●今月のコラム●(05) 2000年10月1日号

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洋楽時代がやってくる?

  あのう、何の根拠もないんですがね。再び洋楽時代がやってくる、いや、やってきているような「感じ」がするんですが、どうでしょう。

 コムロの時代が終わり、つんくの時代も過ぎ去ろうとしているなかで、何だか邦楽の世界はすっかり荒れちゃった気がしますね。タイアップ型、ティーザー広告型*の売り方が出尽くしてしまって、売る方は八方塞がり状態、リスナーの方も辟易しちゃってるんじゃないかなあ。

 MP3配信の流れに先鞭をつけたP-MODELの平沢さんも、そんな音楽「産業」界にほとほと呆れた風で、今の業界批判をかなり過激に展開しています。別に僕は彼のファンでも何でもないけれど、その言動には思わずニヤリとさせられたり、ハラハラさせられたり。これだけ歯に衣着せぬ言い方ができる人って、どれだけいるんだろ。

 音楽を商品にたとえるならば、生産者はあくまでもミュージシャンで、レコード会社は卸し屋さんに過ぎません(レコード、CDなどのメディアを作る意味ではメーカーですが)。消費者に近い卸し屋さんが、こういうふうに作ればもっと売れるよ、と生産者を指導するのはいいとして、指導が度が過ぎるとろくなこたあない。生産者たるミュージシャンの感性はどこで生かせるのよ、と言いたくもなります。生産者と消費者がダイレクトに結びついていくネットの世界で、再び、ミュージシャン自身のパワーとか、発信力みたいなものが回復できるのかなあ。

 元々ミーハーな僕は、それなりに今どきヒットチャートのチェックを怠りません。だけどお金を出して買いたいと思う曲が、驚くほど少ない(半分は、トシのせいです)。ライターの仕事だけで食えない僕は、一年近く、日焼けサロンでアルバイトをしていましたが、そこで有線放送の邦楽ヒットチャート番組をかけていたりすると、二時間もすると頭が痛くなってきちゃう。「もういいよ」って気分になって、ついつい邦楽以外のチャンネルに変えてしまいます(他の店員も少なからずそうです)。

 アルバムの価値が暴落しているのも気になりますね。僕の勝手な印象では、シングルではそこそこ売れ線を意識して作りつつも、アルバムでは自分本来の音楽ワールドで思いきり勝負できる、とか、アルバムを作るのがミュージシャンの本業で、そこからたまたまキャッチーなものがシングルカットされる、とか。つまり、アルバムの方がシングルよりも上位概念なんですね。でも今はシングルヒット3〜4曲に、シングルにならなかったボツ作を詰め込んで、はい出来上がりでしょ。安易なベストアルバムの乱発もイヤだなあ。

 そんな日本の音楽世界に嫌気がさして、洋楽に走る人が多くなる、いや多くなっている、と思うのですがいかがでしょう。実際、FM各局のオリジナルチャートなんか見ると、数年前よりも明らかに洋楽の勢いがいいように思うのですが。

*ティーザー広告……古典的な広告手法の一つ。商品をしっかり見せず、消費者をじらして期待感をあおるやり方。ZARD、大黒摩季、デビュー当初の宇多田ヒカル倉木麻衣の売り方はこの手法でしょう。

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