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書庫1ぞっこん名盤セレクション 〜70年代ロックのきら星たち〜

●ここで取り上げたアルバム


「ミラノの映像」

●「毎日中学生新聞」(毎日新聞社)96年9月17日号 掲載

(10)イ・プー

 キミたちはこれから、何枚もアルバムCDを買うんだろうな。高校生になってアルバイトなんかして、お小遣いが多くなったら、CDもどんどんたまるんだろうね。

 大学時代、僕はアルバイト代のほとんどを音楽に費やしたよ。ラジオのエアチャック用のテープやアルバムで部屋の中がいっぱいになった。そのうち友達と映画製作の同好会を作って映画を撮り始めたんだけど、これってお金がかかるんだよね。

 アルバイトするヒマはないし、なけなしのお金はどんどんフィルム代に消えていく。僕は仕方なく、大切なアルバムの半分くらいを、中古のお店に売り払ったんだ。30枚で1万円くらいにしかならなかったけどね。

 この時、僕は大きな失敗をした。つまり、売っていいアルバムと売っちゃいけないアルバムの選択を間違えたんだ。僕は単純に、聴く回数の少ないアルバムを手放した。ところが、その後もう一度聴きたくなっても、二度と手に入らないアルバムが混じっていたんだな。

 ここでオジサンの教訓を一つ。「お金に困ってCDを売るなら、有名なアーティストのCDを売れ」だ。有名なアーティストなら、10年後でも20年後でも再発売されるから、後でどうにでもなるんだよね。

 前置きが長くなったけど、去年まであちこちの中古ショップでいくら探しても手に入らなかったアーティストの一つが、今回紹介するイ・プーなんだ。爆発的な人気があったわけでもないし、おまけにイタリアのロックバンドだから米英中心の輸入CD店にもなかったんだよね。それが今年になって、やっとCDで再発売された。それも6枚一気にね。

 イ・プーは、PFMなどと並んで、一時期話題を呼んだユーロ(ヨーロッパ)ロックの一つ。変な表現かもしれないけど、バロック風のロマン派プログレッシブ・ロックとでも言ったらいいのかな。僕のお薦めは72年発表の「ミラノの映像」というアルバムなんだけど、32人編成のオーケストラをバックに、叙情的でシンフォニックな世界が繰り広げられているんだ。

 今はちょっとしたスウェーディッシュ・ポップのブームで、メイヤとかが流行っているけど、同じヨーロッパのイタリアン・ロックにも注目が集まると面白いんだけどね。

 イ・プーは結成30年がたった今でも、イタリア・ロック界の重鎮として君臨しているそうだ。最近、似たような名前の自動車もあるけれど、TVコマーシャルに彼らの曲を使ってほしいな。きっと人気になると思うよ。

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