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●取材ノートから●(04) 2000年9月1日号
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ホームヘルパー松竹梅 公的介護保険が導入されて半年。さまざまな問題があぶりだされてきているようですが、今回はホームヘルパーのお話。 ホームヘルパーに関しては、介護保険導入前、本当に十分な人数が揃えられるのかどうかが大きな問題でした。2000年3月までの達成をめざした新ゴールドプランでは、ホームヘルパー17万人を養成するという目標が掲げられ、マスコミはこぞって「数は足りるのか」「介護の担い手不足が深刻」と量的な部分を中心に書き立てました。 ところがフタを開けてみれば、介護サービスの利用状況は想像というか期待というか、事前に予想された数字からかなり下回り、量的な充足よりも質の問題に焦点が移ってきました。 8月の初めごろだったでしょうか、NHKの「クローズアップ現代」で介護保険導入後の問題点について、東大阪市で行われた市職員による調査の模様を中心に取り上げていました。ここ半年、高齢者福祉に関する取材は遠ざかっていて、医療や障害者福祉関係の仕事に絞っていましたので、アップトゥデートな実情は詳しく知りません。でも番組のなかで東大阪市の男性が「うちに来たヘルパーは、車いすの押し方すら知らない。危なっかしくて仕方がないですよ」と訴えるのを聞きながら、「ああ、やっぱり起こったか」と思いました。 というのも、保険導入直前にあちこち取材をした時には、量よりもむしろ質の問題を心配する関係者がけっこう多かったからです。取材の目的は、サービスの善し悪しを見分けるポイントについて様々な意見を聞いて回るものでしたが、都内でも評判の地元事業者を取材した時、責任者がいちばん心配していたのは「質の問題」でした。責任者の女性はこう言っていました。 「派遣できるヘルパーが3級でもよくなっちゃったんでしょう? 3級なんて素人同然なのよ。だって3級の資格をとるのに、お勉強がたった50時間でいいんでしょう。1級は230時間で、2級は130時間もお勉強して、それでもやっとスタートラインなのよ。3級のレベルでいいのかしらねえ。だって、オムツ交換さえ経験したことがないホームヘルパーがいっぱいいるのよ。4月からどうなっちゃうのかしらねえ……」 ちなみに、3級ホームヘルパーを派遣した場合、サービス提供事業者に支払われる介護報酬は一割カットされます。たったの一割でいいのかどうかはともかく、カットされるということは、正規のサービスを提供できる資格ではないということですよね。 素人から見て、資格というものは、葵の御紋みたく、絶対的な存在に見えます。おそらく、ホームヘルパーの資格をもった人に、介護技術の大きな開きがあるなんて、利用者はあまり想像できないでしょうし、ましてや、1級2級3級の違いなんて、ほとんど知っているとは思えません。1級だろうが3級だろうが、ホームヘルパーで派遣されてきた以上はプロとしての仕事をするだろうと期待するのは、利用者として当たり前のこと。 もちろん、級の違いがそのまま質の違いに繋がるとは限りません。たとえオムツ交換のテクニックが拙くても、サービスに対する意識がしっかりしていれば、技術を補うだけの満足を与えることはできるはず。このあたりはサービス提供事業者自身の、ホームヘルパー教育の開きが大きく出ているのではないかとも思います。3級のホームヘルパーを、初めて訪問するお宅にいきなり一人で行かせるような事業者も少なくないようですが、派遣されるヘルパー自身もおっかなびっくりじゃあないでしょうか。資格ランクの違いと、所属するサービス事業者の教育の違い。この掛け合わせによって、ますます「ホームヘルパー松竹梅」の開きが出ているのでしょう。 個人的に、介護サービスが権利化されたという意味において、介護保険の導入に僕は賛成しています。ただ、制度を生かすも殺すも、制度導入後の運用にかかっているわけで、このあたり、質の悪いサービスしか提供できていない事業者にはきっちりお灸をすえるなど、制度に命を与えるチェックを徹底すべきと思うのです。 |
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