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書庫1ぞっこん名盤セレクション 〜70年代ロックのきら星たち〜

●ここで取り上げたアルバム


「マウンテン・ライブ/悪の華」

●「毎日中学生新聞」(毎日新聞社)97年2月11日号 掲載

(19)マウンテン

 もう1カ月半ほど前のことだけど、テレビの歌番組を見ていて驚いたよ。僕の大好きな田村直美がバックバンドで連れてきたメンバーに、カーマイン・アピスが入っていたんだ! 彼はかつて希代のギタリスト、ジェフ・ベックと共にベック・ボガード&アピスというバンドを作ったことでも知られる名ドラマー。凄いよなあ、あんなミュージシャンを連れてくるなんて。

 まあ最近では矢沢永吉あたりが毎年超有名なミュージシャンを従えてツアーをやっているから、珍しいことではないんだけど、話が20年前になると別だよ。

 かつて活躍していた日本のロックバンドにクリエーションがあった。末期にはつまらんボーカリストを入れて、歌謡曲バンドに成り下がってしまったけど、結成当初は日本でも本格的なロックバンドが登場したと言われたもんだ。

 そのクリエーションに、今回紹介するマウンテンというヘビーロックバンドのベーシストであり、リーダー格だったフェリックス・パパラルディ(故人)が加入した時は、そりゃあもう驚きましたよ。あまりに大物すぎて、クリエーションの存在がかすんでいたけどなあ。

 フェリックス・パパラルディという人物、60年代にはスーパー・ロック・トリオ、クリームのプロデューサーとしても知られていた。クリームと言やあ、今でも渋いギターで人気があるエリック・クラプトンを輩出したバンドだよ。

 マウンテンは、70年代前半に活躍したヘビーロックバンド。当時はハードロックとヘビーロックという言葉があったんだけど、ハードロックはレッド・ツェッペリンやディープ・パープルみたいな硬質=ハードなサウンド、ヘビーロックはその名の通りドスンドスンと響いてくるような重たいサウンドだった。

 古いアルバムのライナーノーツをひもといてみると、以前紹介した叙情派のムーディ・ブルースを批判するようなことが書いてある。全然テイストが違うバンドを目の敵にするなんて、まだまだロックバンドの数が少ない時代だったんだなあと、妙に笑えてしまう。

 マウンテンの場合はサウンドだけでなく、見てくれもヘビーなんだよ。ギターのレスリー・ウエストなんてプロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアント(故人)みたいだしさ、キーボード奏者もドラマーも、プロレスラーみたいな顔と体躯をしている。

 マウンテンはアメリカで3枚のゴールドディスクを獲得しているけど、なかでも「マウンテン・ライブ/悪の華」が印象深い。これでもか、これでもかとグイグイ押してくるようなロックって、最近少ないもんね。

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