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書庫1ぞっこん名盤セレクション 〜70年代ロックのきら星たち〜

●ここで取り上げたアルバム


「デイズ・オブ・フューチャー・パスト」

※「セブンス・ソジャーン」はLPのスキャニングができず、かわりに。

●「毎日中学生新聞」(毎日新聞社)97年1月21日号 掲載

(18)ムーディ・ブルース

雲の上の
乙女の涙が
夜ごとこぼれた時
それは真白な雪となって
汚れた万物を清めていく

 これは僕が中学生の時に書いたポエムだ。どうだ、夢があるだろ! メルヘンっていいよな! 僕はメルヘンが大好きなんだあっ!

 いかん、いかん、少し興奮してしまった。今でこそ竹中直人と谷村新司が合わさったような顔をしているがな、これでも昔はメルヘンな少年だったんだぞ。

 それが証拠に「詩とメルヘン」という雑誌を2年間も購読していた。「詩とメルヘン」をキミたちは知っているか。編集長は、あの「アンパンマン」の作者、やなせたかし氏だ。昨秋、仕事で会う機会があったんだけど、20年前に愛読していた雑誌の編集長に会えて、とても嬉しかったよ!

 さて、堀辰雄や室生犀星、立原道造を愛読して夢を紡いでいたころ、同じように愛聴していたのが、今回紹介するムーディ・ブルースだ。

 数々のアルバムを発表しているが、ジャケットからして、洋物の絵本のようだ。アルバムタイトルも「童夢」「夢幻」といった具合で、いかにもメルヘンチックなタイトルがついている。まあ、一歩間違えれば暴走族の名前みたいだけどな。

 激しいメッセージを叩きつけるロックが幅を利かせるなかで、ムーディ・ブルースは常に過小評価されていた。甘ったるくて、少女趣味のロックみたいな言われ方をしていたけれど、メロディラインの優しさとは裏腹に、歌詞の中身は意外と骨太なんだよ。

 シカゴとかジョン・レノンみたいに、ロックを通じて社会を変革しようという動きが当時あったんだけど、ムーディ・ブルースは「ロックで世の中を変えることができるなんて幻想だ。俺たちは音楽の旅を通じて人々の心に橋を架ける、ただのロックシンガーにすぎないのさ」と歌っている。

 まあ、これが正しい考え方かどうかはともかく、メルヘンチックなサウンドの中に彼らの主張が隠れていることは見逃せない。そう、数々の童話の中に作者の辛辣なメッセージが隠されているようにね。

 彼らの代表的なアルバムは「セブンス・ソジャーン」だ。このなかでムーディ・ブルースは、愛に満ちた世界が失われていくことを嘆きながら、失われたロマンを取り戻そうとさまよう旅人を演じている。

 愛、彷徨、ロマン、夢……ううむ、メルヘンにはつきものの言葉が至るところに散りばめられているな。今となっては少しばかり脳みそがムズ痒くなってきそうな感じもするが、やっぱりメルヘンっていいよなあ。夢があるもんなあ。オッサンになっても、僕はいまだに思春期の精神構造から抜け出せないでいるよ。

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