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●こんな仕事してきた●(01) 2000年6月13日号
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精神障害者が集う場・べてる TBS「ニュース23」で2000年2月18日にオンエアされた「シリーズ心」の最終回で、北海道の「浦河べてるの家」が紹介されていました。この通称「べてる」を、僕は97年の秋に訪問し、5日間滞在してルポを書いたことがあります。 「べてる」の説明をするのはとても難しいのですが、できるだけ簡単に言うと、精神障害者が隔絶された施設ではなく地域で暮らすためのコミュニティ、みたいな感じでしょうか。組織的には、昆布の加工・販売などを行う小規模作業所、福祉用具の販売・レンタルなど行う有限会社、精神障害者が住む共同住居(グループホーム)などから成っていて、地元の浦河赤十字病院の精神科にかかっている患者や、回復者およそ100名が集っています。 ボクが「べてる」の存在を知ったのは、友人から借りた「べてる」のドキュメンタリー・ビデオ作品「ベリー・オーディナリー・ピープル」でした。ビデオを観てまず驚いたのは、病気に対する明け透けな開き直り方でした。 多くのメンバーは、自分が精神病であることを大っぴらに語ります。なかには精神分裂病と診断されて良かったという人までいて、見学でやってきた健常者に「精神分裂病じゃないなんて、つらいっしょ?」とまで言ってしまえる。つまり、ストレス抱えたまま健常者で居続けるのは辛いでしょう、僕は精神分裂病だと診断されて気分が開放されたんですよ、という意味ですね。ポジティブ志向も、ここまで来れば、立派と言うしかありません。 精神科医やソーシャルワーカーが前面に出るのではなく、患者や回復者の当事者が主役となって支え合っているのも、すごいと思います。何しろ昆布の販売をやろうと言い出したのも当事者、有限会社の社長も当事者なんですから。そして、いつもトラブルだらけなのに、笑いが絶えないということも驚きです。僕が知らない修羅場はあるだろうけど、それすらも後で笑い話になってしまう。「笑い」は人を救うのだなあと、心からそう思います。 ボクがいちばん感心するのは、これだけ多様でクセのある人間が集まり、時には反目しあい、同調しあい、トラブルが日常茶飯事でありながら、一つのコミュニティのなかでお互いが気持ちよく暮らしていける、べてるという「場」の豊かさです。健常者社会でもこんなコミュニティは少ないと思うし、いや、むしろ、精神病という病を背負っているからこそ、お互いのマイナス部分を許容できて、こういう豊かな場になるのかなあ、とさえ思えてきます。たった5日間だけ滞在したに過ぎない物書きのボクが、そんな「べてる」の豊かさをどれだけ表現できたのか。そんなことを、ときどき思います。 さて、冒頭で触れた「ニュース23」のお話。全国版の生放送という緊張感から、テレビカメラの前で何かハプニングが起こるのではないかと不安(期待)を持っていましたが、それは見事に消え(外れ)ました。生放送のテレビカメラの前で緊張気味だったのは健常者のスタッフの方で、精神障害者のメンバーはニコニコと上機嫌で堂々としたものでした。 稼ぎが少なくなって北海道にはなかなか行けない昨今ですが、いずれまた、あの場にしばし身を置きたいと思うのでした。 ●ビデオ「ベリー・オーディナリー・ピープル」全8巻は、ドキュメンタリービデオ作品として、秀逸の出来。1巻2000円で販売していますので、お問い合わせをおすすめします(送料別途)。 |
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