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書庫1ぞっこん名盤セレクション 〜70年代ロックのきら星たち〜

●ここで取り上げたアルバム


「展覧会の絵」

●「毎日中学生新聞」(毎日新聞社)96年8月6日号 掲載

(8)エマーソン・レイク&パーマー

 もうキミたちはアルバムCDを買ったことがあるかい。シングルだと安いけど、アルバムは邦楽なら3000円か。けっこう高いから、買う時は勇気がいるよね。

 実は、今回紹介するエマーソン・レイク&パーマー(EL&P)の「展覧会の絵」は、僕が初めて買ったアルバムなんだ。お店で何度もジャケットを眺めては「高いからどうしよう」って、何度も諦めかけて、一大決心をして買った。家に帰るまでドキドキして、プレイヤーの前で思わず緊張したりしてね。

 EL&Pは、前回から紹介しているプログレッシブ・ロックの代表的なバンドの一つだ。キーボード担当のキース・エマーソン、ベースとボーカル担当のグレッグ・レイク、ドラム担当のカール・パーマー……3人の名前を並べてエマーソン・レイク&パーマー。個人名をつなげただけのバンド名だったけど、それだけ3人が既に名のある個性的なミュージシャンだったということだ。

 とくにキース・エマーソンの超人的なキーボードはすごかったよ。音楽的には、クラシックやジャズをしっかり勉強した第一人者なんだけど、ライブになると荒れ狂うんだ。シンセサイザーやピアノなどいくつもの鍵盤楽器を周囲に並べて、両手で巧みに複数の楽器を操る。おまけに、楽器を踏みつけるわ、蹴り飛ばすわで、狂気が乗り移ったような演奏をするんだ。

 待望の来日は1972年。僕は甲子園球場でのライブコンサートを見に行ったよ。今では東京ドームなんかでコンサートをする時、グラウンド、つまりアリーナにも観客席があるよね。でもこのコンサートではスタンド席のみ。二塁ベースの上にポツンと舞台があって、高いお金を出した観客も遠く離れたスタンドから金網越しでしか見られなかったんだ。

 開演すると、キース・エマーソンがやっぱり狂乱の演奏を始めてね。キーボードを振り回してグラウンドを走り出したんだ。観客も興奮してきて、金網を越えてグラウンドに入り始めて……そう、これが原因でコンサートは中止になってしまったのさ。

 翌日は新聞でも大騒ぎ。「ロックは若者を扇動する危険な音楽だ」みたいに書かれて、僕は悔しい思いをしたよ。あれは観客が悪いのではなく、間違いなく警備の不備だったな。

 今回お薦めの「展覧会の絵」は、ムソルグスキー作曲の交響曲を、ロックで再現した歴史的な名作ライブ盤だ。海賊版の安いCDも出回っているけど、額縁を並べたジャケット写真の正規のアルバムが格段に上だよ。

 ちなみにEL&Pは再結成していて、10月には久々の来日が控えている。キース・エマーソンの狂乱プレイが、また見たいなあ。

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