●今月のコラム●(08) 2001年1月1日号

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国民総IT時代をうたうなら

 森首相が、IT推進に躍起になっています。先日の記事によれば、首相の判断で予算を出せる「日本新生特別枠」7000億円中、IT関連に2504億円を拠出するとか。

 IT推進は次代を切り開く重要なテーマでしょうし、これによって、第二の産業革命のようなことが起こっていくのかもしれない。それはそれで、まあいいとして、どうも引っかかるのは、森首相の発言からITが普及した後の国民生活について、どんな楽しいことが起こるのか、ビジョンのかけらも見えてこないということです。

 IT担当相(官房長官の兼務)も含めてではありますが、果たして彼らはインターネットの一つも使ったことがあるのか、電子メールのやりとりを経験したことがあるのか。勝手な憶測はいけませんが、まあ、ないでしょうね。今日のアメリカのネット社会を推進したのは、大統領選に負けた元副大統領のゴア氏だと言われています。彼が唱えた情報ハイウェー構想とやらを、僕は7年ほど前に聞いたときに何が何やらさっぱりわかりませんでしたが、今となっては先見の明があったなあと感心させられます。やることは同じIT推進だとしても、ビジョンの有無がまるで違う。

 自分自身が当事者にならないと政策は立てられない、なんて乱暴なことを言うつもりはありません。でも、これだけ呪文のように「IT、IT」と言うなら、一度でもいいからネット社会の現状と課題について、彼の口から個人的な意見をききたいもの。「最近のニセ首相官邸は面白くないねえ」とか「お気に入りのネクタイをオークションで安く手に入れたよ」といった卑近な話も大歓迎。「あちこちネットサーフィンしていたら局部丸見えのサイトに当たったけれど、あれはネット社会の暗部だね」とか、そんな会話を番記者連中にこぼすような首相であれば、いいのですが。

 ITという言葉が、経済紙以外の新聞やテレビなど一般のメディアで頻繁に登場し始めたのは、2000年の春先ごろでしょう。僕自身、ネット社会が面白いなと実感し始めたのは、頻繁にインターネットを使い始めた、せいぜいこの一年前くらいから。実際にホームページを立ち上げてから、ようやく、その意味を見いだしたくらいでして、自分でやってみないと、本当にはわからない。

 くれぐれも、町中に立っているYahoo!の看板を指さして、「あのヤホーというのは何だね」なんて質問を側近に浴びせ、それがマスコミの格好の餌食になるようなことがありませんように。いやはや、実際にありそうだな、こりゃ。今のままだと、どう見ても、経済波及効果しか考えてない感じがバレバレ。とりあえずは、糸井重里サンが先頭に立って頑張っているインパクの成りゆきを見守りますかねえ。

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