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●ガマ腫ライターのゲコゲコ闘病記●(01) 2000年11月1日号
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ええっ、ガマ腫? 身体の異常に初めて気づいたのは、実はこのホームページのプロフィール欄に載せるための写真(今は新しいものに差し替え済み)がキッカケでした。現像されたプリントをカメラ屋さんの前で見てみると、自分の顔の、左顎下が膨れている。光の具合でそう見えるのかなあとも思いましたが、別の場所で撮った写真でも同じように膨れています。自宅に戻って、改めて鏡をまじまじ見てみると、やっぱり膨れている。触ってみると、何だかプヨプヨしていて、ただの水膨れのようです。ありゃあ、どうしちゃったんだろ。 別に痛みなどの自覚症状は何もなく、しばらく放っておいたのですが、急展開したのは、国立がんセンターを訪問してからでした。国立がんセンターと言っても、患者として診察を受けに行ったのではなく、あくまでも取材です。「迷ったときの医者選び」という書籍の取材で、皮膚ガンの名医と定評があるY先生を訪ね、先生の治療方針や特色についてお話をうかがうのが目的でした。 取材そのものはとても興味深い内容で、人柄もとても良く、さすがに名医だなあといたく感服しました。ところが、たまたま首から上のガンの話になり、首のあたりにはリンパ節が集まっていて、首から上にがんができると、最初に転移するのが首のリンパ節だという話を聞き、急に背筋が寒くなってきました。 じゃあ僕の顎下の膨らみってガンなの? だとすれば既に首から上のどこかにガンができていて、ガン細胞が原発巣から首に転移しているってこと? リンパ節転移している場合は生命の危険がありますから、これはマズイと思いました。多忙な名医への取材で、すでに約束の時間をオーバーしており、診察時間が終了した後の夕方の取材でしたから、僕を診察してください、なんてことは言い出せず、そのまま礼を言ってセンターを出たのでした。 そんな話を聞いて、僕の気持ちが穏やかであるはずがありません。翌日さっそく、近くの大手K病院へ行って初診を受けることにしました。何科を受診したらいいのかわからないので、総合案内のカウンターに立っていた看護婦さんに声をかけ、症状を説明します。すると看護婦さんは表情を一瞬曇らせ、「まずは耳鼻咽喉科に行ってみてください」。その日はあいにく、後に主治医となる咽喉担当のU先生が休診で、耳鼻担当の先生がCTスキャンの検査予約をとるよう指示しました。ううむ、これはどうもタダ事ではなさそうです。 CTスキャンの検査結果は二週間後に聞きに行きました。しかし応対した女医さんも、その上司で後に主治医となるU先生も、出てきた検査結果だけでは診断が下せないようで、患部を触ったり、舌の裏側を触診しつつ、首をひねっています。きっと舌ガンとか喉頭ガンの疑いを持っているんだ、それが転移したリンパ腫ではないかと思っているんだ……なまじっか知識があるので、悪いように悪いように考えてしまいます。とくに、女医さんがU先生に「センチはどうでしょうか」と訊ね、U先生が首を横に振ったのは気になりました。 というのも、皮膚ガンの取材で「センチネル・ノード・バイオプシ(予防的リンパ節郭清)」という手術があることを知っていたからです。これは足裏にできたホクロのような悪性黒色腫が足の腿、要するに大腿部のリンパ節に転移した場合に、転移先の患部を切除し、足裏の悪性黒色腫も切除し、2つを繋ぐリンパ腺も足に沿って切除してしまうという新しい手術法です。これまでは片足を切断していたわけですから、足が残るだけでもいいわけですが、いずれにしても重篤な病状であることに変わりはありません。 もっとも、これは僕の聞き間違いで、センチネルではなくシンチ、つまりシンチグラフィ(放射線アイソトープを使った画像診断の一つ)のことだったんだなあと後から気がつきました。いやはや、中途半端な専門知識は取り越し苦労に繋がりますねえ。 結局、後日エコー検査とMRI検査を受けることになりました。MRI検査では、あのカプセルに初めて入りました。身動き一つできず、唾液を飲むことも止められ、暗闇のカプセルで40分間じっとしているのですから、かなりの苦痛ですが、正確な診断のためには我慢するしかありません。 3つの検査を経て、ようやく診断結果が出ました。U先生は、ライトに貼り付けた画像検査のフィルムを指さしながら説明します。 ガマ腫……ああ、何て変な名前の病気なんでしょう。でも、このトボけた病名は、重篤な病状を想定していた僕や、同席してくれた僕のパートナーの緊張感を弛緩させるのに十分なものでした。 患部に何の痛みもなく、病名もコミカルなので、自分が病気にかかっているという重苦しい気分もありません。そんな「お気楽闘病生活」が、この日から始まったのです。ゲコゲコ。 |
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