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●こんな仕事してきた●(06) 2000年11月1日号
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エスカレーターは下りが大事? 僕は京阪神地方の出身で、35年間をここで過ごしてきました。8年半前に東京に来たとき、電車を利用していていちばん驚いたのは、エスカレーターの少なさです。とくに東京の地下鉄、JRの駅でエスカレーターは本当に少ない。長い長い階段を見上げながら「関西ならエスカレーターがあるのに、どうしてないんだよお」と、溜息をつきながら上っていったこと、多々あり。 一般的に関西人はせっかちで合理的と言われます。エスカレーターが多くの駅で設置されているのも、そんな関西人気質を映し出してきた結果なのでしょうか。僕の記憶が正しければ、「動く歩道」が日本で最初に導入されたのも大阪駅周辺ですよね。とくに阪急電車は、日本でいちばんバリアフリー対応ができている鉄道事業者といわれ、エスカレーターはもちろん、かなりの駅でエレベーター設置も進んでいます。そんな関西生活がしみこんでいた僕にとって、東京の駅はずいぶん不親切に思えたのです。 もっともっと、上りのエスカレーターをつけてくれよ! そう思っていた僕が意外な話を聞いたのは、2年ほど前でしょうか。ある有料老人ホーム絡みのPR誌で「高齢者とスポーツ」に関する特集を組むことになり、『60歳からの健康・体力づくり』の著作がある早稲田大学の永田先生に取材に行きました。年齢を経るごとに身体の中の結合組織だとか、神経、筋、骨格の萎縮や機能低下が進み、その結果、若いときは何でもなかった運動生理機能が低下するのです、でもこうした研究はまだまだ遅れているのです……先生はそんな話をしてくれました。 その一例として出てきた話題が「エスカレーターは上りより下りが大事」ということでした。詳しいメカニズムについての説明は、もう忘れてしまいましたが、足の機能が低下した高齢者の場合、階段を上るよりも下る方が辛く、なおかつ踏み外した場合に、膝ががくっと折れたときの転落は重大事故に繋がりかねないということです。そういえば、運動部でウサギ飛びをやらされた翌日って、下りの階段や坂道が辛くなりますよね、あれとも共通しているのかもしれない。 先生は、駅の設備として、まずは下りのエスカレーターを優先して設置すべきだと提唱されているとか。この話を聞いてから注意深く駅を見てみると、上りのエスカレーターしかついていない駅も、案外ある。僕もそうだったけど、「エスカレーターは上りより下りが大事」なんて、ほとんどの人が知らないのではないでしょうか。まあ、もちろん、エスカレーターをエレベーターにしてしまえば、上り・下りの論議は、吹っ飛んでしまうわけですが。 おりしも11月から「バリアフリー法」が施行になりました。この法案のなかで、当初、駅にはエスカレーターをつけなさいということだったのですが、障害者などの抗議を受けて、エレベーターの設置も盛り込まれました。法律に定められたから仕方なく設備を改める、というのではなく、エスカレーターやエレベーターが必須な人が、なぜそれを必要としているのか、きちんと考えて改修してほしいものです。 |
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