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●こんな仕事してきた●(05) 2000年10月1日号
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ぐぁんばれ、品川の駅弁・常盤軒 もう4年近く前になりますが、毎日新聞社が発行している雑誌「アミューズ」で、駅弁特集13ページを一人で取材・執筆したことがあります。それは、地方をルポしながら駅弁を食べ歩くような企画ではなく、徹底的に都会にいながら駅弁を楽しむという風変わりな企画で、大都市の駅で買える駅弁や、百貨店の催事場で年に一度行われる駅弁特集のイベントなどを取り上げて構成しました。 一連の取材で気になったのは、大都市の中心地で頑張っている駅弁業者さんが、かなり苦しい立場に立っているという現実でした。具体的には、JRグループの会社が作る駅弁が優遇され、昔から構内で場所借りして販売してきた業者さんが締め出しを食らいつつあるというお話なのですね。 名前は出しませんが、ある主要駅で駅弁を手広く販売していた会社の場合、駅のリニューアルを機に、追いやられた格好となりました。駅構内をきれいに手直しする、ついては駅弁スタンドも自腹できれいにしなさい、できないならJR側でスタンドを作り、JRグループが作った駅弁を売りますよ……こういう手法で、資本力がなく店子の立場でもある地元業者さんは構内の端っこに追いやられたり、ホームの外に放り出される、というものです。 試しに、今度東海道新幹線を利用する機会があれば、ホーム内の売店に立ち寄り、駅弁に張り付けられたシールや、箱に印刷された製造者名をチェックしてみてください。多くはJR側が下請けで作らせている平凡なお弁当ばかりで、何だか、コンビニ弁当の少々高級版といった印象です。 さてさて、心配は品川駅です。品川駅では、常盤軒という地元の業者さんが昔から手広く駅弁を販売していました。でも、新幹線が品川駅に停まるようになるのに伴って、ただいま大規模な改修中。ここでも前例のような手法で、常盤軒の立場は危うくなるのでしょうか。 常盤軒については、女性社長さんを取材させていただき、とても律儀な商売をする駅弁屋さんという印象を強くもちました。多くの駅弁がコンビニ弁当化し、見栄えがカラフルでキャッチーな総菜を並べたお弁当に走るなか、ここでは色が毒々しくなくて、とても地味で、しかし素材は良くてしっかり味わい深いお弁当を作っています。たとえるならば、田舎のお婆ちゃんが作ってくれた、安心のお弁当、といった感じですかね。僕には、こうしてホームページでお知らせするくらいしか、応援する術はないのですが。 この特集では、『駅弁の旅』(NHK出版)という本を著したライター&イラストレーターの石渡希和子さんを取材する機会も得ました。石渡さんは全国各地の駅弁を一つ一つスケッチしながら食べ歩いた方で、その語り口とイラストのタッチはとても素敵です。彼女が提唱する駅弁の買い方は「幕の内弁当は、まず外す。ハズれてもいいから、その土地ならではの素材を前面に押し出した駅弁を買う」というもの。なるほどなあと感心し、僕もそれを守るようにしてきました。 確かに彼女の言うとおり、ハズれの駅弁を買ってしまうことも多々あるわけですが、これもまた旅の楽しみですもんね。たとえ出張中にあわただしく空腹を埋めるための駅弁であっても、そのくらいの心の余裕はいつも持っていたいなあと思うのでした。 |
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