職人ライターの部類ですが、素人が書く文章の方が面白い場合もあるわけですからね。このあたり、危機感をもっている同業者はどのくらいいるんだろ。 プロの場合は、何らかの制限のなかで仕上げる点において優れた技術をもっています。雑誌媒体の性格、与えられた文字量、最低限盛り込むべき情報、取材すべき相手、締切り、文章のテイスト……これらを総合的に加味しながら、求められる文章をきっちり仕上げる。たぶん、一年生ライターにはなかなか会得できない技だと思います。しかし、webサイトの文章は何の制限もありません。後は、訪問者に受けるかどうか、この一点です。なんと潔い世界なのでしょう。 僕から見れば素人くさい文章でも、文章というのは書けば書くほど上達しますし、自分が書いたものを誰かから評されたりするともっと技術が向上します。「所詮素人さ」なんて見下していると、そのうち痛い目に遭うでしょう。 大げさにいえば、「国・自治体・企業・団体」などの前で吹けば飛ぶような存在だった「個人」が、力をもつ有力な手段がネットなんですよね。その弊害はいろいろあるけれど、むしろ個人サイトのなかからどんな才能が生まれてくるのか、楽しみでもあるわけです。一見、ゴミのようにも見える個人サイトの山から、ダイヤモンドの原石が出てくるかもしれないのですね。 次回は、不特定多数に見られることを前提としない、究極の極私的サイトについて考えたいと思います。 |
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