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●間違いだらけの車いす選び●(02) 2001年2月1日号
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車いす販売業者からの甘い誘惑 障害者用の車いすはユーザー側の自己責任で選ぶのではなく、「措置制度」によって支給されるものであると、前回、説明しました。その是非はともかく、もし、責任ある立場の専門家がキチンと揃っていて、障害者本人の身体の動きや日常生活を把握した上で、本当に適した車いすを選んであげられるのであれば、この制度は、まずまずの成功といえます。ところが、これがかなり怪しいわけです。 『WE'LL』という雑誌で車いすの連載を終えた後、ある中年の男性障害者、Aさんに会いました。Aさんも、「障害者の車いすの制度は無茶苦茶だ」と怒りを感じている一人でした。 「以前、制度で支給された新品同様の車いすの、キャスター(車輪)が坂の途中で壊れちゃったんですよ。電信柱に引っかかって助かったけれど、あれが無ければ危ないところだった。それで車いすの販売業者を呼んだら、平気な顔をして『じゃあ修理ですねー』って言う。冗談じゃない、謝って、無料で弁償するのが当たり前でしょう」 前回もふれましたが、車いす販売業者にとってのお客さんは、車いす利用者とは言い切れません。なぜなら、お金を出すのはお役所ですし、車いす業者を指定したり、機種を選ぶのもお役人。車いす利用者は極端にいえば、ただの納品先でしかないわけです。 しかも、すぐに壊れるようなモノを販売したとしても、制度で決められたお金はちゃんと出ます。一台あたり、たぶん10万円は出ています。おまけに修理代も公費で出る。だから、その販売業者は、いとも簡単に「じゃあ修理ですねー」と答えたわけですね。Aさんは続けて言います。 「いい加減なもの売っても金が出るし、修理してもお金が出る。こんなインチキな話はないでしょ。業者は措置制度の上にすっかり胡座をかいている。障害者の方だって胡座をかいていますよ。だって、どうせタダでもらえるんだから、業者とつるんでた方がいいわけです」 現行の障害者用車いすの制度には、抜け穴がいっぱいあります。制度に定められた車いすの価格は標準型車いすで最低10万円程度で、それにプラスアルファ数万円程度はオプションで上乗せすることができます。新品の車いすはおおむね4年に一度、支給を受けることができます。書類上は標準型車いす10万円と周辺部品2万円分を出したことにしておいて、実際は書類上には記載されていない別の12万円の機種を本人に支給する……この程度の裏わざは、朝飯前だし、いくらでも事例があることなのです。Aさんの口からは、さらに信じられない話が出てきました。 「あれとこれを修理したことにして、その分で新しい車いすを作っちゃいましょうかって、業者の方からそそのかしてくる。僕が車いすは必要ないと言ったら、業者がこう言った。『じゃあ、冷蔵庫はいりませんか、テレビの方がいいですか、それともウォシュレットにしましょうか』って。不正もいいところでしょう」 この例は、さすがに僕が取材してきたなかでは、もっとも酷い部類の例でした。真面目な車いす販売業者はたくさんいますが、なかにはこういう業者がいるわけです。僕自身、一切の微罪さえ許さない潔癖なタイプの人間じゃありません。ある程度の悪事は、笑って聞き逃すこともできますが、さすがにこれはマズイでしょう。でも、こうした例が野放しになってしまうような、制度であるのは確かです。 この話を読んで、読者の皆さんは「直ちに制度を廃止せよ!」「もっと厳正な制度運営をせよ!」と怒るかもしれない。でも、ちょっと待ってください。実は、厳正に制度運営されないが故に、助かっている実状もあるのです。いや、むしろそっちの方が多いかもしれない。次回からは、そんな話をしましょう。 |
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