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書庫1ぞっこん名盤セレクション 〜70年代ロックのきら星たち〜

●ここで取り上げたアルバム


「グレイテスト・ヒット」


「ズィンクアロイと朝焼けの仮面ライダー」

●「毎日中学生新聞」(毎日新聞社)96年6月11日号 掲載

(5)Tレックス

 1970年代前半、時代のあだ花のように一気に開花し、忘れ去られていったロックミュージックのジャンルがある。それが、グラムロックだ。

 音楽性としての定義はとくになく、要は化粧した男が演奏すればグラムロックと呼ばれていただけのこと。今なら、聖飢魔2もX JAPANもグラムロックになるわけで、考えてみれば変なジャンルだよね。この分野で人気を二分していたのが、デビッド・ボウイと、今回のTレックスなんだ。

 Tレックスは、もともとはギターとボーカルを担当するマーク・ボランと、パーカッション担当のミッキー・フィンの2人組という風変わりな編成だった。それが、ポップなメロディを取り入れるや、一躍スターダムにのし上がった。

 当時のイギリスロックシーンは、ビートルズが活動を停止した直後でスター不在の時期でね。そんな時期にTレックスは、彗星のごとく現れたんだ。新しいシングルを発表すればたちまち1位を記録していたよ。

 彼らの熱狂的なファンは中高生が多くて、当時はただのアイドルロックバンドと見られていたなあ。僕も友人から「Tレックスのどこがええねん」と揶揄されたけれど、これは全世界共通だったみたいで、ホンモノのロックファンからは色メガネで見られる存在だったんだよね。

 ビートルズとTレックスは意外な接点があってね。「リンゴすった〜」という恥ずかしいテレビCFに出演しているビートルズのドラマー、リンゴ・スターは早くからTレックスに着目して、「スライダー」というアルバムはリンゴがジャケット写真を担当。Tレックスの記録映画まで監督したんだよね。ロケ地にはジョン・レノンの邸宅が使われたりもした。ビートルズの後釜として、期待される存在だったんだよね。

 Tレックスのカリスマ的な人気も、わずか2〜3年の命だったな。今でもたまにラジオで流れたり、テレビCFで使われている大ヒット曲は、ほとんどが71、72年のもの。Tレックスを1人で引っ張っていたマーク・ボランは77年に交通事故で他界し、Tレックスは伝説になった。第一線で活躍していた時期は、驚くほど短かったんだよ。

 彼らのアルバムのどれを紹介しようか、迷いに迷った。個人的には、「ズィンクアロイと朝焼けの仮面ライダー」や、遺作「地下世界のダンディ」が好きだけど、大スターとして走り抜けた時代のベストアルバム「グレイテスト・ヒッツ」を推薦したい。今でも色あせることのないヒットチューンばかりだよ。

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