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●見聞録●(04) 2000年10月1日号
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こわいこわい、電話セールスのお話 数年前から、執拗な電話セールスに、たびたび仕事の邪魔をされてきました。多くはマンション販売会社からのもので、「近くにマンションを建てるので、ショールームを見に来て欲しい」という内容です。目的が明確だという意味では、まあ、まともな電話セールスでしたし、「興味ありません」と言うと、簡単に引き下がっていました。 次は、少し執拗になってきました。やはり同じ目的の電話セールスですが、今度は、断っても全然引き下がったりせず、どうして不動産に興味はないのか、家族はいるのか、一生賃貸で住むのか、などなど、個人情報を引き出そうとします。適当にあしらうわけですが、少々強気で断らないと、なかなか引き下がらない。 これだけでも、いい加減腹立たしいわけですが、一番酷かったのはその次です。あれは99年の初夏の頃だったでしょうか、19時頃にぶしつけに電話がかかってきました。明らかに不動産絡みなのですが、今度は住まいの相談に応じたいから今から伺いたいという内容で、気持ち悪いほどの低姿勢と、バカていねいなトークが特徴です。「セールスはお断り」と言うと、「これはセールスではございません。誤解されているようですので、今からお伺いします」と言う。ばかばかしくなって「関心ないので切りますよ」と告げて電話を切るのですが、即座に電話がかかってきます。 「建野様、酷いではないですか、いきなり電話をお切りになるなんて、失礼ではないですか。とても迷惑しております。このまま誤解されても困りますので、今からお伺いします」とセールスマン氏。「社名と名前を名乗りなさい」と言うと、「直接お会いしてご挨拶いたします」と譲りません。「来なくていい」と言うと、「建野様は会いたくなくても、私がお会いしたいのです。お会いしたいと申し上げているのに、それを拒絶なさるのですか」と尚も食い下がってきます。要は、断るこちらの方に引け目を感じさせるトークのテクニックのようです。僕が呆れていると、相手は最後の奥の手とばかり、僕の住所をすらすらと読み上げ、「近くにおりますので、今からお伺いします」と言う。 どうです、酷いでしょ、不気味でしょ。どこの誰ともわからない、わからず屋の男が今からすぐ行くと言ってる。「来るなら警察に電話しますよ」と言うと、「警察は民事不介入ですから」とすらすら答える。「そんなこと、よく知ってるね」と返すと、さすがに一瞬、ムッとした様子。 僕はそのころ、電話取材が必要な仕事をしていたため、いつでも録音セットができるように、テープレコーダーをセットしていました。そこで実際にテープを回し、「この電話はすべて録音していますよ。消費生活センターに報告します」と僕。こういう返され方に対するトークの訓練はできていないらしく、セールスマン氏は「後でテープを聞き直して楽しむのですか」と素っ頓狂な質問をしてきました。 僕もいい加減頭にきて、この後電話を一方的に切り、電話がならないように設定を変えたのですが、相手は何度も留守電に電話してきます。あとで聞いてみると、意図的に気持ち悪そうな声色で、こんな内容のトークが入っていました。 「建野さ〜ん、そこにいらっしゃるんでしょう〜? 居留守を使っているのはわかっているんですよ、電話機から私の声が聞こえていますでしょう〜? ではお伺いしてよろしいですか〜? ご返答がなければ、ご了解いただいたってことですね〜? はい、ではご返答がありませんので、今から15分ほどで参ります。ではお楽しみにお待ちください」 まあ僕だからいいけれど、これが一人暮らしの女性だったら、かなりの恐怖でしょう。後で僕は「ストーカー商法」と勝手に名付けましたが、ストーカーが問題になり始めた時期をとらえた、巧妙なテクニックです。ひょっとしたら、暗闇の向こうで誰かが監視しているのではないかとも思える。本当は僕も薄気味悪くって、しばらくの間は部屋の電気をすべて消し、クーラーを消して窓を閉め、屈強な友人に相談したくらいでして。 そんなこわいこわい電話セールスが、ぴたっと止まったのは、転居してから。というのは、転居する時に、名案が浮かんだのです。それは、僕は仕事上、電話専用の回線と、ファックス&インターネット用の回線と、2回線をもっていたのですが、これを入れ替えて登録したのですね。僕の知人・友人・仕事仲間には新しい住所や電話番号、メールアドレスを知らせていますから、これで十分です。 転居後、しばらくはファックスに普通の電話がときどきかかってきましたが、ファックスにかかってきた電話はとりませんし、ベルも鳴らないようにしてありますから、うるさくもありません。おまけに電話帳への登録も、ナンバーディスプレイ通知もやめました。そうそう、雑誌やネットでの「●●プレゼント」などへの応募もぴたりとやめました。これだけで、今のところは電話セールスを撲滅できています。しばらくしたら、知れ渡ってしまう可能性はありますが、そうなったらまた工夫するだけ。 この出来事を機に、個人情報の漏洩に関心をもち、関連書籍もあさりましたが、今の社会のなかで個人情報の流出を防ぐのは、不可能と言ったほうがいいようです。後は、自己防衛をどうするかを考えるしかないなあ、というのが実感です。 追記)このコラムを書いた後、はっと気づきました。僕が会社員であると信じていて、しかも賃貸住宅に住んでいることがわかっていて、住所も知り得るためには……たぶん、当時住んでいたマンションを仲介した会社でしょうね。賃貸の延長契約時にはフリーライターであることを明記していましたから、四年ほど前の、初めの契約時のデータが流れたのでは。確かに、マンション販売をしたい会社にとって、賃貸仲介業者のリストは有望ですからね。ま、推測ですが。 関連リンク●「悪徳商法マニアックス」 |
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